自分の葬式
「なんみょうほうれんげーきょー」
クラスメートや両親が泣いてる中 お坊さん木魚を叩きながら
お経をあげている
『自分の葬式を見るなんて 変な気分だ』
「悲しくないの?」
良枝は泣いているんだろう 画像が滲んで見えてる
『いや 俺こうして生きてるんだし』
良枝が泣くのも不思議な感じである
「私は悲しいの 旦那様の御葬式なんだから」
んーー勝手にしろ…
「そういえば この後は裕太君の身体を燃やすんだよね?」
ああそうだった どうにかした方がいいのかな
でも諦めではないが それが些細な事に感じる
『まぁ燃やしちゃっても何とかなるんじゃない』
「あきれたー どうなっても知らないよ」
二人は口には出さないけど
互いに気持ちが理解出来るのは 表面的な感情だけなのを
知らず知らず理解してた
そうじゃないと…
裕太は良枝のサイズに関して思った事や
良枝は裕太に想いを寄せてた事を
バレるからである
だから それを確認するのも怖いのだ
『そう言えば 何で良枝の中に入ったんだろ』
今更ながら基本的な所を疑問に出してみる
「わかんないよ そんな事」
式は着々と進み 出棺の時間となる
出棺以降は親族だけが参列するので
同級生は 学校に帰る事になる
教室に級友達が入ると
一分の感受性が高い女子生徒意外が泣く事もない
すでに笑ってる連中も居るのだ
そんな連中の笑い声を聞きながら
良枝が泣いてる事に 安心してしまう
『良枝 ありがとな』
「どうしたの?」
目を擦りながら良枝が訊ねてくる
『いや なんとなくだ』
「へんなの」
単純に雰囲気で泣いたのか わからかったけど
俺は良枝が泣いててくれたのが嬉しかった