進化第4弾・・・
人間の男を2人倒したことで、進化可能レベルに達した2匹は、穴の近くで話し合っていた。
「あぁ進化したくねーよー」
コロコロと燃える体を転がしながら言うスラスケ。
「黙って進化しろよ。強くなりたいんだろ?」
どうせほっといてもレベル10オーバーしたら強制的に進化するんだけど。
「強くなりたいけど、この姿かっこいいし」
「進化してもかっこよくなるって」
たぶんな。
「んじゃー・・・やるか。俺からする」
そういうとスラスケの火に包まれた身体が青く光りだす。火のゆらゆらとした動きとその青い光が混ざり合い、神々しい雰囲気になっている。しばらくすると光が収まり、進化したスラスケが見えてきた。
「どうだ?」
あれ…?
「あ、え? ・・・いや、んじゃ次僕が行くわ」
ステータスを開き『進化しますか?』という項目を選ぶ。するといつも通り身体の中が熱くなり、淡く光を発した。
「どう?」
「え?…あれ?」
ん? 何ぽかんとしてるんだよ?
「なんでお前もその反応なの?」
なんかおかしい。とりあえずステータス見てみよう。
種族『プレーンスライム』
Lv1 ♂ スラオ
進化まで後Lv49
HP: 89 MP: 53
攻撃力: 58
守備力: 78
素早さ: 38
魔法耐性: 32
特技 転写
スキル 毒霧 硬化 撃進 鞭打ち トゲ
個体特性 無し
特殊技能 無限成長
称号 転生者・超晩成型・進化者・変態
種族『プレーンスライム』
Lv1 ♀︎ スラスケ
進化まで後Lv49
HP: 73 MP: 63
攻撃力: 51
守備力: 67
素早さ: 28
魔法耐性: 36
魔力: 83
特技 転写
スキル たいあたり 毒霧 硬化 火炎
個体特性 無し
特殊技能 無限成長
『プレーンスライム』…? しかも、僕とスラスケが同じ進化先? ステータスもスラスケとは違う…大幅に上がってるから良いんだけど。特技の『転写』ってなんだ? しかも、前の形態時の個体特性が使える…? 見た目はただの初期スライムだ。ぷるんとした質感、透き通る青く丸みを帯びた体…
「え? ただのスライムに戻ってる?」
「嘘だろ? 俺もなのか?」
「でも、ステータスはバランスのいいものになってるし、大幅に上がってるから・・・」
「うわぁぁぁあ!!! 俺のかっこいいフォルムがー!!!!」
身体をプルプル震わせて残念さをアピールしている。スラスケの叫び声がダイレクトに頭の中に響く。
「うるせーー! 魔法使えるんだしいいだろ!?」
「だけどよ…」
「強くなってんだからいいだろ! 俺だって味気ねーよ!プレーンだけに」
・・・・・・。
「言っとくけど笑わないしツッコミも入れないしフォローもしないからな? お前だけで滑ってろ」
おい。魔法使えるからってまだ僕のこと下に見てんのか。にしても辛辣すぎるだろ。自分でもわかってるわ。面白くないことくらい。
「まぁいいや、色々調べないとな」
「何を?」
「何をってお前…『転写』とか気にならないのか? 他にもどれくらい強くなったかとか。技の威力とか。」
「ならん」
「いや、なれよ」
「ならん」
「とにかく! そこにボアが3匹残ってるから、それで色々試すか」
まずは、『転写』…なんだけど。イマイチわからん。後にしよう。『鞭打ち』してみよう、おおっ。長い触手が生えてきた。
へー、使う時だけ生えてくるスタイルなのか。これに、『トゲ』で、スパイクみたいにならないかな? 触手の先端に、トゲを…と。 あ、できた。 やっぱり知識は力だな!
ーーーベシッ!
魔猪の肩に1発当ててみるとえげつない威力が出た。肩の一部が抉れて、そのボアは絶命した。毒霧でダメージが蓄積してたのもあるけどかなりのダメージを与えられた。
やばいな…強くなりすぎだろ。でも、倒したのにレベルが上がらない。やっぱり自分より弱い魔物倒しても経験値は低いんだなー。そろそろ奥に進む頃合いか。
スラオ『冷静に返されるのが一番傷つくんだが・・・』
スラスケ『面白くねーんだもん』