黄金の龍を崇める国
黄金の龍ラゴーラを神と崇める国がある。
神聖帝国ドラゴラだ。
帝都の中心に雲まで届く程高い神殿があり、入り口を入った正面に、黄金の龍と現存する五体の神々が祀られている。
神殿の最上階には五体の神々が暮らしているともいわれている。
この帝国の神殿は天使族が治め、国は悪魔族が治めている。
国は豊かで栄え、人種差別も少なく、穏やかに暮らせるとあり、人族、獣人族、魔人族、ドワーフ族等、様々な人種が集まっていた。
ホビットの村もあり、その村は農耕が盛んだ。
冒険者ギルドも各地にあり、SSS級のたった一人の冒険者は、この国にいるのではと噂されている。
悪魔族と天使族が協力して、治安を護っている。
奴隷の売買や持つ事を許さず、奴隷の所有者や奴隷商は見つけ次第、如何なる理由があろうと処刑される。
隠れて持ち込みも必ず見つかるので、この国に奴隷を持ち込む者はいない。
弱者は自立して生活出来るまでは、手厚く保護される。
但し、黄金の龍を崇めない者は、半年で国を出ないといけない。
天使族も悪魔族も信者でない者を見分ける事に長けていた。
信仰さえすれば、豊かに暮らせるとあり、信者になる事に抵抗のある者は少なかった。
五体の神々は実際にこの神殿で暮らしていた。
身の回りは天使族が世話をしている。
慈悲の神エリーナ
「やっと五千年前の文明より進んだわね。」
自然の神シーシア
「本当ね。やっとだわ。」
生き物の神ウルフェ
「生き物も増えた。
あの絶望の時からしたら、なんて素敵な光景だ。」
農林漁業の神ケラセ
「人々の暮らしも豊かになった。」
鍛治の神グホバ
「良き時代となった。」
五体の神々が幸せそうに高い場所から、世界を見回す。
神々のメイド天使族のニーシャはお茶の用意をする。
「お茶の用意が出来ました。
本日は天使長のフィリ様がお作りになったケーキと、それに合う紅茶をご用意致しました。」
グホバは
「わしは紅茶より、酒が良いがな。」
と言うと
「ダメよ。
まだ午前中だわ。
夜も貴方は呑むのだから、今は我慢しなさいな。」
シーシアに嗜められた。
不満そうに席に座り、出された紅茶を飲む。
「紅茶も美味いがな。」
諦めた様子。
「あらっ。
流石フィリだわ。
このケーキ、クリームもスポンジものっているフルーツも美味しいわ。」
エリーナが美味しそうに食べているのを、四体の神は微笑んで眺めた。