猫のピンチ?!
今日も仕事から疲れてひたすら、家に帰る日々だ。
もうイヤだ。どこかの財閥のお嬢様になりたい。
働きたくないという言葉が頭の中に浮かぶ。
社会人がこんなにしんどいとは思わなかった。
私はこの春、大学を卒業し、無事に就職した。
だが、就職したのはいいが仕事にうまく慣れず、こんなはずではなかったという気持ちを引きずりながら仕事に行く。
いつもと同じ電車を待っていた時の事だった。
私の最寄りの駅は田舎のためか、人があまりいない。
そんな時に限って、予想外の事が起きた。
電車がホームにくる手前のあたりで、野良猫の親子が横断を始めてしまったのだ。しかも、運転手さんも見えていない様子だ。そして、なんと子犬が足を引っ掛けてしまい進めない。私はあたふたと周りを見渡したが誰もいなかった。
「え!どうしよ。」
もう、寸前で轢かれてしまうと思った時には気づけば体が猫の親子の元へと動きだしていた。猫の足は線路の淵に深く、ひかかってしまっていた。なんとか足が抜けたと思って、私はのんきに猫に手を振って送り出した頃には忘れていた。動きたくても、体が動かない。だけど、電車が迫ってきている。
運転手は寸前で私に気づき、ブレーキをかけたようだが間に合わない。私は線路の上で動けないままに死を予感して目を閉じた。