いけるか特大砲!!?
三体同時相手なんて………ネット掲示板でもそんな書き込みなかったぞ……!!
「視界が悪い……スラスケ! 離れるなよ!」
「おう! でもこれじゃジリ貧だろ」
そう話している間にも絶え間なく僕たちの足元に降り注ぐ氷塊。当たればそこそこのダメージが入るはずだ。しかもあいつら。吹雪いてることを良いことに遠距離攻撃ばかり仕掛けてきやがって……! 全エリアステージ仕様はこれだから厄介だ。
しかし……どんな確率だよ。ここに三体の魔王が同時に集結するなんて。
数年間サービスは続いていたが一度もそんなこと起こったことなかったはずだぞ? ゲームの世界とは若干違うってことか?
「おいスラオ! なんか対策ないのかよ! 弱点とか!」
スラスケは時々小規模の爆発魔法を放ちながら氷塊を砕き、足場を確保し続けていた。
最近スラスケの戦闘センスを否が応にも感じさせられる。
「残念ながらない……吹雪の間、あいつらは文字通り最強なんだ。弱点も消えるしステータスも倍増する。MP、HPに限りのある人間じゃ絶対勝てないね」
懐かしい。この雪山に入る前、占い所で吹雪く確率とボスが現れる確率を入念に調べて山に登ってたのを思い出すな……
「じゃあ、吹雪がおさまるまで耐え続けるのか? てか! これきてたら動きずらいな!!」
「幸い俺たちはスライムだ! ストックならいまだに大量に残っている。良いさ、一週間でも一ヶ月でも、付き合ってやる!!」
「本当に何もせずに吹雪がおさまるまで逃げ続けるのか!?」
「仕方ないだろう! あっちだって視界が悪いのは同じだ。今デカイのぶっ放したりしたら場所がまれてたちまちリンチだぞ!」
「うぅ……もどかしい。ストック十本分使えばそこそこの威力になるだろ! スラオ時間稼いでくれよ!」
「だが、狙いが定まらないだろう?! どうするつもりなんだ?!」
「広範囲爆発を起こして魔力の反射で位置を把握する。そして力は分散するけど効果範囲を広げた獄炎で一気に焼く!」
そ、そんな器用なことができるのか……? 進化で魔力操作感度が上がったのか?
「……わかった。試しにやってみよう。爆発から位置を把握して、魔法を放つまでだいたいどのくらいかかる?」
「そうだなぁ……爆発から位置把握は一秒もかからんけど、ストック十本分は俺も初めてだから、慎重を期したい。一分欲しい。できるか?」
「一分かぁ……」
スラスケの気持ちもわかる……スラスケほどの魔力が暴発なんてしたら僕はおろかスラスケですら危ない。
だが、この状況で一分はかなりきついぞ……環境補正でステータスは倍増。さらにこの氷塊の威力も上がってる。
耐えられるか……?
「やるのか!? やれないのか!?」
「……やるっきゃない。どんとこいやあ!! でもスラスケ! マジで頼むぞ!」
「ふっまかせろ!! 俺だぞ!」