13月11日
今日、初めて人に出会った。
昨日、人影を見たような気がしたと書いたが、気のせいではなかったのだ。
僕が朝起きて、窓の外をふと見た時、目の前の道路に、一人の女性がいるのが見えたのだ。
こんな奇跡なんて、あるのだろうか。その女性は、僕が密かに想っている、サークルの先輩だったのだ。
大声をあげて喜びたいのを我慢して、僕等はお互いの状態を確認した。
彼女の話によれば、ちょうど彼女も家から大学まで歩いてきたところで、今日帰る予定だったらしいのだ。
とりあえず、今確認できる、数少ない(というよりこの二人しかいない)人間なのだから、連絡先をいろいろ交換して、試してみた。
ラインはダメだった。
ツイッターもダメだった。
フェイスブックもダメだった。
メールもダメだった。
電話は……繋がった。
お互いに近くにいるからかもしれないが、現時点でお互いが見えなくてっも繋がることのできる、唯一の手段だ。まさか、こんな形で、夢のまた夢だった先輩の電話番号を手に入れて、連絡を取れるようになるとは思わなかった。
とりあえず、この世界は、一人ぼっちではないことだけはわかった。もしかしたら、また他の人と会えるかもしれない。そんなことを話してから、僕たちはその日も東京にとどまって、ホテルの亜世話になることにした。
もりとん、一緒に寝ようなんて言えるわけなかったし、向こうから言われるわけもない。それまでと変わらず、僕は一人で眠った。