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再会

主人公活躍回ですが少し短めです。

ヘルハウンドがやられたせいか魔物の群れは勢いを失いひるんでいる。そんな魔物達を警戒するように見るとゼロは再びサリアに話しかけた。


「危機一髪といったところか、怪我がなくてよかったよ」


目の前の現実がとても信じられなくて固まっていたサリアだったが、諸々の感情は押し込んでとりあえず兄に抱きつくことにした。


「お兄様!会えてとても嬉しいです・・・」


ぎゅっとゼロに抱きつきしっかりと温もりを感じる。


「俺もだ、サリア。立派になったな」


よしよしと、頭をなでるゼロ。


「あ、あのー・・・兄妹の感動的な再会を邪魔して悪いんですけど、魔物がまだ残っているのですが・・・」


レンがおそるおそる二人に話しかける。


「そうだった、サリアまた後にしようか」


「ええ、そうですね・・・」


名残惜しそうにゼロから離れる。

ゼロはサリアが光の防御陣の中に入ったことを確認すると魔物の群れに向き合った。

そして、右手をかざす。


「貴様ら、こんなに我が妹を怖がらせた行為万死に値する」


ブゥン


右手から魔法陣が展開する、さらにもう一つ、もう一つと元の魔法陣に重なるように別の魔法陣が展開していく。


「た、多重魔法陣・・・」


リジーが呟いた。


『多重魔法陣』

本来魔法陣は一つしか展開できない、いや、一つで十分なのだ。1個以上展開するとそれだけ発動が遅くなるし消費魔力も多い、なにより魔法制御を完全にこなしていなければ扱うことさえできない。

では、魔法陣を重ねるメリットとはなにか?それは、威力の向上と効果範囲の拡大だ。

例を挙げると一つの魔法陣でファイヤーボールで発動した場合バスケットボールより少し大きめの炎の球で消費魔力は15となる。(魔力総量100として)だが、多重魔法陣を使い魔法陣を2つにした場合火球の大きさは1つの時の2倍くらいの大きさになり消費魔力も30となる。つまり魔法陣が増えていくたびに威力と消費魔力は展開した魔法陣の数の倍になるわけである。魔法の威力を上げるには魔法陣を複数展開しなければならないのかというとそうではない。『詠唱』を使えばいいのである。ただ、<ファイヤーボール>と唱えるのではなく<巨大な火球となりて、ファイヤーボール>これでいい。この場合の『巨大』の大きさは術者がだいたいこのくらいの魔力で撃とう。といった感じの大きさになる。よって通常魔法を放つ場合、詠唱を重視することが多い。


3つの魔法陣が展開される。

「<舞い落ちる光の雨よ、闇の化身を消し、殲滅せよ、シャインレイン!>」


突如上空が光ったと思うと無数の光の雨が魔物の群れに襲い掛かる。最初は光弾によってやられる魔物が見えていたのだが段々と光の量は増えていき豪雨となり、眩しくて目が開けられないほどになった。

