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初回チュートリアル

もう放置みたいな状態にしてて本当に申し訳ありません、本家「ストレンジフィールド」や企画投稿にかまけてました……

今年は月一投稿はせめてしたいと思います……

「うう……なんでこんなこと……」


「別に自己紹介しただけなんだからいいじゃ〜ん、まあここじゃシュトラルなんて珍しいからみんな黙っちゃったけど」


涙目で落ち込むアトーナを見たプレシアがイタズラな笑みを浮かべながらフォローになってない言葉で慰めた。


「なるほど……何が特別区分なのか分からなかったが、アトーナくんが噂に聞いた両性種族か、てっきり少年だと思っていたんだが……これは予想外だな」


やっと情報を飲み込めたショーンが平静を装いながら周囲に伝わるように説明する。


「両性の種族?確かに私でも見たことないわね……プレシアも知ってたなら紹介してよ〜」


「え〜?敢えて黙ってたんだよ?だってアドマースに教えたら余計なことしそうだったし」


「信用ないわねー、まぁ実際この子のこと知ってたら楽しいこといっぱい教えてただろうけどね〜」


そう言ってケラケラと笑うアドマースを見て、ショーンが不愉快そうな表情をする。


「な、なんでもいいですけど、早く傷を治してください……」


「そうだ、あまり主殿に対してふざけたことを抜かすならば噛み殺すぞ」


恥ずかしさで顔が()()()()の様になっているアトーナが控えめに発言をする。すると、そんなアトーナの追従するように魅猫がアドマースとプレシアに牙を剥いた。


「そういえばこの猫ってなんなの〜?どこでこんなの拾ってきたのさ、ちゃんと飼えるの?」


「この子は僕のパートナーなんだ、ペットとかじゃない」


「パートナー?不思議だな、アトーナさんはオペレーターでは無い筈だよね?この猫はグロブスタや野生生物の類に見えるんだけど……」


「わたしをそんな野蛮なのと一緒にしないでよ!わたしは神様なんだよ!?」


バリストの言葉に反応したのか、猫から人間の姿にミビューが戻りながら文句を言う。


「獣と人の姿を行き来できる上、種族は神を自称している……ギルドの住民名簿には記載されていないが、一体お前はどこから来た?」


「ショーンったら、そんなことはあとあと、それよりこの子も酷い怪我だから先に治療するわね」


「む、言い方は気になるがそうだな……傷を治してやれアドマース、あと他の者は距離をとってくれ」


アドマースの言い方にピクリと反応しながらもショーンは冷静にアトーナとミビューから離れるよう周囲に呼びかける。


「そーれ、『セレー・ピレル』」


アドマースの装飾過多な杖から光の粒子が湧き出しアトーナ達を包み込む、すると傷が治って破けた衣服から覗くのは傷一つない素肌だけになった。


「うわぁ……ありがとうございます」


「外傷は完全に治したけど、あんな化け物と戦ってたんだから、一応は治療院で検査はしてもらった方がいいよ〜」


「全く無理してさ〜、雑魚は雑魚らしく後ろで守られていればよかったのに」


アドマースに頭を下げるアトーナを見てプレシアが意地の悪い笑みを浮かべて見下した発言をする。


「いや……この二人もなかなか良くやっていたぞ、お前たちその……何だ、よくやった」


そんなプレシアとは対象的にショーンは二人を賞賛し労うが、その視線は二人の大きすぎる胸に目がいってしまい、どうにか視線を外そうと目が泳いでしまう。


「うにゃー!」


「ぐはぁ!?」


「ショーンさん!?」


「もうショーンさんったら、ザハリナさんからすごい目で見られてるよ!」


()を隠せないショーンに、ミビューが照れながら猫パンチをお見舞いする。


「な!?ザハリナもいつの間に起きていたんだ!?」


一瞬何が起きたのか理解できなかったショーンが、慌てて起き上がろうとして顔を上げると、ちょうど目を覚ましたザハリナと目が合ってしまった。


ザハリナのその目には軽蔑の意思が表れており、そんな目を見たショーンは酷く動揺した。


「ち、違う!そんなやましい気持ちはないんだ!」


「みっともなく誤魔化しちゃってぇ……どう見てもアトーナちゃんと子猫ちゃんの胸に釘付けだったわよ〜?」


「あ!!そういえば……うう、ジャケットどこにやったかなぁ……」


その会話を聞いたアトーナは、胸のサラシが解けてバストがそのままだったことを思い出して今更両手で胸を隠し、周りを見てジャケットを探す素振りを見せる。


「はい、このボロ切れは拾っておいたよ、というかそのままの方がエッチで私は好きなんだけどねぇ〜」


プレシアのおちょくりに顔を真っ赤にしながら、アトーナはプレシアの差し出すボロボロのジャケットをぶんどるように掴んだ。


「とりあえず、ここでたむろっていても仕方ないからお前達は念のため治療院で診てもらえ、後の事は俺が片付ける」


「このアトーナちゃんと子猫ちゃんのことは?組合に報告しとかなくていいの?」


「こんなゴタゴタしてる状況じゃ処理できん、一段落したら自主報告という形でアトーナくん自身にギルドへ報告してもらう、俺は何も見なかったことにしてな」


「随分と適当ですね、ギルドの調査員さん?バレたら大目玉でしょうに」


先ほどまでのふざけた雰囲気が無くなり、真面目な顔でアトーナ達の事を指摘するアドマースに、ショーンは示談で済ませようとする旨を伝える。すると今度はザハリナが嫌味たっぷりに突っかかる、先ほどの事がよほどショーンに対する心証を悪くしたらしい。


