異世界の飯テロについて、味噌醤油はありまぁす。(あるとはいっていない)
エッセイで異世界チートでの味噌作りに触れる方が居たんです、アンチチートを掲げる私にとって応援すべき同士だと思い興味が湧いて覗いたんです、ですが残念な事にどうやら知識が無いまま書かれたであろう部分が数カ所があり、それを感想欄で指摘を書こうかなーと思ったんですが、真面目に書くと長くなり流石に感想欄で書く量では無いと考え、それならこっちでエッセイに纏めてみようと考え書きました。
その① 『大豆も無いのに味噌出来るはずねえ!』
材料についてよく言われるこの言葉、その気持はよく分かりますよ!確かに大豆じゃないと味噌っぽくないですよね?でも大豆じゃなくてもできちゃうんです、日本で有名なのではひよこ豆、この豆自体を知らない方もいるかもしれませんので補足すると、海外でよく食べられてて名前通りひよこっぽい可愛い形の美味しい豆です。
私はこれをチリビーンズを作る時にキドニーと一緒に入れたりします、豆感増して主食っぽくなりますしパンに合うのでお勧めですよ―。
このひよこ豆でなかなか美味しい味噌ができます、レシピ紹介のホームページで主婦の方が紹介するほど簡単ですから、興味がある方は一度試してみると良いかもしれませんね、そこまでやりたくない方は通販でも買えますから興味があれば探してみてください。
あとは美味しくないので推奨は出来ないですが落花生でも味噌作れます、世田谷にベースを持っている方の日曜朝にやっている冠番組で数年前に作ってました。
要するに、味噌は豆の種類よりも澱粉やタンパク質の量が重要なんです、大豆を探さなくても味噌に向いているものを探すだけでいいんです、これも知識が乏しい人が作品で書く時に陥る罠の一つじゃないかな―と思ったりします。
その② 『味噌は長い間熟成が必要なんだよ!』
これもよく聞きますが実際の話、白味噌なら二週間で出来たりします、簡単に言えば白味噌は麹による一次発酵を主に利用し微生物による二次発酵をあまり行わない味噌なんです。
まず麹カビに塩を混ぜた時点で死ぬそうです、そしてその死骸は自己融解というバラバラに溶けてしまう現象を起こします、この溶ける時に発生する酵素を利用し米や麦の中の澱粉を糖へ分解するのが一次発酵、それを餌にして空気中の耐塩性細菌を利用したタンパク質を分解するのが二次発酵です。
この二次発酵は熟成とか寝かすなんて呼ばれているせいか、麹が生きていて麹が二次発酵もしていると誤解する人が居ます。
そのせいで麹があれば出来るという風に考えて麹ばかりに注視しがちですが違います、二次発酵でも風味が大きく変わり、寝かせて他の嫌気性細菌で二次発酵させるのが濃色味噌、あまり二次発酵を行わない白味噌、この二つは全く味わいが違う味噌です。
因みに醤油も同様で白醤油や薄口醤油なら半月~三ヶ月程度で出来ます、これなら物語のテンポを崩さずに話が進むような気がしませんか?異世界では白味噌の西京伝説が始まっているのかもしれませんね!
