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第7話 学園都市への招待

お読みいただきありがとうございます!崩壊しつつある世界。セレステには何が待っているのでしょうか。 次回、新たな舞台でロアの「お掃除」が始まります!

 学園都市セレステ。  そこは、この世界のあらゆる知識が集まっている、世界で一番大きくて綺麗な街だ。    レオニスの騒動が終わった後。ロア、ラグ、そして観測員だったフィオナの三人は、セレステから迎えに来た馬車に揺られていた。   「……信じられませんわ。私が、ロアさんを連れて自分の故郷へ戻るなんて」


 フィオナは、ロアがお掃除してくれて透明な棒みたいになった自分の杖を、大切そうに抱えていた。  彼女の服はレオニスでの戦いでボロボロだったけれど、そのお顔は以前の無機質な感じじゃなくて、なんだか「お姉さん」らしい、年相応の迷いや優しさが見えるようになっていた。


「お姉さん、その杖、前よりずっとお姉さんにお似合いだよ! キラキラしてて綺麗だもん!」 「……ええ。ありがとうございます、ロア。……不思議ですわ。余計なものを剥がした方が、魔力がずっと素直に流れるなんて。……まるで、今までの私は自分から重い鎧を着込んでいたみたいですわ」


 フィオナが微笑んで言うと、向かい側に座っているラグが鼻を鳴らした。  ラグは左腕の呪いが消えたのがまだ信じられないみたいで、ずっと腕をさすりながら窓の外を見ている。


「おい、フィオナ。……本当に大丈夫なんだろうな。セレステに行ったら、このガキが変な実験台にされる……なんてことはねぇだろうな」 「……そんなことはさせません。私はもう、組織の言いなりになるのはやめにしたんですの」


 フィオナは力強く言った。彼女はロアの「お掃除」が、どれだけ世界を笑顔にするかを知ってしまったから。    馬車は夜の道を、とっても静かに走っていく。   「…………あ。お星様、こぼれてる」


 ロアが、馬車の窓から夜空を指差した。   「ロア? どうしたんだ」 「あのね、おじさん。お星様の横のところが、ベリッて剥がれてるよ。お掃除しなきゃ!」


 ラグとフィオナが窓の外を見ると、そこには綺麗な星空があった。  けれど、ロアの目には違って見えていた。  一番大きな星の右側に、真っ暗で不気味な「穴」が空いている。それは、夜空という布が古くなって、破けちゃっているみたいだった。


「……ありえない……。ロア、あれが『剥げている』ように見えますの……?」 「うん。お姉さん、あそこだけ塗り忘れたみたいに真っ白だよ。……ねえ、お空も古くなると破けちゃうのかなあ? 爺ちゃんの持ってた百科事典みたいだね!」


 ロアは能天気に笑うけれど、フィオナは絶句した。  ロアの感覚が正しいなら、この世界を包んでいる空そのものが、もうボロボロになって壊れかけているということになる。


「……爺ちゃんが言ってたよ。……お掃除しないと、どんどん汚れが溜まって、最後は全部『ゴミ箱』に捨てられちゃうんだって」


 ロアの瞳には、怖い気持ちなんてちっともない。ただ「汚れているなら、拭かなきゃ」っていう、お掃除屋さんとしての気持ちだけ。  けれど、ラグの背中には冷たい汗が流れた。


 馬車が森の中を走っている時。  窓の外から、一枚の「小さなキラキラしたもの」が降ってきた。  ロアはひょいと窓から手を伸ばして、それを掴み取った。


「……あ、捕まえた! これ、お星様のカケラかなあ?」


 ロアが手を開くと。  そこにあったのは、石でも宝石でもなかった。  それは、緑色をした、半透明の小さなカードみたいなもの。中には変な線がいっぱい描いてあって、ピコピコと赤い光が点滅している。


「…………星の破片じゃない。これ……世界の『プログラム』の一部だわ」


 フィオナが震える声で言った。  学園都市セレステ。理想郷と言われているその場所に辿り着く前に。三人は、この世界がもうボロボロに壊れ始めている証拠を、手に入れてしまった。


「……早く行こう! お空さんがお掃除してほしくて、シクシク泣いてるみたいだもん!」


 ロアの声は、夜の闇に吸い込まれていく。  馬車はカタコトと音を立てながら、世界の本当の姿が隠されている場所へと向かって、さらに加速していった。


(第7話終わり)


ご覧いただきありがとうございました!

次回予告: 「私の魔導バイザーが、君の個体識別を拒否している」 動揺を隠しきれないフィオナは......。

次回 第8話更新予定:(3/23,12:00) お楽しみに!


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