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第十四話:放課後の「慈悲深い」資産接収


学園生活が始まって数日。レオンは放課後の社交場、高級サロンの円卓に座っていた。


目の前にいるのは、王都でも指折りの権勢を誇る汚職貴族の息子たち――通称『学園の毒虫』と呼ばれるグループである。


(勇者ルートの知識によれば、こいつらの親は後々、軍資金を横領して魔王軍に横流しする。なら、今のうちに俺が『接収』してやるのが、世界の平和(と俺の懐)のためだ)


「レオン・フォン・グラウス。田舎者が王都のサロンに何の用だ? ここはカード一枚に金貨百枚が動く場所だぜ」


子爵家の嫡男が、鼻で笑いながらカードを配る。種目はポーカー。


レオンは漆黒の制服の袖を捲り、無表情でチップ――を出す代わりに、リネットが開発した「圧縮金貨の魔導インゴット」をテーブルに置いた。


「金貨百枚? ……安すぎてあくびが出るな。これ一つで王都の屋敷が一軒建つが、これでいいか?」


「なっ……!?」


サロン内が凍りついた。レオンの目的は、圧倒的な資金力で相手の「心の余裕」を剥ぎ取ることだ。


勝負は一瞬だった。 レオンは勇者ルートで培った「相手の表情から手札を読み切るスキル」と、リネットが仕込んだ「勝機を演算する魔導眼鏡」をフル活用した。


「フルハウス。……悪いが、その手元の『通行権の譲渡書』、俺がいただこう」


「くっ、バカな! まだだ、もう一回だ!」


熱くなった貴族たちは、次々と親から預かった「秘密の権利書」や「領地の利権」を賭け始めた。


レオンは冷淡に、しかし着実にそれらを「合法的な契約書」として書き換えていく。


「……バルガス子爵家所有の『魔鉱石の採掘権』、接収完了だ。次は何を出す? 命か? ――冗談だ。俺はそこまで残酷じゃない。その『王都の別邸』で手を打ってやる」


数時間後。レオンの手元には、王都の経済を左右する重要拠点の権利書が山積みになっていた。


絶望に打ちひしがれ、テーブルに突っ伏す貴族たち。それを見ていたセバスが、うっとりと眼鏡を拭く。


「……流石は若様。ギャンブルという名の『審判』を通じて、悪しき富を正しき持ち主(若様)へと還流させておられる。……バルガス子爵、感謝なさい。その汚れた金で、若様はまた新たな孤児たちを救われるのですから」


(※実際は、領主館に最新の『自動ワインサーバー』を導入する資金になる)


そこへ、騒ぎを聞きつけたアルスとリアナがやってきた。


「レオンさん! これ、全部勝ったんですか……?」


アルスは、テーブルに積まれた権利書の束を見て驚愕した。レオンは冷たく言い放つ。


「……アルス。富とは、それを扱う資格のない者の手にあると腐敗する。俺はただ、ゴミを掃除しただけだ。お前も、強くなりたいなら『力』だけでなく、それを支える『リソース』の重要さを知れ。……ほら、これはお前への餞別だ。この権利書の一つ、王都の『最高級道場』の利用権をやる。そこで死ぬほど鍛えろ」


(※管理費が高すぎて、持っているだけで赤字になる物件を押し付けただけである)


「レオンさん……! 僕のために、わざわざ悪役を演じてまで、最高の修行の場を……! ありがとうございます、僕、あなたの期待に応えてみせます!」


アルスは涙を流して感謝し、聖女リアナもまた、熱烈な視線をレオンに送った。


「……ああ、なんて徹底したお方。周囲の非難を一身に浴びながら、王都の闇を吸い上げ、光のアルスに栄養として与える……。レオン様、あなたは本当の『漆黒の聖者』です……」


こうして、レオンは学園に入学してたった一週間で、王都の商業利権の三割を掌握した。


本人は「これで卒業後は王都でもニート生活ができるぞ!」とほくそ笑んでいたが、王都の貴族たちの間では**「グラウス家の死神が、一晩で貴族家三つを破産させた」**という戦慄の噂が駆け巡っていた。

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