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ガチモード。スラオ!

またまた長めです。

 安っぽい見た目のくせに。煽るような話し方しやがって……!! はらたつ!!

 しかし、なんで予想よりも早くここにこれたんだ?


「おいおい? 雪男? まさか人間如きに負けてんのか?」


「ふん。人間じゃないっぽいぜーこいつ。スライムだとよ。しかしずいぶん身軽になったじゃねえか」


「なぜか風が上に向かって吹いてたからねぇい」


 なるほどな……吹雪を止めたことが裏目に出たのか。

 まずい状況になった。魔王二体同時相手……か。


 燃えるな。トップランカーだった頃の、あの手に汗握る戦いを思い出す。


 MPを全て素早さと攻撃力に回し、さらにストックの回転率を最大まで上げた。

 触手一本一本の感覚が冴え渡る。

 お久しぶりの本気モードスラオだ。

 まずは雪男を仕留めるとしよう。


「ほら見ろよ。気持ち悪いだろ?」


 カッチーン。スラスケに言われるのはいいけど、安っぽい顔した貴様らは許さん!!!

 地面を踏み抜き再び肉薄した。


「ついさっき開発したハメ技だ。僕をばかにした報いを受けやがれぇ!!」


 鋭利に尖らせた触手で、


 突く!


 突く!  


 突く!


 突く!!


「ぐもう!!!」


「スキルは使わせん!! はぁあああ!!」


 このままHPを削り取ってやる!!


 スライムってのはほんとうに便利だ。頑張れば無限に手数を増やすことができる。まさかまさか。魔王二体相手に一人で戦うなんて。

 冒険者時代は思いもしなかったな。


 ハメ技は完全に決まり、あっという間に魔王を一匹討伐。


 ピロン。


 ピロン。


 ピロン。


 ピロン。


 ピロン。


 ピロン。

 ・

 ・

 ・

 ・

 今のでかなりレベルが上がった。


「な……!!」


 一方的な勝利に氷人形が、雪だるま顔をこわばらせていた。

 体力の消耗が激しい……案外人間も脆いものかもしれない。


「次はお前だぁ!!」


「ふっ、さっきのハメ技というやつをやってみろ?」


 ばーーーか。そんな挑発に乗るわけないだろう!

 やつのスキル、氷纏は、体に強烈な冷気をまとい近づくものに無条件にダメージを与えるスキルだ。

 それに加えて、あまりに冷気が強烈なため、問答無用で凍えてしまって戦闘にならなくなる。


 レベルアップもした。こいつの倒し方も知ってる。けど、魔法を使えない僕じゃ多分勝てない。


 定石通り攻めるなら、ここで凍結無効装備を装備したタンクに守備強化と回復魔法をバンバンかけて、その後ろからこいつにデバフを掛けまくり、攻撃がこいつの防御力を貫通するレベルまで落として初めて攻撃を仕掛ける。

 ………どこにタンクがいるんだ!? 魔法使い役のスラスケは今氷鳥と絶賛戦闘中だし、買ってきたこの装備だって凍結無効じゃなく、吹雪耐性だし。


 正直、スラスケを待ってた方が確実に勝算はある。素早さだって僕の方が上だ。ただ……そんなことしていいのか!? 情けないと思わないのか!? 女の子に助けを求めるなんて!! 確かに、スラスケの方がこいつを倒すには適してる。

 でも、僕はさっきスラスケにこいつらの相手は任せろと言ってここに来たんだ………恥だろう!? 赤っ恥もいいところだよ!!


 自分で大丈夫って言った後にやっぱ無理、なんて。せっかくスラスケが久しぶりに僕を尊敬してくれたのに。そんなことしたらプラマイゼロ………いや! マイナスだ!!


「おぅおぅ? どうしたどうした? 劣等種スライムさんよ? ここまで来たのは褒めてやるが、所詮ここまでだな!!」


「僕に勝てると思ってるのか?」


 一つ………時間さえかければ確実に僕が勝つ。こいつにMPを消費させて空になったところで一気に叩けばそれで勝てるんだ。

 でも……それだと絶対スラスケにばかにされる……!!

 あいつなら『まだ倒してないのか? ちょっとどけよ。俺のマジカルビームでぶっ飛ばしてやるからよ!!』とか言って、僕がコツコツ削ってきたものを一気に吹き飛ばしかねん!!


「勝てるさ。俺はあの雪男とは違うんでなぁ。あぁ?」


「舐められたもんだね。スライムが世界最強だと言うところを見せてやるよ」


 やつのステータスは、、、


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 種族『氷人形』

 Lv 81


 進化まで後Lv --


 HP: 38317/38317 MP: 7313/7319


 攻撃力: 13611

 守備力: 25166

 素早さ: 3731

 魔法耐性: 23482

 魔力:731


 スキル アイスブロック+8 突進+13 氷纏+8 再生+5 変形+14 フローズンブレス+9 アイスボム+8


 個体特性 最終進化 氷の魔人 無生物


 ーーーーーーーーーーーーーー



 さすがスキルレベル10近くだけあって、とんでもない燃費の良さだな。アイスボムと突進でここまできたんだろうけど6しか消費してない。


「かかってこないのか?」


 一応、僕のも確認しておこう。



 ーーーーーーーーーーーーーーー


 種族『サウルスライム』


 Lv27 ♂ スラオ


 進化まで後Lv53


 HP: 36902  MP: 28204


 攻撃力: 43472

 守備力: 29428

 素早さ: 23278

 魔法耐性: 19376


 特技 転写 反射 擬人化


 スキル ==


 個体特性 唯一無二


 特殊技能 無限成長


 称号 転生者・超晩成型・進化者・変態・卑怯者・人の道を歩む者・最弱種の王・竜殺し・森の守神殺し・最強を目指すもの・雪山の覇者殺し(NEW)・義務教育に感謝する者(NEW)



 ーーーーーーーーーーーーーーー



 ………え。こんなにあがんの………? え………攻撃力………え?

