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特殊部隊  作者: FLOG's
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1章【予感】デモ隊編④

西東京市西武伏見署へと連行されたデモ隊を襲撃した三人は、それぞれ別の取調室へと入れられた。

本来であればそれぞれに別の担当官がつき同時進行で進めるのだが、本人の希望で大道がそれぞれの襲撃犯を順に取調べていた。

大道はおもむろに取調室へ入ると、部屋の奥側で椅子に座っている男を見る。男は入ってきた大道を見ても、表情を変えることはなく、むしろダルそうにしていた。

今目の前にいるのは、被疑者三人の最後の一人だった。

連行してから半日程度しか経っていないのだが、大道はすでに他二名の取り調べを終えている。数日かかるケースもあることから考えると、おそろしい手腕である。

二人は口をそろえて今大道の目の前にいる男が計画者であると告げており、この男が主犯格であることはほぼ間違いない。

大道は最後の締めとばかりに椅子へと腰を下ろし、取り調べを始める。

しかし彼はその言葉を半分も聞かずそっぽを向き、また態度も余裕を持っていた。

大道が話す中、まともな反応を見せない男だったが、あまりにもしつこく聞いてくる大道に一言返す。

「だから、黙秘よ」

男は強気の態度で大道に食って掛かった。その言葉で、大道は突然椅子を立ち上がる。

『ドン!!』

大道は机を一度強く叩くと、机越しに男の胸倉を右手で掴み立ち上がらせ、左に男の体を振り回すと同時に壁へ叩きつけるように押し付けた。

「痛って…何すんだこのオヤジ―――ひっ」

男が大道の突然の行動に文句を言おうとするが、胸倉をつかむ力が強まるのと、何より大道の顔を見てしまった瞬間、情けない悲鳴を漏らす。

「てめぇ、いい気になんじゃねぇぞ。あぁ、ここは密室だ。多少ボコったところで犯人が暴れたとかいやぁなんとかなんだよ」

大道はそう言うと、男の胸倉をつかんだまま一度引き寄せると、再び壁にたたき付けた。

本来であれば被疑者は腰縄を打たれ、イスに固定されているため自由がないのだが、そのような理由をつけやすくするため大道はこの手法を取っていた。

胸倉を締め上げる大道の鋭い目が、ギラリと光った様に彼には見えた。

「う…ぁ、あぁ。す、すいませんでした…」

男は思った以上の大道の脅しと力に振るえあがった。

「何知ってんだ。何が目的だったんだ。吐けっ!!」



西部伏見署の刑事課、取調室前の通路に岩下と柄沢の二人はいた。大道ら警察官の一部と同行し、表参道から犯人を護送し署へと来ていたのだった。

「あいつら、さっき表参道の現場にいなかったか?」

「そうか?いやまぁ、確かに何となく?」

訝しげに見ながら通り過ぎていく警察官も何人目だろうか。今やそんな視線に気も留めず、長イスに二人で腰掛けている。

「ススゥー…はぁ」

「ゴクッ」

岩下はカップコーヒーを両手で持ち口へと運びすすり、横の柄沢も同じく片手で持ったコーヒーを飲む。

二人は署に着くなり、仕事は終えたとばかりに私服へ着替え、大道の戻りを待っていた。そのため、私服で署内のしかも刑事課の取調室前にいる二人は異様な存在だった。

とはいえあまりにも堂々としているため、どの警察官も声をかけることもなく、ただ通り過ぎていく。

「さっき、大きな音聞こえたけど静かになったね」

「だな。大人しく答えてるんじゃないか?」

岩下が紙コップをいじりながら言うと、柄沢は取調室を一瞥して答える。二人は短い会話をしてから、再びコーヒーをすすっていた。

そんな二人の前に、大道が取調室から現れた。出るなり岩下と柄沢の姿を認めると二人の元へ向かってきた。

「お疲れ様です」

柄沢は大道が目の前まで来ると岩下と共に腰を上げ声をかける。

「おう。三人落としたが…やつらド素人の犯行で単にデモ行進自体を妨害してやろうっていう、デモの横やりが目的だったようだ」

大道はそう二人に伝えると、くだらぬ犯行目的だったとばかりに後頭部を手でさすった。

「では、別にリーフ目的で狙ったとかの犯行じゃなかったのですね」

「あぁ、完全に空振りだな」

柄沢の言葉に、大道はため息交じりに返す。

「なるほど…。そういえば、デモの方は負傷者が出てしまったものの行進自体は最後までやりきったみたいですね」

柄沢は先程追って入ってきた情報について口にする。

「みたいだな、竹から報告は聞いた。負傷者の分までやりたいとか、屈しては政府の思う壺だとか言ってな。全く私にはようわからんがな」

「熱いというか…。全くです」

苦笑しながら言う大道に、柄沢は肩をすくめながら返す。

「ふ~ん」

岩下は二人の会話を聞きつつ、退屈そうに手に持っている紙コップをいじくっている。そんな岩下を見て大道が切り出す。

「まぁ、今日はこんなとこだ。本庁に戻れや」

大道はニヤリと笑いながら、二人へ暗に特殊部隊への帰還を促した。

「はい」

「あ。はい」

二人は大道の言葉にうなづき、西武伏見署を後にした。



夕闇の倉庫裏路地。そこには夕闇に隠れ顔がはっきり見えない二人の男がいた。

「すでに作戦は開始している。約束は守ってくれるんだよな」

「うーん。まだ作戦の下地ができたにすぎないがな」

男の一人が向かいに立つ男へ焦ったように話す。対する男は、余裕のある口調で笑いながら返す。

「そうだが。――すでに拘束されてるんだ…」

「条件はテロ行為だ!!きちんと約束が果たされればすべてこちらも約束通りだ。デモ隊がやられた件だって、素人のくせに捕まったやつら。大した根性じゃねぇか」

向かいに立つ男は、先ほどの表参道の事件にかけた話しを交え返した。

「大したって…。やられたのは仲間じゃないのか?!」

その問いに対して男は苦笑で返し、小さくため息をもらす。

「ふぅ…以前とは違うんだよ。これからは力だ!お前さんたちともそんな話を今後も続けていきたいね」

「………」

焦りを見せる男は、その言葉に歯噛みをすることしかできなかった。

夕闇の中ただならぬ空気を帯び、次に起こす計画を確認しているかのように二人は会話をかわしていた。


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