表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

兄として

サリアはブラコンが強すぎですね・・・。まぁ、ゼロもシスコン度はたいがいですが。

ゼロは一瞬戸惑ったが、すぐにサリアの頭を軽くなでる。


「やぁ、サリア。みんなへの自己紹介が終わったらお前のところに行って報告しようと思ったんだがな」


「お兄様・・・私を驚かせようとしていたのですね?」


「ん、まぁ、な。」


「いじわるです・・・」


「まぁまぁ、そうなる前にお前に見つかってしまったしいいじゃないか、な?」


「今回だけですよ?」



兄妹同士なのに妙に仲がよすぎる。兄妹だと知らなければ二人を他人から見れば恋人同士にしか見えないそんなやり取りだった。


『ねぇ聞いた?あの子レクマイヤー君の妹だってー』『え、じゃああの子と仲良くなればレクマイヤー君とも仲良くなるって事~?』


『あの女の子だれだ?』『確か一年のサリア・マクレイヤーだ。』『よく知ってるな』『1学年の美少女だぜ?』『へぇー、じゃあゼロってやつと仲良くなればあの妹と、』


そんな声が二人の周りから聞こえるが二人の耳には聞こえてないらしい。すると、ふと気づいたようにクラスの皆を見つめなおしてサリアの腰に腕を回す。


「え、お兄様、あの・・・」


腰に手を当てたことで若干頬を赤く染めるサリア。


「一応紹介しておく、妹のサリアだ。よろしく頼む。ああ、それから・・・もし妹を悲しませたり、傷つけたり、何か危険のことに巻き込ませたり、手を出したりしたら・・・殺すぞ?(・・・)」


最後の言葉にとんでもない殺気を込めて放つ。その殺気にクラスの温度が一気に氷点下に下がった。

ある者は急な寒気で体が震え出し、ある者は気持ち悪くなって口を押さえ、ある者は膝の震えが止まらず、ある者は失禁し、教師は気絶した。

ゼロは教室の皆とその取り巻きの状態を確認したあと殺気を収めサリアに向く。


「こんなところか、さて、サリア自分の教室に戻りなさい」


「はい、お兄様。また、会えますか?」


「ああ、もちろん。それと後で相談ある、空いてる時間はあるか?」


「はい、昼休みなら、食堂で待ち合わせ・・・いえ、お迎えに上がりますわ!お兄様!」


「いや、今度は俺から迎えに行こう、いいかな?」


「はい!もちろんです!お待ちしています」


そんな感じで分かれたがその日の昼までサリアは落ち着かなかった。マリ、レン、エルはその姿を不思議そうに見てたが、あえて突っ込まなかった。

特に昼に近づくにつれてソワソワとし、教師から具合でも悪いのかと聞かれたくらいだ。

おまけにチャイムが鳴る数分前になると時折よく廊下のほうを見ていた。

ようやく昼休みになり、廊下に急いででも走らずに出るとそこにはゼロがいた。


「お待ちしておりました!」


「今でてきたばっかりだろう?さぁ、行こうか。友達も紹介してくれるかな?」


笑いながらサリアの言葉に答え、教室の扉からそっとこちらを見ていた、マリ、レン、エルのほうをちらっと見て言う。


「はい、もちろんです!食堂はこっちです」


3人に付いて来るようにと手招きをして、さりげなくゼロの腕を取り食堂へと案内した。


そんなサリアの様子を悔しそうに見ていたある集団がいた。自称サリアファンクラブである。本人の無許可で発足したこのファンクラブはサリアに悪い虫が付かないように阻止し、遠くから眺めるといった活動をしているが、毛髪を手に入れて臭い嗅いだりだとか、下着を盗もうとしたりだとか、ここ最近過激な行動が出てきていた。そもそも、このファンクラブの会長であるアラン・エイヴォリーはサリアに一度振られているが諦めきれずこの変態的なクラブを作ったのだった。


