プロローグ
「安藤くん好きです!私と付き合って下さい!」
とうとう言ってしまった!4月のクラス替えの時に一目惚れして、今まで少しずつ距離を縮めてきた。今日は1学期の終業式。放課後いつものメンバーで、期末テストの打ち上げと夏休みの遊ぶ予定をファミレスで決めた。いつもはちーちゃん、安藤くん、式部くんの同じ電車通学の4人で帰るけど、いつの間にかちーちゃんと式部くんは寄る所があるからと言ってどこかへ行っちゃって、安藤くんと2人きりになれた。
ここで告白しちゃえば、夏休みの間は顔を合わせずにすむし!なんだか夕焼けがきれいでいい雰囲気だしと半ばヤケで告白してしまった。
きっと今私の顔はあの夕焼けみたいに真っ赤なんだろう。顔が熱い。返事を聞くのが怖い。彼を置いて走って帰っちゃおうかな。可能性は0ではないと思ってるというか信じてるけどあの安藤くんだ。実は彼女がいますなんてこともあるかもしれない。安藤くんに彼女がいないかどうか確認しておけば良かったかな?でも結婚してる訳じゃ無いんだったら望みは0じゃないはず!そもそも高2だからまだ法的に結婚はできないし!婚約は良いんだっけ?
ああ頭の中がぐちゃぐちゃだ。
恐る恐る彼の顔を見てみるとびっくり驚いた顔をしている。
私から好意を向けられるなんて思って無かったって顔かな・・・?あっ赤くなってきたかわいい・・・
「えっと・・・その、参ったな・・・俺から言おうと思ってたのに・・・」
んんん?小声で良く聞き取れなかったけど、俺から言おうと思ってたのにって言った?言ったよね!?マジかーー!?えっ夢か夢なのか???
あ、こっち見た。
「高野さん、好きです。俺で良ければよろしくお願いします!」
やっっっっっったああああああ!!!!!!!
「はいっよろしくお願いします!」
安藤くんと見つめ合ってしまった。やばいにやけるっていうか泣きそう・・・
「いやーまさか高野さんの方から言われるとはなぁ。俺の片思いだと思ってた。・・・夢じゃない、よな?」
「うーん夢かもしれないね。ちょっと確かめてみるよ・・・」
夢かどうかってどうやって確かめればいいんだろ?つねってみればいいのかな?思いっきり腕をつねってみる。結構痛い・・・
「ねぇ安藤くん、夢じゃないっぽい・・・痛いよ?」
きょとんとした顔で私を見つめていた安藤くんが吹き出した
「ふっはははは!そっか!夢じゃないか!良かった良かった。ぷっっ・・・やっぱり高野さんって可愛いな」
「かっっかわ!?可愛い・・・!?そんなこと言われると恥ずかしいんですけど・・・」
不意打ちはズルいです。
「いや・・・俺1年の時から高野さんの事いいな可愛いなってずっと思ってて・・・2年で同じクラスになれてすっっごい嬉しかったんだよ。いやまさか付き合えるなんて思ってなかったけどさ。」
「えっ1年の時から?・・・えーっと1年の時って話したこと無いよね・・・?」
クラスも部活も違ったし、共通の友達が居たわけでもないし・・・初耳だ。
「あーほら俺図書委員でさ、図書館行くのに家庭科室前通って行くんだけど、高野さん家庭科部でしょ?1年の秋頃かな?文化祭の前にクッキーとかパウンドケーキ焼いてただろ?味見か何かしてる所見かけてさ、なんて美味しそうに食べるんだろうこの子って気になっちゃって。それからずっと探してたんだ。リボンが赤かったから同じ1年だってわかったから、他のクラスの前通った時に覗いたりして。クラスは分かったんだけど共通の友達なんて居ないし、話しかけるきっかけも勇気も無くてさ。家庭科部今日はやってるのかなって家庭科室の窓覗くのが委員会の時の楽しみだったんだよねって、うっっっわ何言ってんだろ俺・・・ストーカーみたいじゃん・・・」
「そんなとこ見られてたのーーー!知らなかった!!!」
「そりゃ誰にも言ってないからね。あの・・・さ、高野さんは俺のどこを好きになってくれたの・・・?」
まじかそれ聞いちゃう?
「えーーーーーーそれ聞く?・・・んっとね、安藤くん本よく読んでるでしょ?安藤くん本のシーンによってすごく嬉しそうにしてたり、真面目な顔してたり、泣きそうな顔してて、何読んでるんだろ、今どういうシーンなのかなって気になってたんだけど、いつの間にか安藤くんってどういう人なんだろって考えてて・・・あのそんなに見ないで・・・恥ずかしい・・・」
「あっ悪い・・・俺そんなに見られてたなんて気付かなかった・・・えっと帰ろうか。家まで送るよ」
おお!なんか彼氏っぽい!
「あっありがと・・・」
言えるはずない。安藤くんが好きになった理由が、大好きなゲームBrandnewDaysのキャラ、須藤 奏くんに似てるから。だなんて!!