特大砲!
「まだかスラスケ!? 本当にもう体すっごく熱いんだからね!?」
「ちょうどたまった! 合図するから、そのタイミングでこの囲いを解除してくれ」
「わ、わかった!」
解除したタイミングで特大砲を放つってわけか! 暴発しないことを祈ろう……
「今!!」
スラスケの甲高い声が脳内に響く。同時に触手をしまい、スラスケの特大砲の衝撃に備た。
「いっけぇぇ!」
その刹那。スラスケを中心に空気が妙な流れを始めた。大気がうねりをあげ、吹雪がかき分けられる。
スラスケが手を振り下ろすと、爆風が全方位に広がり、一瞬だが静寂が訪れた。
『ドゴォォォン!!』
続いて、耳朶をつんざく轟音。
改めて思ったが、凄まじいな……。
スラスケは目をつむり、魔力の反射に全集中を傾けているようだった。
「……どう……だ?」
「いたっ! こっちかぁぁ!!!」
眼を見開いたスラスケの眼前に、見たことないほど複雑で巨大な幾何学模様の魔法陣が現れた!
な……なんじゃこりゃ!? 一体どんなレベルの魔法を放つつもりなんだ!?
『チュドンッッ!!!』
その魔法陣から超高圧のレーザーが照射される。それは舞い上がっている雪を一瞬で蒸発させ、一瞬だが魔王の姿を黙示することができた。
「どうだ……? しかし……よりによって氷人形か……」
「手応えはあった。けど、倒せたかどうかは……」
環境補正による威力減衰にステータス倍化。しかもそれに加えて防御特化ときた……冒険者時代の常識で考えれば、まずダメージは通らないけど……
「うん。やっぱり倒せてないな」
「……だろうね」
まぁ……予想はしていた。圧倒的に不利な状況なのだから仕方ない。
吹雪が止むまで耐え切るしかなくなったわけだけど……
「どうすんだスラオ! 毒とか通じないのか!?」
「環境補正で通じない……そして今ので完全に場所がばれた。強化されたコントロールでピンポイントでここを狙ってくるぞ……っ!!」
「こんとろーる? ぴんぽいんと? なんだそれ」
「さっきより相手の攻撃が激しくなるってことだよ…・・・!」