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ソウルウォーク★魔都  作者: 神嘗 歪
一章:どうやら俺は、『巻き込まれ体質』のようで…。
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一章:6 「うわ~ぁ、痛そう~ぉ。」

鼻をやられた三年生が、右フックから刀夜の頬を狙う。刀夜は両手で竹の棒を持って、正面で身構えた。


素人目にも判る。そのスキのない立ち姿は、剣道経験者だ。


だが、三年生の拳は止まらない。喧嘩に、ルールでがんじがらめにされた剣道など『なんの意味もない』からだ。


刀夜の頬にその拳が当たるッ………と思ったとき、刀夜は摺り足でスッと半歩後ろに下がった。


空を切る拳。先程と同じだ。


今なら三年生たちでも解る。あのヨロけて逃げていたのは、刀夜の事を穏便に納めるための演技だったのだ。


元々、攻撃を避けられるだけの実力を刀夜は持っていた。


けれどやはり剣道で身につけたモノなど、制限の無い喧嘩の前では『ごっこ遊び』程度。


「バーカッ。喧嘩はパンチだけじゃねぇんだよッ!」


三年生は空振りの拳の遠心力を使い、そのまま今度は回し蹴りに入る。


刀夜はそれに気づき、また摺り足で避けようとするも…ッ。


「…ッ。」


後ろからもう一人、三年生が刀夜目掛けて回し蹴りを始めていた。


剣道は1対1の勝負。同時に二つの…それも不意打ちの攻撃など、対処できるわけがないと考えたようだ。


二つの蹴りは、ちょうど刀夜の頭部でクロスするように炸裂する。当たれば脳が揺らぐほどの衝撃でブッ倒れるだろう。


そこをすかさず袋叩きにすればいい。……そう三年生二人は目論んでいた。


…が。



      「ガア"ッッ!!」×2



脛と脛がクロスした間には………刀夜の頭は無かった。なので激しい衝撃は、そのまま互いの脛が受け止めることとなった。


痛みに体勢を崩した三年生たちが転倒する。そして強烈な痛みを発する自分の脛を抱えて、ゴロゴロとのたうち回る。


「うわ~ぁ、痛そう~ぉ。」


そんな二人を無傷で見下ろす刀夜。どうさっきのやつを回避したかというと、二人の蹴り時に屈伸するように下に頭を避けたのだ。


その動きはどうにも、『複数の対人に慣れている』ように感じる…。


(さて、雪人のほうはどうかな?)


刀夜が雪人のほうに顔を向ける。


雪人は、例のフラれた可哀想な三年生を含めた三人を相手にしていた。


(……ああ、アレは『助けてやらないとダメかな』。)


刀夜は小さく溜め息をついた。

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