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異世界編み師の布教活動  作者: 草食丸
第五章 王都への道は一日にして成らず
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5-㉞ 猫の後始末とキラキラおじさん’s

作品に興味を持って下さり、ありがとう御座います!

どうぞ最後までお楽しみ下さいm(_ _)m


予約投稿を忘れていました、ごめんなさい;;

 気になっていたアンサスの事情は一旦解決し、僕は被害状況を聞いて回った。

 アンサスは治癒補助が完了した為僕に着いてこようとしたのだが、アラミスの命令(ドクター・ストップ)によりまだ横になっている。


 さて問題の被害状況だが、大きい沼竜側はマルクスさんが魔力切れでダウンした。ポルトスとダンタルニャンとガルドさんも疲労困憊、特にガルドさんは余程激しく動いたのか「もう無理だぁ、やっぱり歳なのか?・・・」と、少し哀愁が漂っていた。何があったんだろう?

 というわけで元気なのはピアちゃんとアラミスとアトスとクレアさんの4名である。

 ただピアちゃんは僕と手を繋ぐのに忙しく、またアラミスは治療に回るので実質動けるのはアトスとクレアさんだけのようだ。


 次に小さい沼竜の方だが騎士さん含め死傷者なく、みんな元気。スピンドル家の面々にも一切怪我は無いみたいで、奇跡みたいな良い結果となった。

 ただ騎士さんも慣れない魔獣との、しかも護衛しながらの集団戦に疲労の色を隠しきれない。正直、この後魔獣の解体や夜警を頼むのも(はば)れる状況だった。


 となると動けるのは僕とピアちゃんとミミちゃん、アトスとクレアさんとスピンドル家となる。

 この内スピンドル家は当然除外、最優先護衛対象だからね・・・えっ、僕達も駄目なの?

 というわけで僕達もメンバーから外された。

 そうなると護衛諸々出来るのがアトスとクレアさんだけになってしまう。

 セレナはどうしたかって? 寝てるよ、当たり前じゃん。子供は寝るのが仕事である。


 ・・・うーん、どうしよう。


 アルバートさん曰く今日はここで休息し、騎士を回復させられれば残りの道は大丈夫だろう、だそうなのだが・・・その間、護衛が居ない。

 先程大量の魔物に襲われた事もあり、可能ならば多めに配置したいくらいなのだ。クレアさんとアトスだけというわけにはいかないし、二人だと夜警の交代も難しい。

 僕とアルバートさんが頭を悩ませていると、意外な協力者達が現れた。


「・・・信じられないくらい綺麗な表情(かお)してるね」

「別人じゃないのか?」

「でもお洋服は一緒なの!」


 僕達の目の前で膝を付き、こちらを見上げる厳ついおっちゃん達。その表情からは一切の邪念が見られず・・・というか、こっちをキラキラした目で見てくる。

 彼等が誰なのかというと、実は一週間前に捕まえ制裁をした野盗のおっちゃん’sである。

 彼らはなんと、あの制裁を生き抜いたのだ。

 生き抜いたというか、罪を受入れた事で神気のプレッシャーを受け入れられるようになり文字通り心が別人に生まれ変わった。ある意味精神が壊れたとも言うかもしれない。

 そんな野盗のおっちゃん改め、綺麗なおっちゃん(総勢20名)がキラキラした瞳でズラッと一切の乱れなく整列している・・・ちょっとやり過ぎた?


「女神様、我らが神よ。どうか我らが刑に処される迄の短い間、貴女様に尽くす栄誉を戴けませんでしょうか」

「「「どうかっ!!」」」

「・・・ユウ、これは大丈夫なのか? いや、なんというか色々」

「いやぁ、僕もこうなるとは予想してなかったんですよね・・・どうなのかな、ピアちゃん?」


 多少心が壊れるだろうとは思っていたが・・・そっかぁ、こういう感じになるのか。

 流石に判断に困った僕は、ピアちゃんに()て貰うことにする。


「凄いの・・・いっぱいあった悪い糸が全部消えてるの!」

「ということは?」

「放しても逃げないと思うの、悪い事もしないと思うの!」


 大丈夫らしいので手伝って貰うことにした。

 ただ、流石に野盗をそのまま採用! とはいかず、まずアトスが全員に服従(オビディエント)の魔法を掛け、夜警をクレアさん&アトス → ダンタルニャン&ポルトス → 騎士さんの順で行い、おっちゃん達を見張ることにした。


 ダンタルニャン達はそれで大丈夫なのか心配になって聞いたが、僕の近くで寝られれば回復するみたい。

夕食後いつも通り2匹におやすみのキスをしてから抱き締めて寝てあげると、翌朝宣告通り元気になり毛並みもツヤツヤに回復になっていた。

 僕で回復する毛並みとは?

 今夜ばかりは、ピアちゃんも2匹に席を譲ったらしい。ピアちゃんがちょっとづつお姉さんになってきて、お姉ちゃん嬉しいやら寂しいやら複雑な気持ちである。


 翌日、気を失ったままだった商人さんも起きたのだが、彼は僕に会った時の記憶が無いようだった。

 どうやら沼竜の中で会った時にはもう、アガペーに乗り移られていたみたいだ。しかもシルクマリアを拠点にしている行商人であること、娘さんにミサンガを貰ったこと、娘さんの名前まで、アガペーが喋っていた内容は本当だった。

 あの能力、乗り移って操るだけじゃなく記憶を読むことも、更に最初に会った時の様子から性格までコピーできるらしい。

 そんなん糸以外で見破りようが無いじゃんっ!

 アガペーの能力については、考察していることまで含めメンバー全員に共有した。アルバートさんも後ほど国に報告するらしい。確かに国のトップにでも乗り移られてたらヤバいことになる。

 僕は改めてアガペーの力の恐ろしさを認識するのだった。可能であれば対抗できるアーティストが作れるよう願う。


 キラキラおじさん達はピアちゃんの言っていた通り、一切の反抗をしなかった。寧ろ何をするにしても率先して動いてくれるので、非常に助かった。

 お礼に手作りの朝食を振る舞ったのだが・・・食事を目の前に、手を組み、涙を流しながら僕に感謝と祈りを捧げていた。冷めるから早く食って欲しい。

 ちなみに彼らはいつ考えたのやら、自分達のことを『女神の奴隷(ヴィーナス・スレイブ)』と呼んでいた。この世界には、団体名をつける習慣でもあるのだろうか?


 アンサスが動けるようになったことを確認し、キラキラおじさん達を荷台に詰めた僕達は再び道を進む。

 目指すは『キルトリンデ』、この国の首都だ。

 やたら長く感じ、疲れまくった旅だったが、それもあと少しとなれば足取りも軽くなる。

 しかしあまり気を抜いてもいられない、結局アガペーの元の目的は不明。沼竜をどうするつもりだったのか、何故ダンジョンになっているのか、何故別の沼竜と空間が繋がっていたのか。

 確かめようにもアガペーは行方不明、最悪、僕たちより先に王都へ行っている可能性すらある。


 せっかく別の街に来られたが、中々雲行きが怪しくため息が出るばかりな僕であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


最後まで読んで下さり、ありがとう御座いました!

また次の更新も宜しくお願い致しますm(_ _)m


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