死闘!
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いよいよ第2のボスとの戦いが始まる!!
フゥ…笑って力まないようにしないと。一瞬でやってしまったら、わざわざアルティメット感出した意味が無くなる…そうなれば今までの努力が水の泡だ…それだけはダメだ!!ちゃんと死闘を演じないと。笑わないように、笑わないように…。
ステータス的に見ればスラスケでも充分にこいつに勝てるが、MPがゼロになってしまった今、ステータスが著しく落ちているため、1人で戦っていれば普通に殺される。MPがなくなれば元のステータスの10分の1程にステータスになるためスラスケは今ファイアースライムくらいしかない。人間で言うなら、華奢な女の子状態なのだ。
「行くぞ!!」
そう言ってMPを使って黄金の輝きを纏った触手を思いっきり展開させて四方八方から蛾王を狙う。人間なら全てを捌くことは不可能なので即死は確実技だが…こいつは避け切ることができる。狙い通り後ろに羽ばたいて全てを避け切った……かに思えたが!!
「なに…!? あれを避けるのかぁぁあ…!!」
「……ッ……!!」
スラスケの勢いのある言葉に思わず笑ってしまい、力んだ反動で触手の一本が制御不能に…そしてそのまま翅をかすめてしまった。
あぶねぇ…!! 冷や汗かいた。
「妾にかすり傷を負わせるとは…雑魚の分際で。生意気な…!!」
あぁ。ほんとにかすり傷で済んでよかったよ…
個体特性『虫』があったことを覚えているだろうか? その効果は触覚と複眼で、相手の動きを素早く察知できるというものだ。それのおかげで暴走した触手を目で捉えて避けることができた。
「クソ…! 当たらない……」
「スラオ…逃げてくれ…」
「置いていけるわけないだろ!!」
我ながら名演技だ。展開した触手をそのまま蛾王に打ち付ける。ギリギリ当たらないように…。あとはちょっとずつ削っていって、最後に必殺技っぽいのを決めて倒すだけだが…必殺技ってどうしよう…。
考えながら触手をあやつり、10本に1本の割合でかすらせる。こいつは状態異常がなければ全く怖くない。一つ厄介だとすれば地味に高い素早さと、すばやく知覚するとこだろうか? でもまあ、明確な攻撃スキルを持っていないために状態異常さえなければまず負けることはない。
「ああもう!!…鬱陶しい!!」
かなり苛立っている。突風のスキルを使って捌ききれなかった触手を弾き、かろうじて耐え忍んでいる風を装っているが、もちろん僕の策略だ。 さて必殺技はどうするか…
種族『蛾王』
HP:637/1532 MP: 247/452
もうかなり削ったな。あ、ふと思ったけど、触手が手足のように使えるのって普通にすごくね? 何本だ? 100もないくらいだけど、それでも感覚で全て操れてる…すげぇ。
「…すごいな……押してる…お前…強かったんだな…」
「……ぐ…っ…」
「どうした!? 大丈夫か!!」
「もう…時間がないみたいだ。次で決める!!」
「だ…大丈夫なのか…? いざとなったら俺を置いてにげろ…!」
なんちゃって。もちろん嘘。MP消費はクソほど多いけど、ストックがあるからね!あと1週間くらいは連続してつかいながら戦える。しかし…スラスケって僕が思うよりいい奴なのかもしれない。いつもはお調子者キャラだが、いざ命の危機になると真っ先に自分を切り捨てることを指示できるんだもんな。
『毒霧 硬化 撃進 鞭打ち トゲ』
このスキルの中で必殺技を考えたが、いいコンボを思いついたのでそれで仕留めることにした。
「行くぞ!!はぁぁあああ!!」
触手で攻撃し続けていたのを一旦やめて、超速の『撃進』で蛾王めがけ突っ込んだ。スキル発動の瞬間、ステージに黄色い閃光が走る。並の魔物なら反応できないほどの速度だ。しかし! もちろんこれで攻撃するわけではない。
「ばか!! そんな不用意に突っ込んだら……!!」
スラスケは目で捉えることができたようだ。だがしかし! 安心しな! こいつに攻撃のスキルはない! もし食らったとしてもステータス的にもダメージは通らない! ふ、ここからはあえて言葉に発して今からすることを説明してやろう!
「目の前まできたところで…残した触手で踏ん張って止まる!!」
蛾王が複眼と触覚で超速の『撃進』を捉えたため身構え、一瞬固まった。そう、これは個体特性『虫』のやつに超効果的な技だ。普通の魔物であれば知覚できない程の速さでも素早く知覚できるために、絶対に反応してしまう。
「な……っ!?」
蛾王が驚愕の表情を見せる!!
「そこに目眩しでMPをいつもの3倍使った特濃の『毒霧』!! そして触手2本でお前を捕らえ、一旦スラオのとこまでさっがーる!!」
『撃進』を器用に後ろ向きに使い、元のポジションまで下がった。
「そしてそして…特大の『トゲ』を1本セット完了! かーらーのー『硬化』!!」
ボア狩りで見せたような形態にスキルを使って変化する。
「最後に…『鞭打ち』で地面を叩き、加速!! さぁああ!! くらえー!!! 必殺…『スーパーストロングハイパワーデミグラス!』」
またしても黄金の閃光が走り、弾丸と化したスラオの体が蛾王に直撃する。その時の守備力はなんと1144! 蛾王の守備力261を遥かに超えるその硬度は、紙を裂くよりも簡単に蛾王の体を粉砕した。
「す…すげぇ…」
スラスケが一瞬の出来事に圧倒されて思わず心の声を漏らした。
一方スラオはボス戦を終え、アルティメット形態Ver.1を解いてスラスケの元に戻る。
「勝ったぞ!」
「なんだ…あの格好いい技…すごいなスラオーー!!」
「だろ〜」
一瞬ためを置いて、スラスケがいつもとは違う真剣な空気でゆっくりと話し始めた。
「俺を置いて行かずに倒してくれてありがとう……」
「…や、やめろよースラスケらしくないぞ! 仲間だろ? 置いていけるわけないじゃないか」
なんか、こうなるのを求めてたけど、実際こんな真剣に言われると照れくさいな…しかも、スラスケがめちゃくちゃ良い奴だってわかったし…なんか、騙したことに罪悪感を感じるんだけど…
「スラオ…俺たちずっと仲間だ!!!」
「そうだな…これからもよろしく!」
そう言い合い、2匹はレベル上げの儀式のように体をペチペチとくっ付けあった。
そうして、第二の魔王討伐は終わりを迎えたのである。
二部も終わったんで、どうでしょう?
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