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魔法タイプ…憎むべし。

ちょっと長めですよ〜

 鬱蒼とした森を走り抜ける。


 強敵と戦うんだし、やっぱりストックは貯めといたほうがいいよな…スラスケは丸一日ぶっ通しで転写使ってたせいでストック使い切ってしまったっぽいし。僕の方もどれくらい残ってるかわからないからとりあえず貯めておこう。


 「流石に次の魔王は準備しておかないとかなり厳しい戦いになると思うから、そこらで魔物のストックでも貯めようか」

 「そだな」

 「じゃあ、念話が届く範囲で二手に別れて魔物をかろう!」

 「お! どっちが多くかれるか勝負な」

 「いいのか? 僕が絶対勝つけど」

 「望むところ!」


 二手に別れて周辺の魔物を探す。


 勝負を挑まれたけど僕が負けるわけないんだよな。前世の知識をなめんなよっと!

  早速1匹ゲット! 懐かしいなぁ、ビックアント。駆け出しスライムの頃よくお世話になった。今では軽く叩くだけで胴体と首がおさらば。最初の頃に、こそこそ隠れて戦ってたのが馬鹿らしく思えるな〜


 鬱蒼とした森を駆け回り、目に入ったビックアントやらなにやらをすれ違いざまにペシんっと一撃で倒しまくる。


 1キロほど蛇行しながら往復したところでかなりの数が集まった。こんだけやれば絶対勝てるわ。そろそろいいかな?


 元からあったMPが残り1割ほどになった頃、スラオはかりをやめて戻ることにした。


 「もう充分だろ? 集合して成果発表しよう」

 「おー」


 ちょっと開けたところにスラスケとスラオは集合した。


 「どっちから先に出す?」

 「俺からなっ! スラオ〜降参するなら今のうちだぞ」


 みょうに自信ありげだな… まぁ流石に言っちゃ悪いがスライムごときに負けるわけがない。僕が冒険者時代どれだけレベル上げをして来たと思ってんだ? この道に関しては他の冒険者から慕われてたんだぞ? 今回も魔物を探すのに最効率な探索法でやったんだ。……負けるはずがないんだが?


 「ほい」


 200匹分程のビックアントの頭をスラスケが吐き出した。

 まさかこの程度で勝ったとでも…? 舐められたもんだ。


 「これで勝ったなんて言ってたのか? 流石に舐めすぎだ! 僕の圧勝だn……」

 「ほい」


 追加で150匹分のヘボアの頭を吐き出した。


 「……」


 確かにこんだけ溜め込んでたらそりゃ自信まんまんにもなるわ……でも、舐めてもらっちゃ困る! 人生の輝かしい時間…青春という名の人生における黄金期を注ぎ込んだ全てゲームに注ぎ込んだ引きこもりの実力を!!


 「スラスケにしては頑張ったなー。じゃ、ぼくのば……」


 ……は? 負けるわけないんだ……が?


 僕の言葉を遮り、さらに追加で吐き出されたのは大量のデスボア、魔猫、鬼獅子etc…の頭だった。それらが先ほどの二つの山とは比べ物にならないほどの大きな山を作った。


 「これで全部だ」

 「いや待て待て待て待て……こんなに大量の魔物どうしたんだよ!? しかもここにいるはずのない奴までいるんだが?」

 「前スラオが教えてくれたボア狩り使った。」

 「……」


 冒険者時代の知識を総動員し、思考を張り巡らすが、どう考えてもボア狩りでこの量、しかもこの辺りにいないような魔物を狩るのは無理だろ…!?


 「火の玉で穴ほって、その中に魔法使って周辺の魔物召喚した! どうだ? すごいだろ?」

 召喚とか…そんなんありかよ…

 「でも、召喚したって言ってもこれだけの数の魔物を、しかもここからかなり距離のあるところにいるやつを限られたMPの中、ストックも無かったのにどうやって召喚したんだ? 」


 「知りたいか〜そかそか!!」

 「勿体ぶらずに早く言えよ…」


 「そうだなー、まず普通にこの辺りの魔物を仲間のフリして集めるだろ? そして、穴を掘る火球を出したついでにそいつらやって、そいつらを吸収してMPのストックに換えた後に、穴にスラオが前の魔王倒したみたいに毒霧の濃度を20倍にあげたやつを穴に充満させる。んであとはそこに周辺の魔物を召喚して勝手に死ぬから、死んでいった奴から吸収するって感じ。そしてまたMPに変換するだろ? そしたらまた召喚できるから、延々とそれ繰り返してた」


 ボクが使った毒霧は3倍なんだけどな…いつからそんなに賢くなったんだよ…あれか…? 小さい子がなんでも言葉を吸収してしまう感じのあれか? いや、そんな次元ではない。自分の能力を最大限活かして、しかもその他の前知識も無しにその場の思いつきだけで半自動化までやりとげるやつなんて…しかもスラスケだぞ? あのバカの……なぁ。運営さんよ。魔法って反則すぎね…? 言いたいことは山ほどあるけどもういいや……


 僕の今までの努力が常識が経験が…ボクの冒険キャリアに比べれば一瞬冒険した程度のペーペーに…


 「…すごいな…本当に。」


 てことは、今目の前にあるグロテスクな山以上にたくさんの魔物を狩ってたってことだよな…しかも仮に消費MPとストックの増え具合を計算してやっていたとすればとんでもなく賢い奴ってことになる…いや、そんなのみとめない。嫌だ嫌だ嫌だ。スラスケにあった考えが僕に思いつかなかったなんて絶対認めたくない…!! 


 もしそうだとしたら人間由来の賢さと知識で優位に立ってたボクの立場がなくなるじゃないか!!


 「だろ!! じゃ、次はスラオのーーー」

 「はい」

 「って、早いな。あっれ〜絶対勝つとか自身ありげに言ってなかったか〜? 俺の聴き間違えかな〜?? なんか少なくねぇ? 立ったのこれだけ〜?」


 これだけ? なんて言っているがこちとら軽く千匹くらいいるんだが!?


 「うるせえ! もうさっさと吸収し直して魔王にいくぞ!」

 「そだな。たくさんあるから分けるよ」

 「情けのつもりかー!!」

 「ちげえよ。ほら、スラオのおかげでこんなに大量に捕獲できたからさ、分けてやるつってんの!」

 スラスケ…僕はゼロから1を教えただけでお前はその1を1人で、しかも思いつき、プラス無意識に1000まで伸ばしたんだ。その思いやりは嬉しいけど、お前のやった事がどれだけ凄いことかわかる分、素直に喜べねえよ。だって完璧にお前の方が今回は僕の賢さを抜いてんだもん。

 「…なんか、勘違いして悪かった…じゃあ、行こうか…」

 「なんだよー辛気くさいなーもっと元気になれよー」


 そう言って触手で俺をつついて来た。さて、調子に乗って絶対と言う言葉を使ってしまった挙句に自分よりバカだと思ってた奴に慰められて、情けをかけられてしまったわけだが、ボクはこれからどうすればいいのだろうか……。スラスケがスッカスカのスポンジみたいにボクの知識を吸収して、チート具合が増している、全ての知識を披露したその後ボクはどうなってしまうのだろうか。


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