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物心ついた時から私たち家族は山奥の小屋でひっそりと暮らしていた。母はいつも笑顔を絶やさない人だった。姉はいつも私の手を引いてくれていた。幸せだった。
「母さんがいない時は外に出てはダメよ。」
母はそう言って週に1度だけ町に降りて行く。山奥で暮らす私たちは自給自足で生活をしているが、やはりそれには限界があるようで母は一人で町に下りる。私たち姉妹は母がいなくなるまで一度も山を降りたことがなかった。母は私たちを世間から隠して育てていたからである。
「ルナ、今日は外で遊びましょ」
姉と私はいつも一緒にいた。双子であるが性格は反対であり、引っ込み思案の私はいつか姉のように活発になりたいと思っていた。