表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/60

第四十七話(修正):王都からの「召喚」と、無礼な査定


「……セバス。なぜ俺が、こんな埃っぽい王都の宮殿まで足を運ばなければならないんだ。俺の領地の『魔導空気清浄機』がない場所では、肺が汚れて資産価値が下がる」


レオンは、王宮の一室で不機嫌を全身から漂わせていた。 本来、一介の辺境伯が王族の呼び出しを拒むことは難しいが、今のレオンにはそれを無視するだけの財力と武力がある。しかし、「今後、王都から余計な使者が来て俺の安眠を妨げないよう、元を絶っておく必要がある」という極めて利己的な理由で、あえて出向いたのだ。


そこへ、豪華な衣装を纏った第二王子、エドワードが数人の騎士を連れて現れた。


「待たせたな、レオン・フォン・グラウス。……貴様の領地の噂は聞いているぞ。何やら正体不明の技術で莫大な富を築いているそうではないか」


エドワードは挨拶もそこそこに、レオンの対面にどっかりと座り、傲慢な笑みを浮かべた。


「貴様に提案……いや、命令がある。その富、そして貴様が抱えている『勇者』と『聖女』を私の派閥へ献上しろ。そうすれば、私が即位した暁には貴様を王国の宰相に据えてやってもいい。光栄に思え」


レオンは、リネットが開発した「周囲の騒音をカットする魔導イヤホン」をゆっくりと外した。その瞳は、目の前の王子を「ゴミ同然の投資先」として冷徹に鑑定していた。


「……セバス。この男、自分の立場を勘違いしている。俺に指図をするということは、俺の『時間』という最も貴重な資産を奪っている自覚がないらしい」


「若様。そのようですね。……エドワード殿下、若様は多忙なのです。具体的には、今日の午後に予定されている『新作の最高級枕の試用』をキャンセルしてまでここへ来られたのですぞ」


「……何だ、そのふざけた理由は! 枕だと!? 貴様、私を誰だと思っている! 次期国王、エドワード・フォン・ディストリアだぞ!」


エドワードが激昂し、机を叩いた。その瞬間、レオンの周囲に冷たい魔力が渦巻いた。


「……王? お前のような、目先の利益(勇者や聖女)に目が眩んで、既存の成功モデル(俺の領地)を力ずくで奪おうとする無能が王になれば、この国の経済は破綻する。……そうなれば、俺の領地の資産価値まで悪影響が出るだろうが」


レオンは立ち上がり、エドワードを冷たく見下ろした。


「お前は『落選』だ。……俺のポートフォリオ(人脈)に、お前のような不良債権を置くスペースはない」


「なっ……貴様! 衛兵! この無礼者を捕らえろ!」


エドワードの叫びに応じ、騎士たちが一斉に踏み込もうとした。だが、その足は一歩も動かなかった。セバスが音もなく放った「威圧」と、レオンが仕掛けた「重力接収グラビティ」の魔法が室内を支配していたからだ。


「……セバス、行くぞ。ここにいても、俺の脳細胞が死滅するだけだ。……ああ、それからエドワード。お前が今日着ているその服の刺繍、帝国の職人を脅して作らせたものだろう? 職人の権利保護の観点から、その服の『所有権』は今、俺が接収した。……後で全裸の請求書を送っておいてやる」


レオンは呆然とするエドワードを放置し、一度も振り返ることなく部屋を後にした。


「……若様。第二王子をあそこまでコケにして、よろしいのですか? 彼は王都で最大の派閥を持っておりますが」


「構わん。あんな無能に国を任せるのは、俺の安眠に対する最大のリスクだ。……セバス、他にマシな『予備スペア』はいないのか? 管理がしやすくて、俺の邪魔をしない奴だ」


「……左様でございますな。それでしたら、王都の隅でひっそりと図書室に引きこもっている『第三王子』という、掘り出し物の物件がございますが……」


「……ほう。図書室か。少しは話が通じそうだな。……会いに行くぞ」


こうして、レオンは自らの「快適なニート生活」を盤石にするため、王国の玉座をすげ替えるという、前代未聞の「国家買収」へと動き出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