表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/60

第二十三話:予定外の宣戦布告と「防衛費」の狂乱


魔王軍の四天王を(装備目当てで)返り討ちにし、勝利の美酒に酔いしれていたレオンのもとに、セバスが血相を変えて飛び込んできた。


「若様! 大変でございます! 隣国の『バルムート帝国』より、正式な宣戦布告書が届きましたぞ!」


「……は? 帝国? なんで今さら?」


レオンは首を傾げた。バルムート帝国といえば、かつて「砦の建設費」を掠め取った相手だが、あそこは勇者ルートの本編では、魔王軍の侵攻によって中盤まで沈黙を保っているはずの国だ。


「……あ、そうか! 勇者ルートでは、ここの領地は『とっくに没落して無人化』してたから、帝国は素通りして魔王軍とぶつかってたんだ。だが今は……俺がここを世界一の素材供給地にしてしまったせいで、帝国の喉元に刺さった『最高に美味そうなトゲ』に見えてるのか!」


レオンは冷や汗を流した。魔王軍だけでなく、人間の大軍まで押し寄せてくる。しかも、今の領地の位置は完璧な最前線。


「マズい……! 帝国軍に略奪されたら、俺の積み上げた金貨が、俺の全自動マッサージチェアが、俺の『悠々自適なニート権』が消滅する! そんなことは断じて許さん!!」


レオンの目が、かつてないほど「クズ」として、そして「経営者」として鋭く光った。


「セバス! ハンス! フェリス! 領地にある全資金を解禁しろ! 今すぐ『軍の増強』だ! ただし、ただの兵士じゃ意味がない。帝国軍が絶望して『ここに手を出したら破産する』と思うほどの過剰火力を揃えろ!」


その日から、グラウス領は「軍事バブル」の様相を呈した。


「リネット! 王都から接収したあの飛行船に、四天王から奪った『虚無の黒盾』を分解して装甲に張り付けろ! あと、射程距離が領地外まで届く『全自動・税金回収魔導砲』を百門設置だ!」


「了解……。敵の軍旗を感知して、自動で消滅させる……。ついでに、敵の装備も分子レベルで回収する磁力機能、追加……」


一方、フェリスとハンスの前には、レオンが買い叩いてきた「伝説の魔導武装」が山のように積み上げられた。


「ハンス、お前の部隊には『一振りで森を薙ぎ払う魔石斧』を支給する。フェリス、騎士団には『物理法則を無視する神銀の鎧』だ。いいか、一発の矢、一人の兵も領地に入れるな! 敵の鎧の破片一つまで、俺の資産として回収しろ!」


「……おおお! 閣下!」 フェリスは、レオンの必死な「保身」を、またしても「民への愛」と受け取った。


「帝国という強大な悪から民を守るため、惜しげもなく財を投じ、神の如き武具を配られるとは……。閣下は、この領地を『地上の楽園アヴァロン』に変えようとされているのですね!」


(※実際は、領地を「絶対に壊れない金庫」にしたいだけである)


数日後。国境付近に集結したバルムート帝国の精鋭五万。彼らは、目の前の光景に絶句した。


かつては寂れた辺境だったはずの場所に、空飛ぶ巨大な要塞(魔導船)が浮かび、城壁からは眩いばかりの魔導砲が牙を剥いている。さらに、出てきた守備兵の一人一人が、王宮騎士団でも一生拝めないような「伝説級の装備」に身を固めているのだ。


「……お、おい。あの一兵卒が持っている剣、我が国の国宝より輝いてないか?」 「あの城壁……攻撃を当てるたびに、こちらの魔力が吸い取られていくぞ……っ!」


レオンは要塞の最上階で、リネット特製の「戦場全体が見渡せる4K魔導モニター」を見ながら、不敵に笑った。


「ひっひっひ……。帝国軍さん、遠路はるばるご苦労様。お前たちが持っているその高級な馬、立派な鎧、そして軍資金……。全部まとめて『グラウス領への寄付金』として接収してやるからな……!」


レオンの「過剰な防衛本能」が生み出した世界最強の軍隊が、今、予定外の戦争を「一方的な資産回収作業」へと変えようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