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夏の夢に溺れて

作者: 青空

初投稿です!

まだまだ語彙力も足りず構成もばらばら…。

誤字脱字も多くあると思いますが、生暖かい目で見守って下さると嬉しいです。

読みづらくイライラしてしまう方もいるがしれませんが、それでもOKという方は読んで下さると嬉しいです(;><)

「…暑い」

中学校からの帰宅途中私は呟いた。

まだ7月だというのになんなのだ、と目先の空間へ独り言をこぼす。通行人にはさぞおかしな人間に見えるだろう。

「はは、しょうがないだろ。…もう夏なんだな。」

寂しそうに笑うのは私の兄だ。6年前亡くなってしまった大切な家族…。

__私には霊感があるが 子供の頃から…とかではなく兄だけが見えるのだ。これを霊感と言っていいものなのかどうかはわからないが。

「夏は嫌い。」

暑いし 汗出るし 肌焼けるし 疲れるし だるいし。

兄ちゃんの__。

…っと、ネガティブ思考になりかけた…、

危ない危ない。

「…」

家へと続く道のりを早足で歩く。

古くも新しくもない素朴な一軒家が私の家だ。

「ただいま…」

誰もいない居間へ帰宅を知らせると兄は優しく私に言う。

「おかえり…って、俺も外出てたから ただいま が正解か。」

何十回も同じやり取りをしたが、この時間が私とっては幸せなのだ。

絶対兄には言ってやらないけどね。

時計を見ると時刻は17時30分、夜ご飯作らないとな…。

制服から私服に着替え台所へ向かう。

今日は何にしようかな…、

「げっ、冷蔵庫に使えるもの なにも入ってないじゃん…。」

思わず呟いてしまった。

母も勝手なものだ、適当に作って食べてなんて言うなら作れるくらいの材料くらい入れて行ってくれたっていいじゃないか…。

「母さんも適当だな。」

苦笑してる兄は放っておいて、ご飯と卵はかろうじてあったから卵かけご飯といきますか…我ながら女子力皆無な夜ご飯だ。

「いただきます…。」

またも誰もいないのに挨拶する私は偉いと思う。

まぁ兄はいるのだが…

時々ふと思う。私は何をしてるんだろうか、と。

母も父も私を必要としていないのに。



__小さい頃から私は「イラナイ子」だった。

ただただそこに存在する、好かれても嫌われてもない空気のような存在。

母と父は優秀な兄のことだけを可愛がり、私を認めないという態度でしかなかったのだが 兄は私を見捨てなかった。

兄だけが私の全てで

兄だけが私を見ていてくれた。

こんなことを思っている私は相当ブラコンなのだろう、自分でもわかるほどに兄が好きだった。

…でもやはり世の中は私のような空気にとても厳しい世界だったようで。 塾の帰り道、横断歩道を渡ろうとしたときに突っ込んできた一台の車。

全てがスローモーションになり、世界が回る。 あぁ…死ぬんだな。なんて冷静に 単純に考えていたのだ、後ろには兄がいたと忘れて。

私を突き飛ばした兄はそのまま帰らぬ人となった。

母も父も私の生存を喜んではくれなかったし、喧嘩も増えた。私が死んだ方が良かったと誰もが陰で囁いているように聞こえる。

わかってる

そんなのわかってるよ

何回も閉じ込めてきた幼い私の感情は、兄の死によって完全に壊れてしまったのだ。

その兄が私の目の前にいきなり現れた時は心底驚いたが。



__って今更何を思い出してるのか。

自分のネガティブさに笑ってしまう、卵かけご飯がカピカピになってしまう前に食べ終わらないと。

「…たまには母さん達に甘えなよ。」

「は、何言ってんの。」

つい いらっとして口調が強くなってしまった。

今日は妙に暑かったり変なことを思い出したり兄に反抗してしまったり、悪運だ。

「寂しいんだろ?」

…なんで兄は私の思っていることがわかるのだろうか、でも今更母達が私を気にかけてくれるわけないじゃないか。

「お母さんとお父さんにそんな時間も体力もないってわかってるから。」

「そんなこと__」

「あるから。」

今更、甘えること自体わからないし必要ない。 …これ以上イラつくと危ないのでお風呂に入ってサッパリしよう。

食器を片付けお風呂場へと急ぐ。

着ていた服を脱ぎ捨てシャワーを浴びる。

あの時の事故で負った消えない傷を冷ややかな目で見て 私の心よりは綺麗なのかな なんて考えたり。

やはり今日はネガティブデイだ、こんな日は寝ることが一番。

ちゃちゃっとお風呂に入って寝よう…。

お風呂から上がり時計を見ると19時。

まだこんな時間なのか。

でもたまには早めに寝てもいいだろう。

兄に 寝るね と短く言葉を残し自室のベッドに入った。

なんとなく疲れていたので瞼は重く すぐ眠りにつけた。



__ふと目が覚める。

今は何時なのだろうか… 瞼を開けると早めに寝たからなのか喉が渇く。 夜中に台所へ行くのは少し気が引けるが欲には勝てない。そっと居間へ続く階段を歩いてると

「何故……なんだ!?」

「だから……って…でしょ!?」

居間から母と父の怒鳴り声が聞こえる。

…また、か。

もううんざり、私が邪魔ってのはわかってるから。

やめて やめてよ

兄ちゃん 私もそっちに連れてってよ。

いても立ってもいられずに家から飛び出してしまった。

あれ、喧嘩はいつものことなのに…あはは。

ドアの音で私が外に出たのはわかっただろうが、

イラナイから追いかけてなんてこないよね。

汚い頭はいらないことばかり考え、町中を無我夢中で走る。


どれくらい走っただろうか。

息もたえだえ周りを見渡すと見慣れない川が眼下に広がる。

「…もう私いなくなりたいよ。」

ちょうどあのお節介な兄もいないし、

いなくなっちゃってもイイよね?

自然と足はその川へ向かっていく。


…はいつも偉いわね。

お兄ちゃんのために我慢してあげてね。

母が笑顔で私の頭をなでる。


…はもう少し頑張れよ?

父が少し困り気味に言う。


優しかった母と父は、

憧れてた仲の良い家族の夢は、

兄ちゃんと一緒に消えてなくなった。

「…また、か。」

最後に兄の顔が見えたような気がした。



BADEND


やり直しますか?

