買い物
店から出たあと、装備品を買いにきた。流石にずっと他人の装備をつけてるのは気持ちが悪い。と言うことで、次に向かうところへの準備も兼ねていろいろ買おうと思う。
金に困る心配もないしね。
棚に飾られている装備に目を通していく。
「装備はあんまり変わってないっぽいな、いくつか見たことないものもあるけど」
「どれにするんだ?」
「基本的には寒さに耐えられるものを買うつもり、次のエリアが雪山だから」
そう、スライムは状態異常はほとんど効かないが、寒さや暑さといった環境の変化には弱いのだ。
いざとなったら人間のカラダを転写してそれで装備を買えばいいと思っていたが、幸運にも擬人化のスキルをゲットできたのでそれでいこうと思う。
擬人化はなぜかわからないがMPを消費しないので永遠にできる。まぁその分何かしらのデメリットはあるんだと思うが今のところはわかっていない。次のエリアに行く前に少し検証しておかないと。
「まずは、スラスケは魔法使うから魔力強化に特化した装備を買おう、それからコートを買って、あとはまぁ、んーそんなものでいいか」
「適当に決めてないだろうな?」
『いや……これ人間用だから本来なら僕たちは防寒具だけで充分なんだぞ』
『そうなのか』
本来は装備をつける必要はないが、せっかく人間になれたんだし、その恩恵を受けようってわけだ。人間用でもちゃんと効果をはっきするのは検証済み、スライムの僕らでもちゃんと効果は発動する。
ただ……装備が僕らの動きに耐えられるかってのが問題。日常的に人外な動きをしてたら少なからず消耗は早くなるだろうな……
「ステータスが上がるのにも固定値で上がるものと、割合で上がるものがあるんだ。僕らは割合で上がる装備の方が効果は高くなるだろう、それと、割合で上がる方が安いものが多い」
「へぇ、物知りだな、あ、俺これがいい」
こんな感じで装備品を買いあさって宿へと引き返した。
宿は一部屋しかとっていない。スラスケを1人で止まらせるのもなんだか心配だからという理由なのだが、正直スライムとは言えど男と女なので正直抵抗はあった。
これから明日の準備とあとはその他の話をするつもりだ。
「えーと、そう、明日の話をするつもりだったんだが……とりあえず服を着てくれ」
「えぇ、外だけでいいって言ってたじゃないかよ」
「確かに言ったけど!!」
スラスケはベットに大の字になって寝転んでいる。もちろん全裸で。
部屋に裸の少女と2人きりなんてこんなの……!! しかも同じベットに寝るんだろ!? 耐えられん。
「まぁいいじゃないか、明日の話をしてくれよ」
こっちの気も知らずにそう言うスラスケの言葉に、少し不満は覚えつつも一息つき、目線を逸らしながら話し始めた。
「いきなり慣れない体でしかも慣れない環境にいくのは危険だから、明日はこの街の散策をしようと思う」
「おー!! 散策かぁ。それで?」
「次に向かうエリアは、『極寒山脈』と言って、その名の通り寒いところだ。そして天気が荒れやすくて、防寒対策してないと本当に手も足も出ない。魔王は三体いて、その辺は特に気にすることもないな、とりあえず環境に気を付ける! のみ!」
スラスケはなるほど、と返事をして枕に顔を埋めた。