思わず目を瞑った4人だったが次に目を開けると自分たちを囲っていた魔物の群れは完全に消えており地面に大きな無数のクレーターだけが残されていた。


「すごい・・・」


「おいおい、なんだこの威力は・・・」


「多重魔法陣による光属性SSランク広域魔法シャインレイン・・・、こんなことができるなんて何者なの・・・?」


「お兄様、さすがです!」


反応は様々だった。サリア以外の全員がその威力に圧倒されていた。サリアだけは目がキラキラさせながらゼロを見つめている。


「さてと、全員怪我はないようだが・・・。その倒れてる女性はどうしたんだ?」


全員の怪我の状態を確認しながらカルアに近づく。


「カルア先生は、その、ゲルン先生が亡くなられてから正気を失ってしまって・・・」


「ふむ、同僚の死を目の前で見て心が折れたか・・・。どうやら気を失っているだけらしいな」


ゼロがカルアに手をかざし健康状態を確認した。


「とりあえず担いでいくか・・・」


そう言うとカルアを抱こうとするとエルに止められた。


「待ってくれ、その役私にやらせてくれ!」


「なぜだ?」


「私も何か役に立てたいんだ!頼む!」


「・・・わかった」


そう言うとゼロはエルにカルアをまかせた。


「ところでなんでこんなところにいるんだ?講堂に避難するよう指示が出ているはずだろ」


ふと疑問にしたことを問いかける。


「お兄様、なぜそのようなことを知っているのですか?」


「ん?学院に向かっている時に連絡を受けてな、生徒達は講堂に避難していると言われたんだよ」


「そうなのですか・・・」


「ここにいるのはさっき話したゲルン先生が近道をしようって言ったのさ」


「近道?寮からならここを通らなくてもいいだろ」


「それがその寮からじゃないんです・・・」


「実は・・・」


リジーが自分に起きたことをかいつまんで話す。


「ゲート魔法に魔人か・・・。なるほど、それでサリアのペンダントがないことも納得だ」


話を聞いて難しそうな顔をするゼロに対しサリアは疑問に思ったことを口にした。


「お兄様、あのペンダントは一体なんなんですか?」


「あれは守護聖石というやつでね、邪悪な存在やサリアが命の危機になった時に発動するものなんだ。手を出してきた対象を消滅させるという効果を持つのだが魔人か・・・。男爵クラスなら倒せているかもしれんが」


「私を守るためのペンダントでしたか・・・。ごめんなさい、その壊してしまって・・・・」


悲しそうに目を伏せるサリアの頭をゼロが優しくなでる。


「なぁに、あのくらいのペンダントいくらでも作ってやる。それにあれは発動すると壊れてしまうからな、しかたがないさ」


「魔人も厄介だがゲート魔法のほうが厄介だな、ゲートは一度開いてしまったら周囲の魔力を吸収しながら扉を維持し続けるからな。おまけに早く壊さないと魔物が増える一方だ」


