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美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます   作者: 網野ホウ
巨塊討伐編 第二章:異世界と縁を切りたい店主が、異世界に絡み始める

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幕間 三:訣別の夜 店主の独り言

 『天美法具店』の客にだったら、自分にやれることは何でもやれた。

 自分の経験で得た教訓や知恵も伝えることもあるし、アフターケアだって万全だった。

 しかしこれはそうじゃない。

 俺の客じゃないしこっちの世界の人間に通じてもそっちの世界の異種族には通じるとは限らない話だ。

 だから俺は何も言わず、行動を起こした。無言実行ってやつだ。


 親しい人と死に別れた人のそばにいる者達が一番つらいのは、その人が「生きている間、こうしてあげればよかった」「こんなことをしてあげたかった」という悔やむ声を聞かされた時。

 周りの者達はその人に、何もしてやれない。

「そんなことないよ」なんてことを言っても、その人にとっては気休めにしかならない。

 逆に言いたくなる。

 どうして生きている間にそれをしてやらなかったのか。それをしてやれなかったのか。


 生きている者は必ず死ぬ。

 例外なく死ぬ。

 それを真正面から向き合わなかっただけのこと。

 死ぬのは知ってる。でも今じゃないだろう。今すぐじゃないだろう。

 ならばそれをするのも今でなくてもいいはずだ。


 そう思って先延ばしにした結果がその後悔のはずだ。

 今のあいつには、その親しい人と一緒に過ごす時間はわずかしかないだろう。

 けれどもその間に出来ることもあるはずだ。

 そんな思いをなるべく残さないよう、二人きりの時間を作ってやる。

 だがそう告げる義理まではない。

 俺の五倍以上の年齢のはずだ。それほど長い人生経験があれば分かってるんじゃないのか? 今あの男になにをすべきかってことくらいは。

 それでも時間が足りないって思いはあるかもしれん。それはしょうがあるまい。

 この時間を得るために、今までの年月を費やし、過ごしてきたんだ。無意味なものってわけじゃないさ。


 だが、そいつと再会させるのは俺の贖罪でもある。

 けどそれをお前に押し付けるわけにはいかない。

 だからそれは俺の胸の内にしまっておく。

 俺の罪は俺の物だ。お前のものじゃないからな。

 だからお前は俺に気遣う必要はない。あの男と、水入らずの時間を悔いなく過ごすがいいさ。


 ※※※※※ ※※※※※ ※※※※※


 逝ったか。

 あの男が。


 良かったじゃねぇか。

 死に目に会えて。

 最期を看取ることが出来て。


 俺に出来なかったことだ。

 出来なかったことが、それで残った悔いが十年以上も俺の心に突き刺さってる。

 大切な人と、生き別れてしまった。

 もう二度と会うことが出来ない。

 お前にはお前の苦しみはあるだろうよ。

 けど、俺と同じような苦しみは感じずに済んだんだ。

 けど、お前にはそんなことを思う余裕はなさそうだな。


 仇討ちか。

 ま、それは好きにしな。

 お前には悔いは残してほしくない。お前に思うことはそれだけ。

 が、それを伝える義理もない。

 ただ、俺が独り言のように胸の内にしまっておくだけだ。

 けど……妙に騒がしい。


 いいよ。

 大切な人を失った者の特権だ。

 荒れたきゃ荒れりゃいい。

 遺された者が出来ることは悲泣慟哭しかないんだからな。


 今は泣け。


 けど、その涙は人に拭かせるな。

 涙は自分で拭うものだ。

 そして……。


 ……少しくらいは口出ししてやるか。

 あいつのこの先の進むべき道を選ぶためのヒント……と捉えてくれるかな?



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いつも見て頂きましてありがとうございます。
新作小説始めました。


勇者じゃないと言われて追放されたので、帰り方が見つかるまで異世界でスローライフすることにした
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