プロローグ
まだ未完の小説があるというのにまさかの浮気。この二足のわらじがいつまで続くのやら・・・。
空は赤く、煙は天高く上っている。とある屋敷が燃えているのだ。
少女は泣きながら走る。
父親は目の前で殺され、母親は自分をかばって死んだ。
護衛も屋敷の人間も殺された。
母親の最後の言葉。
「生きて・・・。」
それを思い出しながら少女は走る。生きるために・・・。
「あっ」
足がもつれて転んでしまった、慌てて起き上がり走ろうとするが得体の知れない何かに捕まった。恐怖で息ができず、動くこともできない。
何かが自分を取り込もうとしたとき、光が何かを貫いた。
「ぐあああああああ」
何かは悲鳴をあげながら消えていく。
少女は解放され息を大きく吸いながら、辺りを見回した。
すると、空から一人の少年が降りてきた。
煙でよく顔が見えない。
「あなたは誰・・・?」
少女は不思議そうに問いかける。
「君の騎士だよ」
少年はそう言いながら少女に微笑みかけた。
「もう大丈夫だから、あとはまかせなさい」
すると後ろから抱きかかえられた。後ろには女性が立っていた。
「さぁ、一緒に行きましょう」
そのまま空に上がっていく。
ガキン!
少年が後ろから何かに襲われた、咄嗟に防御するも顔をゆがめながら戦っている。
その周りにもう一体、一体と次々に囲まれ始める。
少女は叫んだ。煙が一瞬だけ晴れ少年の顔がはっきりと見えたからだ。
「―――!」
声が出ない、いくら叫んでもそれは声にはならなかった。そして少年はどんどん小さくなっていく。