第9話 SSランク
ギルドマスターと、呼ばれる人物の選定基準を知っているだろうか?
なに、簡単だ、強い事である。
ギルドマスターの殆どは現役時代Sランクまで上り詰めた人がほとんどである。
そして、この男、キース・シリングスは本部のギルドマスターである。
その実力は、SSランクに一番近い男とまで言われた男だ。
しかし、不幸な事故により、それは叶わなかったのだ。
「空いている」
そう声をかけたキースは、入ってくる人物を待った。
最初に感じたのは、威圧感。
どういうことだよ、何でここで威圧なんかされなきゃならん。
「どうやら、本物のようだ」
「俺を疑っていたのか」
「話せるようになったと聞いてね、最初は偽物が来たのかと思ったよ。それで?何の用かね」
なんだ、俺に向けてた訳じゃないのか、損したぞオイ。
ぶっ飛ばしてやろうか?いや、ごめん冗談だって。そう怖い顔しないで...
「新たにSSランクに登録したい人物を見つけたからな、こいつのおかげで話せるようになったんだ」
「ほぅ、君程の人が認める男か。正直、君が誰かを連れてくるなんて、一番無縁だと思っていたのだが、何があったのかな?」
へえ、ゲイルって、そこら辺厳しい人だったのかねぇ。
俺がボコボコにしてあげたわけだけど、まぁ強かったしね。
「俺を倒した」
「は?何言ってるのかな?」
「だから、俺がこいつに倒された」
「冗談はよしたまえ、君はSSランクの現トップだよ?」
「・・・」
「そうか、その目は本当なのか、それで?その人物は一体誰なのかな」
「それは、言えない。そういうことになっている、この人物の情報は一切公表しない、ただ、俺が保証する人物である」
「君がそこまで言うか、わかったよ。では登録をしようか。順位は?」
「こいつをトップにして、それ以外を繰り下げてくれ」
「・・・いいだろう、現トップがそう言うのならその方向で行かせてもらう。では、ここからは本人に聞く事にするよ、まず名前は?」
やっと俺に話が回ってきた、長えよ。
さて、声の設定は、男と女何方にも取れる声にして、一人称は私にしておく。
「私の名前が、そうだな支配者と言うことにしておいて欲しい」
「支配者、偽名にしてはずいぶん強気な名前だこと、性別は?」
「・・・」
「言うつもりはないと...こんなので大丈夫なんだろうか...」
まあ、そんなもんさね。
俺は情報を一切与えるつもりはない。危険なのは嫌いなんでね。
「私は相手のスキルをわかるスキルを持っているのだが、君のは一切分からないね、本当に大したものだよ」
「正体がバレて、面倒なことに巻き込まれるのは嫌なのでね、情報を一切公開しないことにした」
「まぁ、君がいいならいいんだけどね」
こうして、手続きは終了した。
案外簡単だったね。
「さて、ではSSランクになる訳だが、それに着いて説明しておく事が幾つかある」
まず1つ目にSSランクといっても、その中に順位がある。
強い方が順位は高いと言うことだ。
現在のトップは、ゲイルであるけれど、それを倒してかつ本人が君がトップの方が良いという提案があったので、今日から君がSSランクのNo.1ということになる。
いきなりトップになる事で、他のランカーと多少揉めるかも知れないが、そこは自分でなんとかして欲しい。
順位が上の者から順に危険な依頼が割り振られるということになっている。
次に、特典であるが、ある程度の公共施設を無料で使うことが出来るわけだ。
他には、権力だね、王の次くらいの権力を与えられる。しかし、あまり乱用しないでほしい。
SSランカーが、誤った行動を取った時は、他のSSランカーがその行動を止める事が義務付けられている。
互いに抑止力になっていると言うことだ。くれぐれも間違ったことはしないでくれ。
新たなSSランカーの誕生ということで、SSランカー全員を集めた、会議を行う、集まり次第開催するから、あまり遠くに行かないでくれ。
「最後に、連絡手段についてなのだが、提案はあるかい?」
「それは、どんなものでもいいのか?」
「可能な方法であれば、いいよ」
「ならば、これからその連絡手段を作る、いつも身につけているものを貸してくれないか?」
そう言うと、キースははめてある指輪を渡してきた。
俺は早速、念話の術式を指輪と俺のローブに組み込む、その作業は一瞬で終わる。
うん、我ながらいい出来だ。
「これをつけていれば、私にいつでも連絡がつくようになっている」
「この短時間でそれをやったのかい?しかも、そんな魔法など、失われたはずだが...」
まぁ、魔法に関しては俺はインデックスさんがあるので何とでもなる、テラ便利〜
「それでは、カードを発行してくるよ、少し待っていてくれ」
そういい、キースは出て行った。
「案外、面倒だな。なんだよ会議って怠い」
「そう言うな、何度もあるわけではない今回のは全員の顔合わせが目的だろう」
「まぁ、おっさんが言うならいいけど」
「おっさん...」
ゲイルは落ち込んでいるようだ。
「そうだ、おっさんは俺の姿みたんだっけ?このローブを着てない時は話し掛けないでくれよ」
「わかっている」
「ならいいけどね」
そんな話をしていると、キースが戻ってきた、その手には黒いカードがあった。
おう、ようやく俺もSSランカーだね、イエーイ。魔力が無いって言われた時は絶望したけど、案外なんとかなったね。
「これがルーラー、君のカードだ。君の事については、明日大々的に発表させて貰うよ。それから、これから王に会いに行ってはくれないか?新たなランカーだからね、挨拶くらいはしておかないと、話はもう通してある、そのカードを見せればすんなり通して貰えるはずだよ」
「面倒だな、しかしいいだろうこれから向かってくる」
そう言うと、俺はカードを受け取る。
「さて、これで用は済んだからこれで君はいいよ、ゲイルには話があるから残ってくれるかな」
用が終わったらしいので俺は、この部屋から出て行くことにする。
おーさまとお話しとか面倒だよ、このまま王城まで直接転移して乗り込んでやろうか?
いや、それは失礼なのでやめておこう。
こうして俺は、ギルドを後にしたのだった。
次回レイがEランクに・・・