それと二次発酵についても長いから良いと言うものでは無く、はっきり言って好みです、西京味噌は二次発酵が少ないから上品な甘みが特徴で異世界人にも分かりやすく感じるでしょう、色も白く綺麗なので、豆や米麦などの粒を濾して出せば貴族にも喜ばれるでしょうね、実際白味噌は古来貴族の食べ物でした。
逆に数ヶ月から一年程度熟成する田舎味噌や数年の熟成が必要な八丁味噌は、茶色や暗褐色など色的問題と複雑な味や水分が減った関係で塩味が強いので、なろうでいう冒険者を初めとした肉体労働者に受けが良いと思います。
その③ 『麹は種類がある!黄麹が醤油や味噌の麹だ!他の種類じゃ出来ないぞ!』
これを言う人は本当に味噌や醤油の事を理解していなんだなと思ってしまいます、味噌って麹が違っても出来るんですよ、実際中国なんかで酒造りで使われている赤麹と呼ばれる麹で作った赤麹味噌が日本の味噌蔵が作って売ってます、まだ頂いた事はありませんが健康に良いらしいので今度試してみようかなーなんて思っているものです、それにアジア圏には色んな麹あり、それぞれの製法で色んな味噌を作っています。
麹については先程触れた通り麦や米の澱粉の分解が主な仕事です、なので極論、毒性がなく自己融解時に分解酵素を出すものであるならなんでも良い、麹が無くても色んなカビで成功するのを探すなんて話もありかもしれません、それだけで軽く一本お話になってしまうので手軽なメシテロにはならないのが玉に瑕と言う所ですね。
科学設備の無い実践での実験はリスクは否めないので、まずは近い所で探すの吉だと思います、少なくとも異世界の人の話を参考にしながら当たりを付ける事が出来、多少リスクを抑える事が出来るでしょう。
全くの未知の物ですと死神と合う確率が急上昇と被害の拡大の問題点があります、その場合なろうテンプレで考えると結界魔法などで外気との接触を遮断、その空間の中で少量ずつを実験する形でしょう、失敗した場合は浄化魔法で消去するのが安全かもしれませんね。
違う場合は出来るだけ防護をして、外部に被害が無いよう辺境の村の外れ辺りで外部に極力影響を与えぬように閉めきった空間で孤独に作業でしょう、失敗したら周りに被害を広めない為に燃やす位でしょうか?
先人の発見等を踏まえ、純粋に作る事だけに集中し、周りの被害など考慮して何度も挑戦する研究シーン、その果てに人体に無害で糖分解が得意なカビを探す主人公、展開的にどこからか中島み○きさんの歌が聞こえきそう。
『誰にも理解されず、誰もが不可能だと言った、それでも主人公はがむしゃらに己の半生を異世界の麹を探す旅に捧げた、幻のような奇跡のカビを見つけた時、主人公は泣いた、誰もが無謀だといった味噌の再現、その妄執に取り憑かれた男が見せた涙、男泣き、だった』
こんなナレーションが入りそうですね、自分で書いててあれですが、これなら味噌再現でかなり見てみたいと思ったりします。
この場合、当てを外した時のカビ毒が怖いのですが、そちらは漂う匂いである程度判別し、匂いで分からなくても失敗してたらカビ毒で乳酸菌などが死滅し二次発酵が上手く行かず、タンパク質を分解するメイラード反応が発生しないので、起こるはずの褐色変化見られないから失敗も分かりやすいと思います。
昔の人は動植物にから取れる菌が齎す作用を注意深く観察し、出る色や匂いやその味、触った皮膚の感覚を頼りにして有益な麹や酵母なんて呼ばれるものを見つけたので、科学知識や顕微鏡などの設備がなくても十分可能だと思われます。
毒素を食べたとしても空気中の常在菌が作るならある程度は免疫があると思います、もし無かったとしても異世界ファンタジーで魔法があるなら解毒魔法で解毒すればいいのでは?と思ったりもします、肺や他の臓器にカビが湧くこともありますが、浄化魔法とかで上手くごまかしましょう。
ない場合は、体調管理をしっかりして免疫を高め出来るだけの防護をして、あとはお前の神に祈れ!くらいでしょうか?
発酵をする細菌を選んで魔法で促進させるなんて複雑で定義が広すぎ効果が細かすぎる設定を考えるより、スマートで良い設定だなと思ったりします。
封印された空間の中、命懸けで主人公がカビ毒やカビにその身を侵され抗い、誰にも認めらない孤独に耐えて、ただ故郷を思い執念で作り上げたメシテロ味噌。
問題を挙げるなら、この行動がまさにバイオテロという点ですが、駄文の核心部分は可能性の有無です、私個人としてもこんな話なら流石に認めてもいいのではないか?と感じてしまいますね。
その④ 『お、俺の世界は麹は持ち込みOKなんで』
まって!お願いだから待って!!君の小説のタグが異世界ファンタジーから、未知のカビによる異世界パンデミックパニック物になっちゃうよ?異世界人類が全滅の危機を迎えるかもしれないよ?魔力なんて訳が解らない物があるから突然変異を起こしてしまう可能性が非常に高いよ?
