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エルフ
ハイエルフやエルフ達は、魔人に限らず、エルフ以外を認めない。
エルフ達は、上位種のハイエルフを崇めていた。
更にその上の立場の精霊は自分達の守り神とし、ハイエルフやエルフ達は話を聞くし、願いも叶えた。
妖精は精霊の使徒と考えられていた。
あの子の母の名はリネア。
ハイエルフの長の二番目の娘だった。
だからこそ、余計にハイエルフ達は許さなかった。
リネアを連れ帰り、リネアを騙し穢したラリューと呪われた子供共々、この世から消し去ろうと考えた。
リネアに恋焦がれていたハイエルフ達や、憧れていたエルフ達の嫉妬もあり、陰湿な追い掛けをした。
精霊達はそんなハイエルフ達を見て、諌めようとしたが、怒りが頭の中を覆い、精霊の姿を見れる者は追跡者達の中にはいなかった。
精霊の姿を見れる者達も数人残っていたが、彼らもまた、ラリューと子供をよくは思っておらず、止めようとはしなかった。
そして、リネアは骸となり、里へ戻ってきた。
すでに死んでいるラリューを口汚なく罵る者が大半だったが、父である長は静かに横たわる娘を見ていた。
(もしも、子供が生き残っていたら…。)