そうとは知らず、サリアとゼロ達は食堂で談笑していた。一通りの友人の自己紹介を終えるとゼロはサリアに切り出した。


「しばらくはこの学院にいることになるんだが、会うのが学校で休憩時間だけというのはちょっと不安だ。だから、一緒に住まないか?もちろん、お前の意思は優先するが・・・」


と、そんなことをいきなり言い出した。


えっ?という驚きの顔をしていたのは三人だけで、サリアは一瞬驚いたが、すぐに応えた。返事はすでに決まっていたらしい。


「お兄様と暮らせる!?本当ですか?」


「ああ、この学院は一応寮制だがそれは町に家を持たない者に限られる、だが、町に家を持っていれば別だ。どうする?」


「喜んで!」


「それはよかった、引越しはなるべく早いほうがいいかな。今週末は空いているかい?」


「ええ、もちろんです!」


「じゃあその時に引っ越そうか」


「もう家は決まっているのですか?」


「一応な、サリアの返事次第だったが。住もうと思えば今日にでも住めるぞ」


「じゃ、じゃあ今日からお願いします!着る物とか持てる物だけ持っていくので!」


「いいのか?」


「はい!大丈夫です!」


このあたりでアランの怒りは頂点に達した。寮から出て男と同棲だと?許さん!そう勝手に思い込むと5人の間に割って入った。


「おい、ゼロとやら!俺とサリアちゃんを賭けて決闘だ!」


「「はぁ??」」


何を言っているんだこいつは・・・。と言った表情で反応する3人。そして、おいおいあいつ本気かよという感じで見ている周りの人々。周囲の人間がそう思うのも無理もない。2Aの悲劇と呼ばれたあの惨劇はすでに学校中に広まっていたからだ。1Aのサリア・レクマイヤーに手を出したら殺される。そんな噂がすでに全校生徒の8割ほどが耳にしていた。が、アランに関してはゼロがサリアの兄ということすら知らなかった。


「それでいつやるんだ?今か?」


ゼロがそう問いかけた。


「ほう、やる気だな・・・。いいだろう!1時に修練場で待っている!」


そう言うとアランは帰っていった。


「1時って午後の授業あるじぇねーか」 「どうすんのよ?」 「もちろん、さぼる!」「賭けるか?」 「いいねぇ」


そんな声が周りで騒ぎになって巻き起こる。

その中でマリが心配そうにゼロを見る。


「大丈夫?アランって変態だけど結構強いんだよ?」


「変態だけどって・・・」


呆れるエル。


「まぁ、変態だけど強いのは認めるな」



「え?」 「なんで、レン?」


「風紀委員があのファンクラブを取りしまれない理由の一つがアランだ。うちの委員長の属性は雷、アランは地だ。相性が悪すぎる。それに・・・」


「「それに?」」


「アランの学院内魔法レベルはAランク。並みの奴で倒すのは難しい」


「えーそれじゃあゼロ君ピンチじゃない!」


(ところがそうでもないんだよな・・・)

