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夢と私と勧誘

その夜、私は久しぶりに夢を見た。中学生の時の夢。



中学の卒業式が終わった後の教室で、各々仲の良かったクラスメイト達と写真を撮りあっている。私も一通り友達と写真を撮り終え、帰る準備をする。クラスの中を見渡し、教室の端でクラスメイトとふざけている優斗を見つけ声をかける。


「優斗、そろそろ帰ろっか。」


「うん。帰ろうか。」


優斗はクラスメイトと暫くふざけあった後、帰る支度を始めた。


「ほんと、優斗は水無月といつも一緒だよな。」


優斗とふざけあっていた男子生徒がつぶやいた。


「しょうがないだろ。幼馴染なんだし。」


幼馴染で片づけられたことに少し告白しようとしている決意が鈍る。だが、今日こそ想いを伝えるんだと自分を奮い立たせる。


「真尋、帰ろう。」


私は優斗と一緒に教室から出た。


一緒に並んで喋りながら帰るなか、私はいつ想いを伝えようかタイミングを見計らっていた。しかし現実というのは残酷であっという間に家の前に着いてしまった。何とか想いを伝えようとするが言葉が出てこない。


「今度は高校だね。お互い頑張ろう!またね。」


と優斗は笑って玄関に向かって歩き出した。このままだと優斗が行ってしまう。何とかして引き止めないとと思い、とっさに優斗の袖口をつかむ。緊張で口の中が渇き、うまく声が出ない。


「どうしたの?大丈夫?」


私がなかなか喋らないので優斗が心配した顔で聞いてくる。


(優斗は優しいな…。これ以上優斗に心配はかけられないよね。)


私は勇気を振り絞って声を出す。


「あのね…。伝えたいことがあるの。」


心臓が早く脈打つ。顔が熱を帯び、赤くなっていくのがわかる。一度大きく息を吐きだし、気持ちを落ち着かせる。


「今までありがとう。優斗がいたから今日まで凄く楽しかった!だから、高校も一緒になれて嬉しいよ。これからもずっと隣にいてほしい。」


恥ずかしくて俯いてしまったけど、私の精一杯の気持ちを言葉にする。少し顔を上げ優斗の反応を待つ。


「俺も感謝してるよ。真尋と一緒にいて退屈だと思ったことは1回もないから。これからもずっと友達でいよう。」


ずっと友達でいよう。その言葉に私は息が詰まる。



呼吸が苦しくなり、私は目を覚ました。布団をかぶって寝ていたせいで息苦しくなったようだ。それにしても嫌な夢を見た。何も夢の中でまで振られなくてもいいだろうにと思いながら、涙で濡れたであろう頬をぬぐう。

台所へ行き、水を飲み、気持ちを落ち着かせる。


(なんか疲れちゃったな・・・。寝よ。)


私はまた布団に入り、眠りについた。



翌朝、いつも通り起きた私は顔を洗い、朝ご飯を食べ終わるとお弁当を作る。卵焼きを作るために卵と白だしと砂糖を取り出したところで手を止める。昨日のことを思い出し、砂糖はしまう。甘くない卵焼きを作りお弁当に詰める。二人分のお弁当を作り終えたら、制服に着替え登校する。

春のポカポカ陽気が気持ちいい。のんびり歩いていると、後ろから声をかけられた。


「水無月さんですよね。」


「はい。そうですけど。」


声のしたほうを向くと男子生徒が立っていた。弥生学園では名札の色で学年が判別できるようになっている。名札の一番上に弥生学園と書いてあり、その下に名字が書かれているのだが、その間に色のついた線が入っている。一年なら赤、私たち二年は青、三年は黄色といった感じだ。

この生徒は名札の色が黄色になっているので三年生ということが分かる。


桜庭さくらばかえでといいます。生徒会に入りませんか?」


「私が?なんでですか?」


あまりに唐突な話で理解が追い付かない。最近唐突な話が多い気がする。めんどくさいことにならないといいのだけれど…。

お読み頂きありがとうございます。

それとなく告白ってどうやるんでしょうかね?

次は2日後あたりに更新したいです。

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