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「陽だまり」こまりさんの憂鬱  作者: 双鶴


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3/10

2話

最近、ちょっと困ってることがあるんだよね。

それはね、テラスに増えてきた“あいつら”のこと。

そう、観葉植物。しかも、でっかいやつ。葉っぱがぴらぴらしてて、茎がぐんぐん伸びてて、なんかこう…主張が強いの。

わたしの陽だまりスポット、ちょっとずつ、ちょっとずつ、あいつらに侵食されてる気がするんだけど。


最初は、小さな鉢だったの。美希さんが「この子、かわいいでしょ」って言いながら、テラスの隅っこに置いたやつ。

うん、まあ、かわいかったよ。ちょこんとしてて、葉っぱも控えめで、わたしの昼寝の邪魔にはならなかったし。

でもね、あれから数ヶ月。気づいたら、仲間が増えてた。

しかも、どれもこれも、やたらと背が高い。葉っぱがわさわさしてて、風が吹くたびに「さわさわ〜」って音を立てるの。

あれ、けっこう気になるんだよね。寝てるときに、耳の先っぽに触れたりすると、びくってなるし。


このあいだなんて、わたしの定位置に、でっかい鉢がどーんと置かれてたの。

「ちょっと!そこ、わたしの場所なんだけど!」って言いたかったけど、言えないから、じーっと見つめてやった。

そしたら美希さん、「あ、ごめんごめん、こまりさんの場所だったね」って言って、鉢をちょっとだけずらしてくれた。

でも“ちょっとだけ”じゃ足りないのよ。わたしの丸まりスペース、半分になっちゃったじゃん。


しかもね、あいつら、夜になるとちょっと怖いの。

葉っぱの影が、部屋の壁にゆらゆら映って、なんかこう…動いてるみたいに見えるの。

わたし、最初の夜はびっくりして、ソファの下に隠れちゃった。

美希さんは「観葉植物って癒やされるよね〜」って言ってたけど、わたしにはちょっとしたホラーだよ。


でもまあ、わたしも大人だから、少しは譲ってあげる。

テラスの半分は、あいつらに貸してあげることにした。

そのかわり、朝のいちばんいい時間帯、陽が差し込むゴールデンタイムだけは、わたしのもの。

そこに寝そべって、ふわ〜ってなってるときだけは、誰にも邪魔されたくないの。

葉っぱがちょっと触れてきても、目をつぶって、気づかないふりをする。

それが、わたしの平和のルール。


あ、そうそう。あいつらの中に、ひとつだけ気になるやつがいるの。

葉っぱが細くて、ちょっと猫じゃらしっぽいやつ。風が吹くと、ふにゃふにゃ揺れて、なんか遊びたくなっちゃう。

このあいだ、ちょいちょいってしてみたら、美希さんに「こら、こまりさん、それはだめ〜」って言われた。

でも、あれ、絶対わたしのために置いたやつだと思うんだけどなぁ。


観葉植物って、たぶん美希さんにとっては“癒やし”なんだろうけど、わたしにとっては“侵略者”であり“ライバル”であり、ちょっとだけ“遊び相手”でもある。

でも、まあ、悪いやつらじゃない。たぶん。

夜にこっそり話しかけてみたら、葉っぱがふるふるって揺れたから、もしかしたら返事してくれたのかも。

それとも、ただの風だったのかな。


今日も、テラスはにぎやか。

小鳥たちが来て、葉っぱが揺れて、陽だまりがわたしを包んでくれる。

わたしは、ちょっとだけ狭くなったスペースに、ぎゅっと丸くなって、目を閉じる。

春の光は、まだわたしの味方。

観葉植物たちよ、そこだけは、譲らないからね。


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