そう思うのはエルとレンだけだろう。目の前で和やかに妹と話す人物は過去にSSランク魔法を使っているからだ。


「さてと、そろそろ1時だし、ちょっと行くか~」


まるでちょっと飲み物を買ってくるみたいに軽い感じでゼロが立ち上がる。


「お兄様、お供しますわ」


「サリア、授業はいいのかい?」


「今は授業よりお兄様のほうが気にかかりますので・・・」


「私もいくぜ!」 「ああ、私もだ」 「わ、私も!」


どうやらみんな付いて来るらしい。しかたがないので皆で修練場まで行くことにした。


修練場ではアランがすでに来ていた。周りの席にはちらほらと人がいる。どうやら食堂で聞いていた人が結構いるようだ。


「待っていたぞ!さぁ、勝負だ!」


ゼロは修練場に降り、アランと対面した。


「で、どうすればいいんだ?」


「どちらかが戦闘不能になったら終わりだ、いくぞ!」


アランが突然地面に手をあてる。その瞬間地面に魔力が流れゼロの足元で魔法陣が広がり、魔法が発動する。


「魔法トラップか!」「あの野郎・・・!」


観客席ではレンとエルが怒りをあらわにしていた。


「お兄様・・・」


サリアとマリは心配そうに見つめている。


「おや、決闘ですか~、若いですねぇ。何を賭けて彼らは戦ってるんですか?」


「あ?知らないのかよ、サリアを賭けて・・・ええええ!?」


「が、学院長・・・!どうしてここに?」


後ろで声がしたので振り向くと初老の男性が座っていた。この学院の学院長アルノルド・バーデンがいた。


「女を賭けて決闘とは青春ですね~」


どうやら止める気はないようだ。

こう話している間も戦闘は続いている。


魔法トラップで発動した魔法は地属性の拘束系魔法だった。地面から出てきた鎖がゼロの体を拘束した。


「アース・バインドか・・・、確かに効果的だな」


「いつまで余裕ぶってられるかな?」


動けないゼロに向けてアランは手を向けて魔法陣を展開した。


「食らえ!<飛び出るは石の拳、ストーンパンチ!>」


放たれた石の拳がゼロに迫り来る。誰もがアランの勝利を確信した。

しかし、石の拳がゼロに触れる直前に爆砕して散ってしまった。


「なっ!?」


「ふ、この程度の魔法でサリアに手を出すだと?笑わせてくれる」


予想外の出来事に驚くアラン。だが、そんなアランをよそに鎖を振り払うとゼロはアランに近づく。


(む・・・?今のは・・・)

その時顔をしかめた学院長を見たものは誰一人いなかった。


「こ、これなら、どうだ!<飛び出るは5つの石の拳、ストーンパンチ!>」


5個の石の拳がゼロに迫るが触れる直前に消えてゆく。


「な、なぜだ!なぜなぜ!」


「凍りつけ」


ゼロが手を振るとアランの足が凍りつく。


「う、うごかない・・・!む、無詠唱だと?」


「くたばれ」


ゼロがアランに向けて手を向けて魔法を発動させる。ゼロの周りには無数の氷の塊が現れ、一斉にアランに向かっていった。


「うわああああああああああああああ」


声が聞こえなくなり気絶したことを確認するとゼロは攻撃をやめた。


あっけなく決闘が終わって拍子抜けしたのかギャラリーはすでに解散し始めている。


「お兄様~」


サリアがゼロに向かって走っていく。それに続いて、レン、エル、マリ、そして学院長が来る。


「なんていうかあっけなかったな・・・」「うん、確かに・・・」 「Aランクの割りに、ねぇ?」


「いやいや、ストーンパンチはBランク魔法ですし、魔法トラップのアースバインドもBランク魔法。それに対してゼロ君の魔法もBランク魔法で返してましたし、いい勝負だったと思いますけどねぇ」


と、当然のように会話に参加してくる学院長。


「学院長いらしていたんですか」


「ええ、面白そうなので観戦してました。でもゼロ君は私が来たのを気付いていたのではないですか?それであまり派手な魔法を使わなかったとか・・・?」


「えええ?」「そ、そうなのか?」 「お、お兄様・・・?」


「なんとなくですけどね、まぁ、なんか魔力の強い人がいるなぁぐらいだったので。魔法も控えめにしたんですよ」


「・・・そうでしたか。ゼロ君すみませんが放課後に学長室に来てもらえませんか?聞きたいことがあるので」


「いいですよ、それでは放課後」


学長に頭を下げ修練場をあとにする。


「そ、それでは失礼しまーす!」 「え、あ、待ってー!」


授業は多少遅れたものの特に何もお咎めはなかった。


放課後、サリアは女子寮の前で待っていた。周りには荷物が置いてある。放課後、学長室に寄るとゼロが言ったため先に準備して待っているのだ。


(一体何を話されているのでしょうか?)