・はい

・いいえ


『…はい。』





「…っ!!」

ベッドから体を起こし私は固まっていた。

…変な夢を見たような気がするが思い出せない…。

時計を見ると7時30分。

これは急がないと学校に遅れてしまう。

私は急いで支度をし兄に 行ってきます!と適当に声をかけて急いで走り出した。

空はどんより曇っていてなんだか心がぱっとしない。

傘、持ってくればよかったなぁ…。


学校にはギリギリ間に合ったが、早めに来ても暇なだけなので丁度良かったのかもしれない。

自席に着き本を広げると周りからは雑音が聞こえる。

「…さんの傷怖いよねー…」

「関わらない方がいいわよ。」

…なんて耳障りな世界なんだ。

こんなことなら空気でいたかった。

人との関わり方も忘れてしまったのかな。

なんて考えていると教師が入ってくる。

またつまらない授業の始まりか…。

_放課後、案の定降り出した雨に困っていると何やら後ろからバタバタと足音が聞こえてくる。

突進してきた影は勢いよく私を吹き飛ばした。

転んでしまったようだ。

…帰りたい。最悪。みんな見てるし、ありえない。

内心毒づきながら見上げると

「…あ、悪い。」

なんて笑っていやがる自称学年一モテる男が現れた。

これじゃあ人の目も集まるわな。

私は興味無いので人の目を集める人とは関わりたくない。

「別に大丈夫です。」

と短く言い、埃を払い立ち上がると奴はわざとらしい笑顔と素振りで

「傘なくて困ってるの? 二つあるから貸してあげるよ。」

…こうやって女を落としてきたのか。

見え見えの俺優しいでしょアピールにはとても腹が立ったので

「結構です。」

と吐き捨て家に向かって走り出した。

今日は走ってばっかりだな…。

「…ふーん、面白い奴だな。」

誰かの囁いた声が私の耳に入ることはなかった。


家に帰ると兄が呑気に おかえり と声をかけてきた。

雨の中走ってきた所為で全身びしょ濡れだったので兄に返事をせずそのままお風呂場へ直行。

濡れた制服を脱ぎ捨て

明日までに乾くかな、と考えていると夏と言え寒くなってきたのでお風呂に入る。

散々な目にあった。

明日は平和な日常に戻って欲しいな…。



翌日。

いつも通り6時40分に起きた私は昨日のようにバタバタとせずに支度を整えていく。やはり朝は余裕があった方がいいな。

家を出て通学路を歩いていると

昨日の自称モテ男とバッタリ会ってしまった。

なんだこの恋愛ゲームみたいな展開は。

気づかれないように通り過ぎようとすると大きい声で私を呼ぶ。これだけ人の目を集めといて堂々としていられるなんてすごいと思ってしまった。

「なんですか。」

「あんた頭いいんだよな?俺に勉強教えてくれよ。」

「…は?」

ありえない展開だ。

これ以上この人に関わっているとろくな目に合わないと思い無視して通り過ぎる。…が、あいつは私を追いかけてくる。なんて面倒なんだ。私に関わらないで欲しいのに。

「なぁ、いいだろー?期末逃したら俺夏休み補習なんだよー。」

休み時間も放課後もつきまとってくるやつは本当に厄介だ、女子の目が痛い。それも限界だったので私は承諾することにした。

翌日もその翌日も。

図書室で淡々と勉強を教える。

私にとっては面倒くさいの一言に過ぎたが彼は違ったようだ。勉強のなにが楽しいのか私にはさっぱりわからなかったが。

よく考えればわかることなのにこの時の私は

空気でいられるつもりだったのだ。

やつが関わってくる時点で空気になれるわけなかったのに。



「あんたさー調子乗んないでくれる?」

クラスのリーダー的存在のケバイ女子に絡まれる。

最悪だ。

「…なんのことですか。」

やつのことだろうが、一応聞いてみたら

怒りの引き金を引いてしまったようだ。

無理矢理屋上に連れていかれる。

今度はなにを始めようっていうのだろうか…。

私にはこんな遊びに付き合っていられるほど暇な時間はない。


「じゃあさ、この屋上のどっかに私の大切なもの落としちゃったんだ。拾ってきてよ。」

なんという理不尽なお願いだ、呆れてしまう。

だが一刻も早く家に帰りたかったので素直にいうことを聞いた。

