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いざ魔王!

 リズとその色違い2匹は、序盤の魔王猪王キングボアを倒す為、序盤の森へ引き返そうとしていた。


 「めちゃくちゃ早いな?! こんな速く走れるのすげーよ!!」


 「周りを走るなよ。鬱陶しいな」


 確かにスライムのスピードから獣神のスピードに変われば興奮するのもわからないことはない。しかもいきなりだ。ゲームで言ったらストーリー序盤にチート武器当てたような感覚なのかな? いや、軽自動車からスポーツカーに乗り換えた感覚? 車乗ったことないからわかんないや。


 「どうせ、お前もちょっと興奮してるんだろ?」


 珍しく勘がいいな。全くもってその通り!! 人間だった僕が転生初日、スライムのスピードにどれだけストレスを感じたことか。人間だったら訓練次第で多少速くなるけどスライムにはそれがなかった。通信速度で例えるならば、人間が2から3で、スライムは0から1だ。そして今は限界突破してアンテナ5本!! 興奮しないわけがないだろ! ビンビンに立ってるんだぞ!


 「そんなに嬉しいものですか?」


 リズにはわからんだろうな、この感動。だって次元が違うもん。人間がミジンコの気持ち分からないのと一緒だ。なんか興奮しすぎて例え話が的を得てない気が・・・。まあいいか。


 「あったりまえだろ?!」


 「どの辺がですか?」


 周りを走り回っていたスラスケが急に立ち止まる。


 「え・・・? わかんねえ。」


 おいっ、馬鹿にも程があるだろ!?


 「まあなんでもいいだろ? 楽しいもんは楽しいんだ!」


 出たよ大雑把スラスケ。まあ、こいつのおかげで飽きないからいいんだけどな。


 「それじゃ、出発しよう!」


 「はい!」


 「やっとか! 走りたくてウズウズしてたんだ!」


 「現在進行形で走ってるじゃないか」


 しかも、前回あたりでは戻りたくないとか言ってただろ。


 「どうでもいいだろ」


 「ごもっとも。よし、行こうか!」


 3匹の色違いリズが走り始めた。1匹は魔って感じの色。もう1匹は神って感じの銀色。もう1匹は・・・THEスライムの色。


 色の説明雑すぎだろ?! ・・・あれ? 誰にツッコんでるんだ? 僕。


 「すげー!! マジではえー!!」


 「だな! これは興奮せずにはいられない!」


 興奮すると同時に、リズがどれだけ気を遣って僕たちに合わせてくれていたのかわかった。ありがとうリズ。文句も言わずに僕たちのスピードに合わせてくれて。


 「後どのくらいかかりそうですか?」


 「んーこのまま体力が続くなら後もう少し走れば着くかな?」


 「わかりました。着いたらちょっとだけ離れて見守っておきます。」


 そうして、森の中を疾走すること数十分。


 「着いた」


 以前よりももう少し近いところにきた。


 「なんか、この辺りだけ雰囲気が違うな?」


 「まあ、ボスだからね。ちょっと特別感はある」


 ゆっくりとボスのいるエリアへ入っていく。ボスのいる場所には石で作られたステージが設けられており、いかにもボスって感じだ。語彙力が低くてすいません。高校生だったもので・・・


 「あれ? なんか戦ってね?」


 スラスケがそういう。見ると、以前見た猪王キングボアと人間4人が戦っていた。おそらく冒険者のパーティーだろう。


 「本当だな。あれ、多分まずいぞ」


 「なんで?」


 「バランスが悪すぎる」


 「なんだそれ?」


 「人間は一人一人はそこまで強くないからパーティーを作るって言ったろ? 猪王キングボアは守備力が高いから、闘う時は戦士が前線で気を引いて後方から安全に魔法で仕留めるのが定石なんだ。だけどあのパーティーには魔法職がいない。あのパーティーが非遮平原に出れるほど強かったら問題ないんだけど、あの感じだとまだそこまで強くない。」


 「やけに人間に詳しいんだな」


 「死にたくなかったから勉強した」


 「そうなのか」


ごめん・・・嘘。


 「大丈夫なんですか?」


 「微妙なとこだな、今のところはいい勝負しているがHPを削り切る前にやられる可能性がある」

 

 しかも、猪王キングボアにはあれがあるしな・・・

スラオ『なあ、スライムに性別あるのっておかしくね・・・』


スラスケ『おかしくないだろ俺メスっぽいだろ?』


リズ『はい!! メスっぽいです』


スラオ(・・・メスっぽいとは?!)


魔物に転生して20年のベテランスライム。今時スライムの価値観が分からない。

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