もうじき日が暮れる。


―学院長室―


そのころゼロは学院長と対面していた。


「それでお話というのはなんでしょうか?」


「単刀直入に聞こう、君はグラウンドマスターなのかね?」


「いいえ、グラウンドマスターではありません」


『グラウンドマスター』

それは地属性魔法を極めし者に授かる称号だ。他にもフレイム、ウインド、アクア、サンダーなどの属性魔法があるがこれらも極めれば授かることができる称号こそがマスターである。

『称号』

称号とは称号システムとも呼ばれる。人は生まれながらにしてなにかしらの能力を持っているこれらを初期称号という。だが、本人の修行や別の才能を開花した場合得られる称号もある。これを修得称号という。例えば、農民に生まれた子がいたとしよう。この子の場合初期称号は『農民』である。効果は農地を耕すことができる。というものだが、仮にこの子が騎士になったとすると、称号は『騎士』となるが、初期称号は変わらない。つまり称号とは人が獲得したスキルと考えるとわかりやすいだろう。称号は身分証明結晶に記録される。他人にも見せることが可能だが本人の意思で見せたくない称号などは隠すことも可能だ。

ちなみに『グラウンドマスター』の称号の効果というと「同属性の魔法効果を無力化する」というものである。


決闘の戦いを見て疑問に思い真っ先に思い立ったのがこの結論だった。だが、そうではないらしい。しかし、他に思いつかないので学院長は黙り込む。


「それでは失礼します」


そう言うと部屋を去ろうとして背を向けた時後ろで魔法無力化の音がした。

振り向くと学院長がこちらに手を向けている。


「生徒の背後を襲うとは教職としてやってはいけないことなのでは?」


「五属性合成魔法エレメンタルボールを背中で受けて平気な顔をしている生徒に言われたくないですね」


「受けてませんよ、ちゃんと無力化されたでしょう?」


「なるほど、とても信じられませんが・・・あなたは『エレメントマスター』なのですね・・・」


『エレメントマスター』

それは五大元素魔法のすべてを極め者に与えられる、魔法界究極の称号である。効果は五大元素、炎、水、地、雷、風の元素魔法を無力化するといったものだ。


「そのとおりです」


「生きててその称号を持つ者に会えるとは思いませんでしたよ・・・」


「そうですか・・・。ですがこの称号は内密にお願いしていただきたい。もし誰かに漏らすことがあれば・・・」


ゼロの全身から殺気が放たれる。


「ええ、大丈夫ですよ・・・。どうせ言っても信じてもらえるかどうかわかりませんですし」


「では、失礼します」


そう言うとゼロはドアを閉めて去っていった。


「やれやれ、あの年でとんでもない殺気を放つ子だ。それにしても、エレメントマスターとはまた・・・」


ゼロは女子寮の前で待っていたサリアを迎えに行くとそのまま街のほうにサリアを連れて行った。


「ここだ」


そこは町の中でも住宅街の一角にある中くらいの大きさのある邸宅だった。庭には様々な魔法植物が生えている。玄関には騎士の石像が2体あり、アーチにはバラの花が咲いていた。


「こんなすごい家、一体どうしたんですか・・・?」


「サリアと住むんだ、これくらいのことはしないとな」


そう言ってゼロはサリアを促す。


家の中に入ると、2階に上がっていく。


「ここが俺の部屋だ、隣はサリアの部屋。掃除は済んでいるから着替えたら夕飯にしよう」


その後二人は夕飯を食べ、学校の話題で盛り上がったあと床に付いたのだった。が、サリアが少々わがままを言ったため、ゼロは寝るのは少し遅れた。


「せっかくこうして一緒になれたのです、一緒に寝たいです。お兄様」


可愛い妹の頼みだ、断るわけにもいかない。しかたがないので一緒のベッドで寝ることにした。


横で寝るサリアを見ながらゼロは静かに目を閉じる。こんな平和が続きますようにと願いながら・・・。

遅くなりました!本当にすいません><

いやー、区切るとか見つからなくて今回もだらだらと長文ですよ!

学園ほのぼのというより学園バトルファンタジーですねぇ~。次回あたりから主人公が何者なのかほんの少しわかるかもしれません。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