第7話 邂逅~俺は悪くないだろ!~
遅くなってしまい申し訳ありません
今俺は森の上空に浮かんでいる、悲鳴が聞こえたのはこのあたりだったはずだ。ゆっくりと降りていき茂みに隠れる....
「さて、ご対面と行きましょうか」
現状を確認しよう。さっき聞こえてきた声からするに、美少女が森の中で何者かに襲われ悲鳴を上げたのだろう。いや、まだ美少女と決まったわけではないのだけれども、声可愛かったし、たぶん大丈夫だろう。
どこかの国のお姫様だといいなあ、「助けてくだったお礼に是非お城まで来てください」とか言われたりして...その後は、国王様に謁見して、「わが愛娘を助けてくれたお礼だ、さあ欲しいものを言うがよい、何でもいいぞハハハハハ」とか言われるんだ。そしたら俺はすかさず姫様の下に行き。
「私は貴女がほしい、どうか私と来ていただけないか?」と言うのさハーッハッハッハー
その後は、盛大な結婚式を開いて俺は晴れて王族の一員になるのだ
「ハッピーな未来が目に浮かぶぜ、これで俺は異世界ライフを楽しめるってもんだ」
いやまだ、襲われているのがお姫様だとは限らないけれども
さあ、変な妄想はさておき、この後の計画を練ろう
まずは、何かしらのピンチに陥っているお暇様(仮)を救い出す、その後Happy Endを迎える...
よし、完璧だ。え?適当だって?いや何とかなるだろ、俺の称号を信じろ
よし行くぞ、俺は茂みから飛び出す
そして俺が見たものは...
「大丈夫か?今助ける!」
「へ?」
「え?」
「声聞いたよな?」
「あ、ハイ」
「じゃあ...死ね」
頭の上に気持ち悪い虫をくっつけた....おっさんだった
は?おっさん?美少女は?
え?なに?何が起こったの?
悲鳴が聞こえる→助けに向かう→おっさんに出会う→「じゃあ、死ね」と言われる←イマココ
おっさんをよく見てみよう、赤い髪で目も赤い、そしてがたいがすごくいい。相当耐えたんだと思う
おっさんからは凄くやばそうな殺気を向けられている。
つか、このおっさん声がめっちゃ可愛い。
おっさんなのに可愛い...え?どゆこと?
おっさんが鬼の形相で拳を振り上げて突っ込んできた
俺はとっさに上空へ回避する
「危ねえっ!」
上空に逃げれば攻撃は当たるまい、と思っていた俺が馬鹿でした。
目の前には巨大な火の玉、「いっ」もちろん俺は対応できない
バゴォォンそのまま直撃を食らい落ちる
「いっつ...なんなんだよおい」
俺は目の前のおっさんに問いかける。
「お前は俺の声を聞いちまった、この声をな!今まで俺の声を聞いて生きていた奴はいねえ。悪いがお前の人生ここで幕引きだ」
めっちゃ可愛い声でそんな事を言われた。あぁ、そうか。その声が原因で怒っているのか。
「俺、何も悪くなくね?」
「知らん、死ね」
おっさんはまたもや、拳を振り上げて突っ込んでくる。最初と違うのはその手に炎を纏っていることだろう。なかなかに距離があるのに、焼けるように熱いことからそうとうヤバイと言うことがわかる
これ、ガチで殺しに来てる!?
まあ炎の相手と言えば水でしょう
俺は落ち着きながら空気中から水をかき集め水壁を作る。空気が乾燥していくのがわかる
あ、唇割れた
「そんなんじゃ俺の攻撃は防げねえよ」
おっさんの拳が水壁に触れた瞬間、水が一気に爆発をするように蒸発した、そのまま蒸発し超高温になった水が俺を襲う。俺はとっさに右手で顔をガードした。
水蒸気とともに拳も襲ってくる
「ぐほっ」
俺は吹っ飛んだ、10メートルは地面にすら触れず垂直に飛んだだろうか。人間って飛べるんだな...そんなのんきなことを考えながら飛ばされていた
その後、地面を勢いよく転がる、身体の至る所をぶつけながら
「ぐっ...はぁはぁ、ぐあっ」
体中が痛い...何も考えられなくなりそうだ
このまま眠れたらどんなに楽だろう...
「これでとどめだな、じゃあな」
そんな声が聞こえる、このままいけば俺はきっと死ぬだろう...
死んでいいのか?俺は気がついたら異世界に行けなんていわれてそのまま異世界にきた
俺の人生はここから始まるんだと期待を膨らませ登録したギルド...
こんなところで死んでいいのか?俺はまだ異世界を満喫していないんだぞ!
いいわけがない...そう、こんなところで死んで良い訳がないんだ
俺はまだ死ねない!生きる!
そのためにはまずこの動かない身体をどうにかしなければいけない
いやそれ以前にまずは全身の痛みだ、痛すぎてまともに考えれない
痛覚を支配し遮断する...できるか?いや、出来るかじゃないやるんだ...よし、出来た
ふう、頭がすっきりしてきた、あとは身体を動かすだけだこれも支配してやろう
人間は本来の力を出し切れていない...そんな事をよく聞くよね?支配の力使えばその力を引く出すことも出来るし、ありえないような身体の動かし方も出来るはずだ...たぶんね
身体を支配するそして俺は攻撃を...避けるっ!