つまり、お前の持ち込んだ麹で世界が危ない。
はい、未知の菌は怖いですねー、人間って普段から付き合いのある菌でしたら、ある程度は免疫で平気ですが知らない子ですと結構ヤバイです、インフルエンザはコロコロ変異するから怖いんです、菌て環境に対する変化が動物の比じゃないくらい変容します。
魔力なんて未知の力に当てられた麹がどんな変化を起こすのか全く予想が付きません、異世界に麹を持ち込んだら変異してゾンビパニック!なんてB級映画っぽい設定で書いてみたいですが、解決案が思い浮かばないので難しそうですねー、B級映画っぽく醤油ぶっかけたり味噌投げつけるとかでしょうか?多分こんなノリになるでしょうね。
「ボブがやられた!直ぐに傷口をソイソースで洗うんだ!急げ!カモスターになるぞ!」
「ならこれを使え!俺が執念で磨いた技で仕込んだ三年熟成した赤の最強味噌だ!かけて良し付けて良し何でも味噌だ!!オデンを煮込んでもいいぞ!」
「まさか!味噌煮込みオーデン!あのカモスターへの特攻効果のある伝説のアレか!」
麹に沈む世界の中、異世界から来た高校生の執念がもたらした伝説の赤味噌『ハッチョウ』が世界を救う!小説家になろうが産んだ感動のドラマがついに実写映画化!その壮大な終末に全米が泣いた!
あ、ヤバイ私このバカなノリ好きかもしれない、暇があったら短編書こうかな?アメリカのバカなパニックって好きです、すっげー下らない事を真剣に考えて狂った答えを出すから予想のはるか斜め下いかれて、色んな意味で予想を裏切ってて楽しいですよねー。
それでも持ち込みOKにしたいのであれば、神様が持ち込んでも被害がないよと太鼓判押す位しか考えつきません。
さて、こうして今回も無駄に茶番も入れて満足したので駄文を締めたいと思います、異世界で味噌や醤油を作れる可能性は十分あります。
ですが最低限の知識と経験は必要です、少なくとも自分で味噌を作った事があり各工程の意味をこの駄文程度に理解してと条件がつきます、それなりに時間を掛けて材料となりそうな豆を探し麹の変わりなりそうな菌を探すのがスタートラインになりますね。
穏当なのは良く似たような菌を使用する発酵食品や酒等を探す事です、運良く見つかったら比較的短期間で出来るかもしれません、上手く見つからなかった貴方は今日から体調と環境被害に気をつけてバイオテロまがいの戦いを始めましょう。
豆については数種類を一緒に仕込んでみて風味が近いものを選ぶか、出来上がった色々な味噌を合わせ味噌にしてみるのも良いかもしれませんね。
流通に関しては見た目匂い云々は食わせれば大体黙ります、私の知る日本食好きの外国人は味噌にドハマりして味噌汁がないと生きる意味が半分なくなると割と本気で言っていました、それに今の世界的な日本食の流行を見たら判ると思いますが美味いと知れば売れます、見た目や匂い云々なんて旨さの前では些細な事だと現実が語っていますね。
ですが茶番の通り未知の菌類を持ち込むのは非常に危険です、人類が行ったこと無い地域や接触した事が無い動物に因って未知の細菌と出会い、大被害を受けた例は過去に沢山あります。
ですので安易な持ち込みダメ絶対、知識をしっかり調べて理解して、その上でちゃんと書いた異世界物でしたら、多少のご都合主義を入れたとしてもよい作品になると思います。
リアリティを敵にするのでなく仲間にしましょう、リアリティを仲間にすると物語がグッと締まってとても味わい深い作品になりますよ?味噌だけに!ごめんなさい……、なんか無性に言いたくなったんです……。
最後に申し上げておきたい事があります、その方がエッセイで語る疑問や意見を否定している訳ではないんです、むしろその勢いを応援したいんです、自身も安易なチートで飯テロはちょっと否定したい側です。
だからこそ否定前提で知識が足らず残念な部分はこうして補足を入れ、公平なジャッジをして欲しいと思うのです、ちゃんと読み問題点を理解した上で指摘して欲しい、それが正しいアンチのやり方だと言いたいのです。
何でも噛み付く文句言いたい人ではなく、ここの部分がこの理由で可怪しいからこうしたらどう?って意見を言える正しいアンチ、ちゃんとしたなろうのテンプレアンチ仲間が増えるといいなぁなどと思っています。
藤家さんのご意見を受け、カビの体内発生と環境被害についての私見を追加しました。