生徒会と私と思惑
6限の終わりを告げるチャイムが鳴った。私は帰り支度をして、生徒会室へ向かう。生徒会室は特別教室棟の2階にある。扉を開けると、そこには生徒会の3年生6人と新規生徒会メンバーであろう2年生5人がいた。机を教室の真ん中でくっつけ、その周りに皆座っている。その中に見知った顔を見つける。
「あれ?優斗?」
「真尋も呼ばれたんだ。はい。これ、お弁当。おいしかったよ。」
優斗がどことなくしょんぼり顔でお弁当を渡してくる。ぼそっと卵焼きが甘くなかったと聞こえた。しょんぼり顔の優斗が可愛い。顔がほころびそうになりそうになっていると天宮先輩の声が聞こえた。
「全員揃ったから始めたいんだけどいいかな?」
「あ、はい。すいません。お願いします。」
私は天宮先輩に謝りつつ、優斗の隣に座る。
「じゃ、まずは自己紹介からいこうか。私が生徒会長の天宮翠。よろしく。」
天宮先輩が軽く挨拶をする。
「副会長の桜庭楓です。基本的に会長の補佐をしています。」
その後、同様に生徒会役員の4人も自己紹介する。書記の黒川先輩、庶務の渡部先輩、吉岡先輩、井上先輩の合計6人が生徒会3年生のメンバーだ。天宮先輩と黒川先輩は女性の方なので特に仲良くできそうだと思う。
「と、以上が生徒会メンバーだ。やることは全校集会の司会や体育祭、創立祭の運営など学校行事に携わることを主にやるよ。まぁ、雑用みたいな仕事もあるんだけどね。毎週水曜日に基本集まって仕事をするんだけど、行事前なんかは毎日集まることもあるし、帰りが遅くなることもある。それで、2年生の中で部活動に入っている人はいるかい?いたら手を挙げてくれ。」
そう天宮先輩が言うと2人が手を挙げた。
「君たちは今の話を聞いて部活動を優先したいか、それとも生徒会をやりたいかで判断してほしい。生徒会に入ればレギュラーでなくなる可能性は高いし、部活動に満足に打ち込めるかも怪しい。どちらを選ぶかは君たち次第だ。どうする?」
手を挙げた2人は互いに顔を見合わせ、部活動に打ち込みたいと言った。
「そうか、今日は呼び止めて悪かったね。部活動に励んできてくれ。」
2人が生徒会室から出たのを確認すると天宮先輩はにっこりと笑ってこちらを向いた。
「君たち4人には拒否権がなくなったから、これからよろしく!それじゃあ自己紹介でも…」
「天宮。拒否権がないことの理由は説明するべきだと思う。2年生が困惑しているぞ。」
桜庭先輩が遮って言う。
「我々生徒会は学年で最低4人メンバーが必要です。今2人が抜けたことで4人となったので誰も抜けることはできなくなりました。他に推薦者が居れば話は別だったのですが、今年は今の6人しかいなかったので今ここにいる全員が生徒会に入るということになります。それでも大丈夫でしょうか。」
桜庭先輩が一応の確認をとる。私は元々することもなかったので入る予定ではあった。それに優斗がいるのだ。断る理由もない。
2年生全員が大丈夫だと言った。それを聞いて安心したのか桜庭先輩が胸をなでおろす。
「よし、2年生も自己紹介しようか。時間もないし名前だけで簡潔にお願いね。山下君から順にお願いしようかな。」
私の左斜め前側に座っていた男子生徒が自己紹介をする。
「山下淳です。」
それに続いて、山下君の右側に座っている男子生徒が挨拶をする。
「福田千鶴です。」
それにならって、私と優斗も挨拶する。
「さぁ、自己紹介も終わったところで早速仕事を始めようか。今日は再来週にあるクラスマッチのことを進めよう。」
そこからはあっという間だった。クラスの選手を競技ごとにまとめたり、トーナメント表を作ったりと大忙しだった。気が付けば下校時間となっていた。天宮先輩の号令で皆生徒会室から出ていく。私も優斗と一緒に下校した。
生徒会メンバーが出終わり、静かになった生徒会室で俺は溜息をつく。
「理事長も無理を言うよな。あれをくっつけろだなんて。距離がずいぶん近いのになんで付き合ってないのさ。」
「まぁまぁ。面白そうだしいいじゃん?」
「翠。手は出し過ぎるなよ。あくまでも自然にな。」
楽しそうに笑う翠に釘を刺す。
「わかってるって。そういう楓も気を付けてね。」
「ああ。俺たちも帰るか。」
俺たちは生徒会室の戸締りをし、生徒会室を後にした。
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遅くなりました。
話の書きだめができるようになりたいです。