「そうなのですか・・・」


「ではこれから?」


「ああ、魔人とゲート魔法を倒しに行く。お前達は講堂に向かうんだ、いいね?」


「お兄様、でも途中で魔物に遭遇したりしたら・・・」


「そうだな、一応援軍を呼ぶとするか」


そう言うとゼロは地面に手をつき魔法陣を展開させる。


「これは召喚魔法陣・・・?」


「<我が契約に応え現れよ!リーラ!>」


キイイイイイイイイン!と、音がすると魔法陣が煌めき巨大な狼が姿を現した。銀色の毛並みでとても神々しい。


「契約に応じ参上した。我が主よ、何用だ」


「リーラ、彼女たちをあの建物まで護衛してもらいたい。俺が帰ってくるまで頼む」


「了解した。ところで主よ、姿はこのままでもいいのか?」


「うーむ、人型に変身してもらいたいところだがあいにく服の持ち合わせがないんだ。すまないがそのままでいてくれ」


「わかった、さてゆくぞ。小娘たち」


「「は、はい!」」


「お兄様・・・」


サリアだけがゼロを不安そうに見つめる。


「大丈夫だ、あの時とは違う」


まるで夢を知っているかのような答えに驚いたがリーラに促されみんなの元にむかった。もう一度振り返るとそこにはもうゼロの姿はなかった。

講堂に着くまで一同は終始沈黙を保ったままだった。また戦闘があるかもしれないと油断をしないためというのもあるが隣でのっしのっしと歩く巨大な狼がいたせいでもある。

本当は疑問で一杯だった。サリアが兄と言う人物が大量にいた魔物をSSランクの魔法で一掃し、おまけに召喚魔法を難なくこなすこの人は一体何者なのかと。

講堂に着いてからも一騒動あった。原因はもちろんリーラだ。


「あなたたち無事でよかっ・・・そ、それは一体なに?」


「魔物か!?総員構えろ!」


救援に来ていた王都守護騎士団が戦闘態勢に入る。


「ほう、私に剣を向けるとは、な。貴様らも敵か?」


リーラがうなり声を上げながら構える。


「待て待て!そのお方を攻撃するな!」


魔法生物学のブレントが慌てて止めに入った。


「お前らわからんか?この神々しい銀色の毛並みに魔力量の高さ!このお方は神狼フェンリル様だ!」


「神狼・・・?」 「フェンリルだと・・・」


ザワザワと騒がしくなる。

周囲のざわめきを無視しブレントがリーラに話しかける。


「フェンリル様、この子たちを助けていただきありがとうございます」


「別に私は助けなどしていない、ここまで護衛するように言われただけだ」


「そ、そうでしたか。で、ではどなたか仲間とご一緒に?」


「違う、我は主によって呼ばれただけだ。魔人のほうは主が倒しにいっておる、もうよいか?」


「え、あ、ああはい・・・」


いまいち納得のいかない答えに戸惑うブレントだったがこれ以上質問するとフェンリルに怒られそうなので自重した。

騒ぎを聞いて5人の男女がこちらに向かってきた。


「貴様らそこで何をしている!」 「ってうお!」 「フェ、フェンリル!?」


同じような騒ぎが起きそうだったのでリーラが睨みつけると静かになった。

横になって眠るリーラをスルーしつつそのメンバー達はサリアたちに話しかけてきた。


「それで?」


「それで、ええと、その私が話しますね?」


リジーが事の顛末を話し、レン、エルがグランドでの出来事を話し、サリアが兄のことを(嬉しそうに)話した。


「魔人か、予想通りだな」


「ええ、その青年のことも気になりますが、厄介ですね」


「解析班からの報告は?」


「魔力総量から見て恐らく子爵級かと」


「子爵級ならいけるな?」


「はい、行きましょう」


「あのー、ところであなた達は一体何者なんですか?」


レンが恐る恐る質問する。


「私たちは魔道師ギルドより派遣された対魔討伐専門クランのフレイムクロスだ。今回魔人の目撃情報が入っていたので我々が担当することになったのだ。」


ギルドから派遣されたクランだと聞いて一同ほっと落ち着いた雰囲気になる。


「あとは我々にまかせて――「ドオオオン」なんだ、今の音は!?」


「わかりません!」


「向こうから聞こえましたが・・・」


指を指す方向は旧校舎のほうだった。


「お兄様!」


サリアが走り出す。


「あ、おい、サリア!」


「ちっ!おい、お前ら行くぞ!」 「「はい!」」


フレイムクロスがサリアを追いかけていく。

サリアとフレイムクロスが旧校舎に着くと驚きで立ち止まってしまった。建物が半壊していてもうすぐ崩れそうだ。建物から少し離れたところに誰かが倒れているが暗くてよく見えない。

サリアが駆け寄ろうとすると・・・、


「近寄るな!」


旧校舎からゼロの声が聞こえた。


「そいつはまだ生きている」


「え?」


「あんたが先行していった奴か、いいか?これは我々が・・・「ドォオオン!」おい!」


隙を突いてカルネージがこっちに向かおうとした時ゼロが何かを放ちカルネージに当てる。


「ぐあっ・・・」


よく見るとカルネージはボロボロだった。左半身は消滅しており左手や足が千切れ飛んでいた。


「とどめだ。サリア、もう少し離れるんだ」 「は、はい」


ゼロの右手が青色に光るとそれをカルネージに向けて放った。


「ああああああああああああああああ」


青色の閃光とともに爆発が起きカルネージの身体が消滅してしまった。


カルネージの消滅を確認しゼロがサリアに近づく。


「サリア、講堂に行けといったろ?」


「ごめんなさい、お兄様が心配で・・・。」


「やれやれ、大丈夫だと言ったろう?まぁ、いい。それでこいつらは誰だ?」


「なんか魔道師ギルドからの派遣で来た方たちらしいです」


「そうか、じゃああとは任せる。俺はサリアを送っていくから」


「なに?おい!話によるとゲートがあるとか言っていたんだが、どこにあるんだ?」


「ゲートならすでに閉じた、「なっ!?」後始末よろしくな」


「い、いいだろう。だがこの依頼は我々の物だからな!」


「構わんさ、じゃあよろしく」


ゼロはめんどくさそうな仕事をフレイムクロスに押し付けるとサリアを抱え、空へと飛んだ。

登場人物に全部ラ行が入ってるってどういうことなの・・・。

キャラの名前考えるの難しいです。

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