「何!?」
「ふぅ、助かった...」
身体を、なんか変な感じに動かし脱出に成功
顔をかばったせいで右手はやばい感じになっている
まあいいや、後で何とかする
「おっさん、話を聞け。この声だが可愛いと思うぞ?別に恥じることはない」
「舐めてるのか?今すぐ死ね」
あ、やべえ逆に激情させたみたいだ
話は落ち着かせてからにするか
まずは、相手の戦力の確認だ、おっさんを鑑定する
名前 ゲイル・オルタス
性別 男
年齢 35
称号 炎神の加護
二つ名 爆炎の破壊者
ランク SS
属性 炎
魔力量 500万
スキル 破滅の因子Lv.5 身体強化Lv.4 格闘術Lv.4 etc...
炎神の加護
炎の神の加護を授かる、火の属性を炎へと昇華させる、火や熱などへの絶対的な耐性を得る
破滅の因子
この因子を付与させたものに破滅の力を加える、レベルにより威力が変わる、Lv.5の現在は破滅を司る神の化身といってもよい、炎の魔力に付与させた場合爆発という特性を加える。何かを壊すといった事においてこのスキルの右にに出るものはないと言っていい
身体強化Lv.4
勇者や英雄と言った存在と同等の身体能力、自己治癒力、魔法耐性を得る
は?SSランク?やばくね?Lv.5のスキル?破壊力抜群?勇者並みの身体能力?
え?やばくね?やばいよ、やばすぎる、の三段活用!!!
こいつは困った、俺も殺す気で挑まないとまずい
とりあえず知らん!攻撃有るのみだ
まず、地面から砂鉄を引っ張ってくるその砂鉄を高速振動させ竜巻状に、出来上がったのはなんか凄い竜巻、中に入れば高速振動した砂鉄の刃により全身を切り刻まれるだろう、そして口や鼻から体内に入って内側からもズタボロにするという何ともえぐい技だ
「これでもくらっとけ!」
俺は竜巻をおっさんもといゲイルに向かわせる
よし、のみ込んだ!
これでかつる!
しばらく待った後、竜巻がおさまる...中から出てきたゲイルはなんと...無傷だった
「あへ?まじ?」
「その程度じゃ俺の防御は抜けんぞ」
勇者スペックは伊達じゃない、これはまずい。無傷だとはおもわなかった
「チッ、なら自然の力を食らえ!」
天候を支配する、雷を落としてやる。だがただ落とすだけじゃ効かないだろう。
雷を無数にそれこそ雨のように降らせてやる...
「雷雨!」
ゴロゴロ...ドンッゴロゴロ
雷が雨のように降ってくる、目が目がああああああああってなりそうなくらいまぶしい
雷が森を焼き火があがる、だが奴はそんなこと気にしないだろう、称号により火は意味がない
そして、雷を降らすのをやめた俺はゲイルの様子を見てみる
「こ、これは効く。ふぅお前なかなかやるな」
多少はダメージを与えたようだがまだ元気である。このおっさんはいつになったら死ぬのだろう
「おいおい、今のでもだめかよ」
「俺は、あいにく簡単には倒れねえぜ?お前を殺すまではな」
まだこちらを殺すつもりらしい、勘弁してくれ
さて、手詰りだどうする?
あ、そうだまだ魔法をつかってなかった
俺は魔法大目録『禁』から威力が高い魔法を引っ張ってくる
お?変な文字だな、読めないことはないが...あ、これ古代文字か
何でわかるかって?だって古代魔法って書いてあるし
てか古代魔法まで載ってるよ魔法大目録『禁』すげー
おっさんも魔法を使うらしくなにやら詠唱を始めている、ここからじゃ聞こえないがなんか黒いものが魔力に混ざっているのが見える、あれが破滅の因子だろう。やばそうな魔力量だし
だがそれはもう対策済みだ、さあ撃って来い
ゲイルから放たれたのは黒い炎、内部で爆発を繰り返しながらどんどんと大きくなる
このままでは、森ごと綺麗に消滅するだろう
だが甘い、俺はゲイルの魔法を支配する、魔力を魔素に還元し取り込む、して俺の魔力へと変換
そのまま大気中にある魔素も取り込んでいく、この魔法には大量の魔力が必要だからな
向こう側でゲイルが驚いている、そうだろういきなり魔法を消滅させられ、そして相手がいきなりやばそうな量の魔力を練っているのだから
ゲイルが防御をしようとしている、だがこの魔法の前では意味がない
さあ、食らえ
「調和する光 渾沌とかす闇 儚き命 不滅の魂 混在せよ 反発せよ 出会いが今別たれる」『始まりと終わり』
灰色の光が森を満たしていく、この魔法は光と闇の混合古代魔法、『始まりと終わり』本来であれば相反する力を無理やり混ぜた魔法だ
反発しあう力が互いに働き相手を自己崩壊させる魔法である
簡単に言うと再生と破壊を繰り返すようなものだ、そんなことを繰り返しているといずれ崩壊を始める
それを超高濃度でやったようなものだ
きっと原子までバラバラになってるだろう、そういう魔法だ
あたりは、まっさらになっていたその中心にぽつんと一人のおっさんが倒れている
おふぅ、生きてるよこいつ
さすがSSランク
そうしてこの日、地図から西の森が消えたのだった
次回再びギルド