「今回の襲撃事件はこのコロニーじゃ前代未聞だ、恐らくこれの処理だけでギルド職員の寝る時間は無くなる、俺は過労死はごめんだ」


「どうせこの世界は死んでも生き返るんだしいいじゃない、給料ドロボーにはちょうどいいわよ♪」


「俺たちギルド職員の給料なんて解明者(おまえたち)に比べれば一般職に毛が生えた程度なんだがな、それにこのタイミングでこんな得体の知れない猫の存在を報告すれば、今回の襲撃者との関連性を疑われるぞ」


「何ですって!?わたしをあんな野蛮なのと一緒にしないで!」


「だから今は鳴りを潜めろを言ってるんだ、俺としても共に戦ってくれた奴を疑いたくはない、分かってくれたか?」


「は、はい!僕としても、何が起こってるのかよく分かっていないので時間を貰えるのはありがたいです、ある程度状況を把握出来たら僕からギルドに報告します」


「よし分かった、お前は隠し事ができないやつだから少々心配だが、何かあったら俺が裏でフォローしといてやる、だからここにいるお前らは変なことはするなよ、特にそこのアバズレ」


「はいはい……もう、信用ないわね」


ショーンはアトーナの返事に納得したように頷き、アドマースを睨みながら周囲に注意喚起をする。


「ではわたくし達は治療院に参りましょうか、何やら複雑な事情を抱えているようですし、そこの猫さんはお留守番になりますわね」


「あ!そういえばコマンダー、ちょっと端末を開いてくれる?」


「え?分かったよ……」


いきなり要領を得ない注文をしてくるミビュー、それに対し困惑の色を出しながらもアトーナは言われた通りに端末を起動すると……


「あれ?なんか新しいアプリがある……」


端末の画面に表示されたものをアトーナが見ると、「summon pieses」の横にはいつのまにか「piece collection」と書かれた箱のようなアイコンのアプリが追加されていた。


「え……また変なのがある」


それを起動すると装飾された箱のような枠の画面が表示された。その枠の中は右上にミビューと思しき顔がデフォルメされたアイコンがちょこんと鎮座しているだけで、随分と殺風景な画面だとアトーナは思った。


『ようこそpiece collectionへ!ここではあなたが入手した駒の少女たちを管理できます!まずはアイコンをクリックしてください!』


何をどうすればいいのか分からず、アトーナがあたふたしていると画面上に大きくナビゲーションメッセージが現れた。


「え、ええと……これ?」


言われるままにアイコンをタッチするといくつか項目が出現し、アトーナはその中の「詳細を見る」という項目を恐る恐るタッチする。


すると画面が切り替わり、ミビューに関する情報と思われるページが表示された。



蠱惑の大怪猫 ミビュー

友好度 1

攻撃性能 ☆☆☆

防御性能 ☆☆

速度性能 ☆☆☆☆



「なんだこれ……?他のページはまだ見れないって書いてあるし……」


「あ、ちゃんと管理アプリを開いたんだね」


「管理アプリ……?よくわからないけどこれで何するのさ」


「そこに『収納する』ってあるでしょ?それをタッチしてみて」


ミビューの指示通りにアトーナは、画面の右下にある『収納する』と書かれたボタンをタッチした。すると……


「うわ!?ミビュー!?」


突然ミビューがアトーナの端末の中へと吸い込まれていき、完全に姿を消した。その光景を見た周囲も、多かれ少なかれ驚きの反応を見せる。


「コマンダー!見てるー!?」


アトーナがミビューの声に反応して端末の画面にして視線を落とすと、アイコンが喋っているのが見て分かった。


「うわっ!どういうことだ……?」


「コマンダーが収納したからだよ!じゃあ今度は「出力する」ってところを押してみて!」


最早アトーナには画面の中で叫ぶ少女の言葉通りに動くしかなかった、言われるままに「出力する」と書かれたボタンを押すと端末から光の粒子が溢れ出して、それがミビューの姿を形成する。


「はい、これにて基本チュートリアル完了!あとはいつでも収納と出力を使ってわたしたちを便利に使ってね!」


「…………ホントに黙って大丈夫なの?」


「バレなきゃ大丈夫だ」


目の前の光景を唖然と見ていたアドマースがショーンに語りかけると、ショーンはどこか諦めたように呟いた。

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