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お嬢様に転生、大成功?

「見て!!ヒストリア! 赤ちゃんが目を覚ましたよ!」

「お母さん、僕の妹が目を覚ましたよ。」

何やら、野太い声なのにやたらテンションの高い声と可愛らしい男の子の子が聞こえる。

目を開けると、筋肉ムッキムッキのいかつい感じのおじさんと金髪で碧眼で将来、イケメンになるであろう男の子がこっちを見ていた。正直、全く似ていない。

「ふふふ。二人ともそんなに、大きい声を出したら赤ちゃんがびっくりしちゃうわ。」

その二人を優しく穏やかな声の女性が制し、私を優しく抱っこした。女性の風貌はセミロングくらいの金髪で碧眼で色の白い顔をしていてかなりの美人だった。さっきの男の子も彼女に似ている。

その時、私は自分の置かれた状況を思い出した。

そういえば、私は転生したのだった。お嬢様に。

私は無事にお金持ちの家に転生できたのかを確認すべく、首はあまり動かせないので目だけ必死に動かした。

すると、自分が寝かされているベビーベッドは寝返りを5回は余裕で打てるくらい広いし、部屋の大きさも私の部屋(前世での自室)の5倍程ある。その部屋の隅には、メイドらしき人達が10人程並んでいる。

私は確信した。成功だ。これで、働かなくても生きていける。そう思って私は歓喜の雄叫びを上げた。

「あーう!(いえーい!)」

違った。雄叫びにはならなかった。

「ふふふ。赤ちゃんが何やら上機嫌ね。」

「お母さん! 赤ちゃんじゃないよ、メルシアだよ。」

「そうね、メルシアね!」

どうやら、私の名前はメルシアという名前のようだった。結構可愛いい名前だ。

「メルシアちゃん、パパですよ。パ・パってほら言ってみて。」

いやいや、いきなり生まれてきて、そんな事言える訳がないだろう。どこの世界の父親もみんな同じ感じなんだなと思った時だった。

「旦那様、奥様、ギルドの方がお越しになられました。」

コンコンコンとドアのノックの音がし、執事らしきおじいさんが部屋に入ってきた。その後ろには、1人の女性が立っている。その女性の風貌は、銀髪の髪で長さはショートカット。顔立ちは少し幼いが、それと反して体は大人びている。

「ありがとう、ジェフ。」

一礼して、執事が部屋を出て行く。

そして、後ろにいた女性だけが残された。

「こんにちはパトメック夫妻。ご出産おめでとうございます。さっそくですが、登録の件でやってまいりました。」

そう言って、女性はお辞儀をして微笑んだ。

「ルーナ、わざわざ来てくれてありがとう。」

「いえいえ。パトメック夫妻には我がギルドを盛り上げてもらっていますから。」

「私達は何もしていない。むしろ、若い頃にこちらがお世話になったぐらいだ。」

「それでも、勇者がいたギルドとして、とても誇り高いです。」

な、なんだって…私は耳を疑った。確かに屈強な体を持っていて強そうだが勇者だったって。

少し褒められたからといってデレデレしているのに。

「ありがとう、ルーナ。でも、7年前の事よ。エリックを身籠った時に私は引退したし。」

父親と違って母親は落ち着いた表情で返した。

「月日が経った所で二人の偉業は残りますよ。

それに私は二人のお子さんにも、期待しております。

エリック様はまだ、7歳という年齢で既にこの近くの魔物の主を倒されましたし。」

「僕、お父さんとお母さんと同じ勇者になりたいから!」

「きっと、エリック様も素敵な勇者になれますよ。

エリック様を測定した時も驚きの数値がでましたね。

メルシア様はどのような数値が出るでしょう。

それでは、メルシア様を測定させていただきます。」

そう言って、彼女はシールみたいな物を取り出して私のおでこに貼り付けた。

2〜3分経った頃、彼女は私のおでこからシールを剥がしスキャナーみたいなもので読み取り始めた。

そして一瞬固まった後、目をキラキラさせながら喋り始めた。

「では、測定結果を申し上げますね。

健康面に関しては異常はないようです。しかし、異常な数値が三つでました。

魔力 500 勘の良さ 350 幸運600 という数値です。 」

ん?どういうことだ?魔力って所はさすが異世界だが、勘の良さや、幸運なんか測ってどうするんだ。

むしろ、測れることに驚きだ。

「これは……」

そう言って、母親は絶句した。それなのに、父親は…。

「なんだってーー!!。なんて素晴らしい子だ。

こんな冒険者にふさわしい子はいない。」

と大きな声で叫んだ。

「そうね…。 でも、生まれたばかりで既に大人と変わらない数値ってことはありえるのかしら?」

「ギルドでは、前代未聞ですねー。でも、お二人の子供なら、納得がいきます。」

いやいや、どんな納得の仕方だ。私の父と母は何をやらかしたんだ。

冒険者にふさわしいって、私冒険者になりたくないんだけど。お嬢様になるはずなのに。

そう思って私はまだ話せないながら、抗議の意を示した。

「うあーー(いやーいやー。)」

「お! メルシアも賛成だって言ってるぞ。

よし、決めた。メルシアを冒険者としてエリックと同じように育てる。」

違う!私はなりたくない!私は必死にそれを伝えたかった。そしたら、

「あなた、でも女の子よ。私は女の子らしく育ってほしいわ。」

さすが、母! 私の言いたいことをわかってる!

そうだ!そうだ。言ってやって!どうか、私のお嬢様ライフを守って!私は賛成の意を示した。

「うーー、うーー。(賛成、賛成。)」

「ほら、賛成って言ってるわよ。」

「うう。でも、それだけの才能があるのに、もったいない。では12歳から入れるギルドの試験に落ちたら好きにすればいい。」

「そうね。12歳からでもまだまだ、女の子修行としては間に合うわ。」

「かしこまりました。では、試験の時期になりましたらまたこちらから連絡いたします。」

そう言って、ルーナは部屋をでていった。

父親のせいで正直、めんどくさい事になった。だけど、わざとその試験に落ちてしまえばいいのだ。

そう考えていたが、そううまくは行かないのだった。


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