表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/11

第2話 英雄の墓場

 

 ダグラスの追放宣言にロクサスは必死で抵抗する。


「ちょ、ちょっと待ってください! あの場所は魔獣の巣窟になっていると聞いています! そんな場所に捨てられたら、僕は一体どうやって漫画を読めばいんですか!?」


「知るか! 死ね! 死んでください!」


 ダグラスの意思は固いようだった。

 話術ではどうにもならないと悟ったロクサスは最終手段に出る。


「くそっ! こんなところに居られるか! 僕は部屋に引きこもるぞ!」


「あっ! おい、逃げるな卑怯者! せめて戦え! 戦えぇぇ!」


 ダグラスとのやり取りを静観していたアダムは大きなため息を吐く。

 そばにあった燭台を掴んでそれを槍のように扱い、いとも簡単に逃げるロクサスを押さえつけた。


「よくやったアダム! 手足を縛って馬車に乗せろ!」


「弱すぎる……。全く、お前みたいな情けない男は見たことがない」


「いやだぁぁぁ! 俺は部屋で漫画を読むんだぁぁ!」


「はぁ……分かった、じゃあ漫画を一つだけ持たせてやる。それで向こうでも読めるだろう」


「あっ、じゃあ――」


 ロクサスが漫画のタイトルを言おうとすると、アダムがそれを遮った。


「いや、持たせるのは俺の好きな漫画だ。それを読め、マジで面白いから」


「お前が布教したいだけかよ」


 かくして、泣き叫ぶロクサスは別に読みたくもない漫画と共に馬車に積み込まれてしまったのだった。


 ◇◇◇


「――ぐべぇ!」


 ――数時間後。

 馬車から蹴り出されて、手足を拘束されているロクサスは情けない声を上げる。

 どうやら、『英雄の墓場』に到着してしまったらしい。


 目隠しもされて、周囲の状態が分からないロクサスの耳に、ガラの悪そうな使用人たちの声が聞こえた。


「へっへっへっ、霊媒師だが何だか知らねぇが一人でブツブツ喋ってるお前を見て俺たちは正直気味悪いと思ってたんだ」

「大人しく野垂れ死ぬんだな。ここは立ち入ったら最後、『二度と出れない』と言われる濃い霧の中だぜ?」


「……お前らはどうやって出るの?」


「……あ」


 ロクサスが素朴な疑問を口にすると、静寂が訪れた。

 まさかのまさか、こいつらはそのことを考えていなかったらしい。


「い、いや! 俺たちには馬車がある! ここまで入って来れたんだから帰りだって余裕だぜ! じゃーな!」


 ……馬車が出発して間もなくすると遠くから悲鳴が聞こえた。


 ここは霧が濃いと言っていた。

 恐らく来る道の馬車の音で魔獣が集まり、帰り道でやられたんだろう。


 (くそ、どうにかこの状況から生き残る方法を探さねぇと……。何が不毛の土地だよ、不毛なのはテメーの頭だろーが!)


 心の中で悪態をつきながら、ロクサスは生きるための方法を必死に模索した。


 まだ読んでいる途中の漫画の続きが気になるのだ。


 その作品が完結するまで、ロクサスは死ぬわけにはいかなかった。

すみません、評価があまり入らず連載が厳しい状態です…!


申し訳ないですが、まだ☆評価を入れてない方は入れていただけますと執筆のモチベーションになります…!(↓にスクロールして5つまで入れられます!)


何卒、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載中の他作品
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
現代恋愛年間1位!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『山本君の青春リベンジ~学校でイジメられてた俺が努力して生まれ変わり、戻ってきてからクラスメート達の様子がおかしい件~』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
新刊!2022年8月5日発売!
『【漫画】クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、読みに行けます ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、読みに行けます ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