古びた屋上をうろうろしているとフェンスの外側にキラキラと光るものを見つけた。ピアス…かな?中学生なのになんでこんなものを持っているのだと思ったがあえてそこはスルーし取りに行く。

「…」

フェンスの外側なので取りようがない。手を伸ばすにもフェンスが邪魔で届かない。 はぁ、最近本当に悪運だ。

イラついてしまったので力任せに手を伸ばしフェンスを押さえ込むとフェンスが変な音を出し外れた。


はず、…れた?


気づいた時にはもう遅く私の体は宙を舞っていた。

嫌な死に方だ。もう少し静かに死にたかったと冷静に考え目を瞑る。

でも、こんな世界にさよならを告げることができるのは少し嬉しかったのかもしれない。

地面に叩きつけられる直前 兄の顔が見えた、ような気がした。

「…また。」



BADEND


やり直しますか?

・はい

・いいえ


『…はい。』





__また始まる。

何回同じ夢を見ただろうか。

川で溺れ死んだり

屋上から落ちて死んだり。

これも、夢なのだろうか。

それとも現実なのか。

長い長い覚めない夢は私を苦しめる。

私の選択を「はい」にするものはなんなのだろうか。

ずっと死にたいと思っていたのに。

いざ生きたいか?と聞かれると生きたいとしか答えられない。

わた、し…は__ ?



「お前は本当に素直じゃないな」

兄の声が遠くに響く。

もう疲れてしまった。

「兄ちゃん。私も連れてってよ。」

「…それは出来ない。お前はもう少し正直になっていいと思う。」

正直になんて、もう「私」はどこにもいないのに。

「でも私より…兄ちゃんの方が生きてる価値があるよ。」

自分で言っておいて涙がでてしまう。

閉じ込めてきた感情が少しずつ溶けていく。

「…母さんも父さんも待ってる。」

「そんなわけないよ。」

「ある。ずっとお前の帰りを待って泣いている。」

「泣いて…?でも…」

「俺はもう戻れない。あとはお前だけなんだ…お前はどうしたい…?」

「__ 私は……


生き、たい。」



やっと言えた。

ずっと心の奥にしまっておいた「私」の感情。

「あぁ、…その言葉をずっと待ってた。今度はお前が俺の分まで笑顔にしてやれよ。」

兄の体が透けていく。

「…っ待って… 行かないで…っ!!」

薄れゆく視界の中 私は兄にしがみついた。

ここで離れたらもう会えないような気がしたから。

「…ずっとお前を見守るって約束する。

ナツミ、じゃあな。」

その言葉を合図に私の思考と記憶は途切れた。

私の頭をなでた兄の手は暖かかった。




『生き…たい。』






目を開けるとそこには白い天井と母、父の顔。

頭が、全身が割れるように痛い。

何をしていたの…?

私はまた死ぬんじゃ…ないの…?

「…っ!! ナツミ…?ナツミ!!」

あれ、お母さん久しぶりに名前呼んでくれた。

「先生…!ナツミが…っ!」

何をそんなに慌ててるのだ。私はいつもここにいたじゃないか…。

いつも…ここに…?


『ほらな…?お前はイラナイ子なんかじゃない、ずっと母さんも父さんも近くにいたんだ。

……もう自分で歩き出せるよな。』


そっか…そうだったんだ。

兄ちゃん、ありがとう…



後で聞いた話だが

あの事故で兄は亡くなり私は瀕死の状態で

6年間眠り続けていたらしい。

その間母と父はずっと看病していてくれたそうだ。

あの長い夢はなんだったのだろうか。

私の妄想だったのだろうか。

何もかもよくわからないが夢の意図はなんとなくわかるような気がした。

私は嫌いな夏の空を眺め 兄の笑顔を思い出す。

これからは夏を好きになれるような気がする。

約束、忘れないでね。兄ちゃん。

明日も続く暑い空を私は愛していこうと決めた。

だらだらと進んでしまいましたが

ここまで読んでくださりありがとうございます。

これからはもっと語彙を増やし素敵な作品を作れるように頑張りたいと思います!

本当にありがとうございました!

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