竜を見たハンターの話
竜だぞ。
竜!!!
信じられっか?!
でも、本当なんだよ!
あ?
何だよ。反応わりぃなぁ。
でも、俺以外にも見たやつが山ほどいるんだ。
これがまた見事に真っ白でな。
そこにいたやつら、みんなでぼけーっと馬鹿みたいに口開けて見てたんだよ。
あぁ、もっと近づいてみたら良かったなぁ。
だって、鱗の1枚……いや、かけらくらい落ちてたかもだろ?
おしいことしたよな。
あ?
そんなもん何にするかって?
そりゃ、売っぱらうに決まってんだろ?
好事家から錬金術師、偉ぶってる貴族共まで欲しがるやつなんていくらでもいるって。
それにしても、今までどこにいたんだろな。
だってあの巨体だぞ。そりゃ、山奥にいたら分かんないかも知れねーけどよ。
あ?
いやー、さすがにアレは狩りにいけねーって。
話だけ聞いた馬鹿様方は、討伐隊組むってのも聞いたけどよ。
無理。無理。ぜーったいに無理だから。
だいたい、見つけたとして、どーやって戦うんだよ?
あの姿を見ただけで総崩れだって。
なんちゅーか、神々しいくらい真っ白でなぁ。
……そーいや、昔あんな真っ白な卵見たことあったなぁ。
いや、殻だけなんだけどよ。
嘘じゃねーって。
こう、外側が岩みたいで中があんな真っ白でなぁ。
あ!
お前、酒を噴きやがったな!?
もったいねーだろ!!
何やってんだ、まったく。