表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

姉の姉による姉のための独裁政治

朝起きると家には誰も、いなかった。



二階の自室を出るとやはり家のなかは静かだった。

一階のリビングに降りる。やはり誰もいない。

当然だろう、姉は起きるのが遅いのだから。

そうだ、姉が起きる前にたまっていたアニメを見よう。DVDの容量が少なくなっているんだ。



12時を回った。まだ姉は起きない。

昨日は夜更かしをしたのだろう。

そこで電話がなり、

「なー海っち、今から遊ばね?」

友人の健から遊びの電話だ。

「いいよ健ちゃん、今から昼食って出るよ」

残っていた余り物で簡単な昼食を二人分作り、1つはラップをかけ、

「姉ちゃん!昼飯置いとくよ~!」

返事は、ない。

結局、姉の声を一度も聞かないまま、俺は家を出た。



午後6時、帰宅。

「ただいま~」

返事は、ない。

流石におかしい。怪訝に思った俺は二階に上がり姉の部屋の前にたつ。

「姉ちゃん、起きてる?」

返事は、ない。

「入るよ?」

ノックをし、部屋のドアを開ける。

姉の使っている香水が鼻腔をくすぐる。

綺麗に整えたベット。無論、俺がやったもの。

整頓された机。無論、俺がやったもの。

クローゼットを開ける。

しっかりと詰め込まれた姉の服。無論、俺がやったもの。

姉の物が沢山あるこの部屋で、肝心の姉はいなかった。無人の部屋。

今、この家に姉はいなかった。

理由はわからない――が、これは望んだ空間だ。俺は嬉しさの余り、歓喜の声をあげた。


∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧


歓喜の声をあげる俺を、見ている俺がいた。

俺が見ている俺はとても嬉しそうだ。対称的に、俺はどこか落ち着かない。

パズルの1ピースが見当たらないような不安。

くしゃみが出そうで出なそうな…みたいなもどかしさ。

とにかく、不安だった。

何で?何でだろう?何が足りないんだろう…?

俺は気付く。姉が、足りないんだ。

姉はキライだ。色々命令するし、暴力をふるう。

だけど、俺は満足してたんだ。別に、Mになったわけじゃない。親がいなくなって俺を見てくれる人がいないと、思っていたんだ。

でも、姉ちゃんが見ていてくれた。あんまり嬉しくない見方だったけど見てくれたんだ。

「そっか…姉ちゃんの専制政治は必要だったんだな…」

今、この時点で姉の専制政治は終わった。姉の政治は国民に認められた政治。独裁政治になったんだ。

「やっと…専制政治が終わったんだな」


∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧


「いつまで寝てんだ!!とっとと起きろぉ!!」

「ぐふぉ!!」

姉ちゃんの肘が俺の鳩尾に埋まった。


ハイ、最終話になりました。

皆様から数々のメッセージや、感想をもらい、どんなに励まされたことか!!

本当にありがとうございました!!


皆さん、お元気で!!


ご意見、ご要望や、読んでくれた方が余りにも多い場合はseason2も検討しております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