 いや!! 確かに義務教育には感謝したけれどもなんだよ!! なんで称号に乗っけるんだよ!! 誰だ乗っけたの! こんなのゲームにはなかったぞおいっ!!


 まぁ……いいとして。晩成型なんだからいよいよ成長も終盤に入ってきたってところなのかな? 無限成長だから成長限界はないはずなんだけど。


 でも、これで勝てる。多少デバフを喰らおうとも、この攻撃力なら防御ごと粉砕できる!


「ふふふ………劣等種………ねぇ。その劣等種に単純な力で負けたら、君にはどういう名前をつければいいのかな」


「ぷは! 考える必要もないな。なぜならお前はここで死ぬから!!」


 言うと、氷人形の腕が淡く光った。アイスボムの前触れだ。

 遠距離から魔力を込めた氷塊を投げ、着弾とともに爆発四散させて氷の刃で切り裂くスキルだ。


 定石通りに攻めるならこれに一番気を使わなければならなかった。タンクと後方支援の間に打ち込まれたら完全に分断されてしまうからだ。


 これは……避けた方がいいな。

 四散した氷の破片を避けて避けて避けまくる。


 完全に避け切った後、魔力を込め、全力で殴りにかかる。


「笑止!! やはり劣等種! 殴るしか能のない無能!! この俺にそんなひ弱な攻撃でダメージを与えられるとでも!? こっちは防御特化の耐久型だぞ! こい! 氷纏で返り討ちに………バハ!」


 氷の体に人間大の拳がめり込み、周囲30センチほど体が砕けた。

 驚愕の表情……(雪だるまだが)をする氷人形を上目で確認し、さらに追撃を加える。


「なっ! ぐはっ!! ヘブっ!! ナナナ、なぜっ!! ごぼ!!」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 種族『氷人形』

 Lv 81

 HP: 13911/38317 MP: 7271/7319

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「どうした? 劣等種の攻撃で怯んでるのか!? オラオラオラー!!」


「なぐっ!! どはっ!! ぐっ………!!」


 かなりボコボコにしたところで攻撃を一旦やめた。やつの体は痛々しいほどボロボロに砕け散っている。


「………なぜ? なぜ攻撃が通る……!!」


「なぜかって? それはスライムが劣等種でもばかでもなく、超晩成型の最強種だからだ!!」


「……わけがわからん。貴様の攻撃力はなんだっ!!」


「ホッホッホ………私の戦闘力は、53ま………43000だっ!!!」(鳥山明先生、すいません。)


「よん……まん………だと?!」


「さて、残り僅かになったお前の命だが、懺悔する時間をやる。無惨に散りたくなかったら、劣等種とののしったことを謝れ!」


一瞬の戸惑いの後、


「あ、あぁ………わる、」


 その瞬間、氷人形の体が淡く光った。

 スキルを使う前触れだ。金がかけられてないせいでこいつのほぼ全てのスキルはこの予備動作なので何を発動するかはわからない。だが、ムカついたのでとっさに地面を踏み抜き僕は氷人形の顔面を蹴り上げた。


「かったなんて言うと思った………ぐへっ!!」


「全てを知り尽くした僕に、奇襲なんて通じると思うなよ」


「ぐ……」


 顔面が半分砕け、もはや雪だるまではなくただの雪となった氷人形の顔。

 ふと、スラスケが気になって後ろを確認すると、火炎魔法と氷鳥のダイヤモンドレイの撃ち合いが行われていた。


「もうおしまいにしてくれる。スライム舐めんなよっ!!」


 スラスケがやってみせたストック10本込め。意識を全て拳に向ける。

 いけるか……? スラスケは1分かけてたけど、あれは魔力操作に慣れてるからで、おそらく僕はもっと時間がかかるな。


 ………ここは慎重をきして、3本で行っとこう。


 徐々に腕に魔力が溜まっていく感覚がある。ほとばしる光、少し制御が難しくなってきたな。まだ1本目なのに、これは厳しいな。


 さらに魔力を押し込んだ。これでやっと2本分だ。気を抜けば暴発する……直感だがこれは間違いない。

 これはとんでもない威力になる。


なんとか3本分溜まった。


「よし。この一撃で決める。ハァァ!!!」


 押し込めた魔力が衝撃波とともに一気に解き放たれ、大気が轟き、大地が揺れる。

 その反動で足場が砕けた。


「!!!!!!」


 ピロン


 ピロン


 ピロン


 ピロン

 ・

 ・

 ・

 ・


反省点が多少見つかったが、これで魔王討伐完了だ!!

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