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美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます   作者: 網野ホウ
巨塊討伐編 第四章:遅れてきた者

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休店直下 5

 爆発事故の現場調査に向かった者達が意識不明に陥った。セレナもその一人。

 セレナに恩ある者達や親愛の思いを持つ者達が、彼女の店『法具店アマミ』に集まった。

 救助活動を起こそうとするが、普段集まらない者達が話を進めても思う通りにまとまるはずがない。

 ましてやほとんど、いや、全員から嫌われているホビット族のギスモがその店を我が物顔で仕切っていて、冒険者達の混乱を一人で引き起こしていた。


 そんな中に店主は連れてこられた。

 集まったほとんどの者は、店主とは面識がない。

 店主のことを、この店の常連や見知った冒険者達が紹介する。

 理解出来た冒険者達だが、彼が出した救出案は誰にとっても青天の霹靂であった。

 店主が挙げた出動するメンバーは、冒険者の仕事の依頼をほとんど受けたことのない新人三人と、混乱の元凶ギスモだった。


「理由はある。だがその前に、俺が作った道具が使えりゃそれこそ実力者の頼みたいところだ。だがその小男が使わせねぇっつんならそれは無理だ」


「ちょっといいだろうか」


 落ち着いた口調で店主の説明の途中で口を挟む男が近寄る。


「我々は天流法国法王猊下の勅命を受けてきた者だが、その道具とやらの代わりになる物を使えばどうだろうか? より速やかに救出作業に入りたいのだが」


 礼儀正しくも、高い目線からの言動が目に付くその男は店主と同じ人間のようだ。そしてその男の後ろに控える者達は、別の種族のようだが、同じ背広のような服装にネクタイと言う同じ姿をしている。

 セレナが時々連れてきた調査員と同じ服装から、彼らの同僚と判断できた。

 だからと言って店主は畏まるわけでもない。


「代わりの物が使えるかどうかなんて知らねぇな。作戦立案に合わせた道具なのか、道具に合わせた作戦立案なのかってことだ。俺が呼ばれたってことは俺に助けてもらいてぇってことだろ? ならなんで俺の考えた作戦に合わせた道具を使わせねぇ?」


「その前にお前がセレナの詳しい状況聞かされてねぇだろ。俺達もお前の事なんざ知らねぇよ。そこの小男の言うことに似てるようで癪に障るが、それは事実だからな」


 セレナの救出作戦に参加する者達のほとんどは店主を好意的に見るが、この店が始まったばかりの頃は不機嫌になった店主に仕事を拒否されたり、店主をかばうセレナから責められたりした者もいる。

 そんな者達の一人がの意見ももっともな話。

 頼りになる人が危険な状況に晒されている。誰だってその人の救助に、どこの誰ともわからないものに託したくはない。


「セレナ達が意識不明になった現場は、『爆発』が起きた現場って聞いた。あいつらはその現場の調査に向かった。その現場までの道に埋まってる石や岩の一部を何度か持ってきてもらった。それらを見て状況は大体把握できてる。把握できた上でのこの人選だ」


 店内はざわつく。いきなり現れた男が事実を知ろうとせずにいきなり現場の事は理解していると言う。

 うざったい小男よりはマシだろうが、それでもそんなことを口にする者を信頼するわけにはいかない。


「というか、なんで俺が選ばれたのか理由を聞かせてくれないか? みんなが納得出来りゃ指示通りに動けるだろうが、今のままじゃ何とも動きようがないんだが」


 ワイアットからのこの質問はもっともである。ましてや選ばれた者の一人で、他の選ばれた者達が所属するチームのリーダーの立場でもある。

 店主は眉間にしわを寄せながら、渋々その疑問に答えた。


「……人や物には、いろんな力が込められている。その力の違いはもちろんある。だがもともと持っている力よりも小さい器のモンはいねぇ。その力の大きさに合わせた器を持ってるってことだ」


「コップの中に水が入ってるようなものね」


 ヒューラーが合いの手を入れるが、その解釈は若干違ったようだ。


「いや、コップに例えるなら、その容量目一杯に水が入ってるってことだ。それはどんな人でもどんな物でもそう。そして力が衰えて来ると、その器も衰えた力に合わせちまう」


「コップの大きさが力の量に合わせて変わるってことか。空気が抜けてく風船みてぇだな」


「しかもその風船は、空気が抜けてもシワシワにはならない。常に膨らんでいる状態、つまりパンパンになったまま小さくなっていくってことだ」


 エンビーの解釈は概ね合っていた。しかしセレナの救助の話を聞きたい者達はその回りくどい説明にじれる思いを強くする。


「ところがセレナが持ってきた石の中には、その女が言うように、コップの中に水が入ってるような物が何個かあった。水が目いっぱい入っていないコップってわけだ」


「どういう意味だ? 力が減ってるだけのことだろ?」


 質問してくるブレイドを正面にし、逆に質問で返す店主。


「なぜ減るんだ? 減る理由はどこにある? お前らは例えば魔法や魔術を使うと、その分魔力が減るんじゃないか? 力仕事をすると疲れるだろ? 蓄えられた力を使って減ったからだ」


「その力を持った石だって同じなんじゃないのか?」

「石には、持ってる力を使おうとする意思はないだろう。石と意思をひっかけたわけじゃない。そこんとこにはツッこむんじゃねぇ」


 周囲からの疑問への店主の答えに、全員が言われてみればそうだと頷く。


「石に力があるだとか、その力が減ってるだとか、そんなの俺らに分かるわきゃねぇだろうが! 勝手なこと抜かすなや! だからお前はここじゃ役立たずなんだよ! 出てけっつったろうが!!」


 今まで静かになっていた小男がここぞとばかりに騒ぎ出した。


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いつも見て頂きましてありがとうございます。
新作小説始めました。


勇者じゃないと言われて追放されたので、帰り方が見つかるまで異世界でスローライフすることにした
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