表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

第4話 真実の青銅盾

お読みいただきありがとうございます!ラグの左腕を拘束していた呪いの鎖を、いとも簡単に剥がしてしまったロア。少年が振り下ろすハンマーピッケルは、物体のみならず「嘘」さえも剥離させます。


 剥離の音は、周囲の喧騒を完全に薙ぎ払った。  ラグの左腕を拘束していた「漆黒の鎖」が、まるでお菓子の袋を破いたみたいにバラバラになって空中に溶けていく。   「……な、……が……ぁ!?」


 ラグは、自分の腕に何が起きたのか理解できなかった。  数年間、ずっと彼を苦しめてきたあの嫌な痛みが、一瞬で消えたのだ。  耳元でうるさく鳴っていたノイズも、今はただの風の音にしか聞こえない。    ロアがハンマーピッケルをひょいと腰に下げて振り返ると、ラグの腕は赤ん坊の肌みたいにピカピカになっていた。


「お掃除完了だよ! なんだかおじさんの顔、今の方がずっといいよ!」 「……お、お前……これ、俺の腕……か?」    ラグが自分の手を震わせながら開いたり閉じたりしている。  その横で、武器屋の店主が腰を抜かしたままパクパクと口を動かしていた。


「あはは。おじさん、びっくりしすぎだよ! お掃除すれば誰だってこうなるのに」 「……お前、……何者だ。この呪いは、どんな魔法使いだって治せなかったんだぞ」


 ラグが、先ほどまでの殺気をどこかへ忘れ去ったような顔でロアを見つめた。


「僕はロア。爺ちゃんのお手伝いでお掃除をしてるんだ。あ、これも汚れてるね」    ロアは店の中に飾ってあった、キラキラ輝く「伝説の黄金盾」を指差した。  店主が止めるよりも早く、ロアはトントン、とハンマーピッケルを振った。


 パリンッ。


 おもちゃが壊れたような音が響く。  盾の表面を覆っていた「黄金のテクスチャ」が、剥がれかけのポスターみたいにベリベリと剥がれ落ちた。  後に残ったのは、くすんだ鈍色の、ただの青銅の盾。   「ひ、ひぇぇぇ! 家宝の黄金盾が、ただの銅の塊にぃ!」  店主が泣き叫ぶ。    でも、ロアはニコニコして頷いた。 「ほら、こっちの方がずっとスッキリしてるよ。さっきのキラキラは、ただの『お化粧』だったんだね。こっちの盾さん、すごく強そうな顔してるよ」    ラグはその青銅の盾を見て、息を呑んだ。  黄金のメッキが剥がれたその瞬間、盾から放たれたのは、空間をピリピリと震わせるような、本物の武具が持つ気配だったのだ。


「……偽物テクスチャを剥がして、真実オリジンを出したってのか。……このガキ、……いやロア。お前、自分が何したか分かってんのか?」 「え、お掃除しただけだよ? おじさん、また難しい顔してる。まあいいか、綺麗になったんだし!」    ロアの能天気な言葉に、ラグは呆れたように大きなため息をついた。  この少年は、世界が隠そうとしている「嘘」を、ただ不純物だと思って剥がしているだけなのだ。    ラグはロアの襟首をひょいと掴んだ。 「いいか、ロア。お前は目立ちすぎて危ない。……しばらく俺がついててやる。お前一人にしておくと、どんな騒動をしでかすかわからん」 「えー、ボディーガード? おじさん、かっこいいね!」 「……ボディーガードじゃねぇ。監視だ」


 ラグはそう突き放したけれど、その目はどこか楽しそうにも見えた。  二人が夕暮れの街へと歩き出す。    その背後。  黄金を剥がされた青銅盾の周りで、空気が「変な色」に波打っていた。


「あ、お星様がまたこぼれてる」


 ロアが指差す先、レオニスの空の一部が、不自然なほど真っ白に塗りつぶされていた。  けれどロアは「今日も綺麗だなあ」とお気楽な声を上げながら、ラグと一緒に晩ごはんのお店を探しに行くのだった。


(第4話終わり)

読んでくださりありがとうございます! 偽物の黄金を剥ぎ、真実の姿オリジンを取り戻す。ロアの能天気な「お掃除」が、世界の隠された嘘を暴いていきます。 次回、レオニスに更なる異変が……? 応援(評価・ブクマ)をいただけると励みになります!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