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闇ポーカー

「吹雪、三華、本当によくやってくれたわ! 帰ったらご褒美ね」


「「はい、ありがとうございます!」」


 ここはカジノ・ロッカ。

 オクザワファミリアの縄張りの真横に位置しており、カジノ自体はロッカファミリアの縄張りの中央部に店舗を構えている。奈落街に存在するカジノの中でも三本の指に入る豪華さを誇る、ロッカファミリアのシンボルの一つとも言える巨大なカジノだ。


 カジノ・ロッカに到着したシズクファミリア一向は、別働隊として動いていた二人の幹部___吹雪と三華と合流し、フェーデに備えていた。 

 雫は任務を遂行し帰還した二人の幹部をねぎらっているところだ。


 ちなみに、雫に吹雪と呼ばれている少女が銀色の綺麗な髪をした少女で、三華と呼ばれている少女が黒髪ショートボブの可愛らしい少女のようだ。二人とも、綺麗な容姿をしてか弱い女の子に見えるが、敵マフィアのど真ん中に飛び込んで隠されていた少女を救出してきたのだ、外見とは裏腹に、相当な実力を秘めているのだろう。


 二人が保護したという少女は、どこからもってきたのかは知らないが温かそうな毛布に包まれて黒曜に手厚く看護されている。見た目からして、十代半ばといったところか。

 その表情は、恐怖と安堵が入り混じった何とも形容しがたいものだった。余程、酷い目に合わされてきたのだろう。解放されたとはいえ、突然、見知らぬ人間に保護されて困惑しているに違いない。

 


「さて、フェーデだけど、内容は『ポーカー』で勝負するつもりよ」


 雫は真剣な顔でファミリア以外の人間に聞こえない程度の声量で呟いた。


 フェーデ。即ち、マフィア間における平和的決闘。

 これには五つのルールが存在している。


 一、両組織の正式な合意のもとでのみ成立する。

 一、審判として、中立の立場にある組織を設置する。

 一、決闘のテーマはフェーデを受けた側が指定できる。

 一、決闘場所、時刻などのその他詳細は、両組織の意向を汲んだ上で最終的に審判が決定を下す。

 一、以上のルールの厳守なくして、フェーデは成立しない。


 つまり、今回のフェーデでは、申し込まれた側であるシズクファミリアに決闘の内容の決定権があるということだ。



 雫の発言に近くにいた幹部達がそれぞれ反応する。


「私も、賛成です」

「ポーカーですか」

「なるほど、シンプルでいいですね」

「かしこまりました」


 幹部らの反応を見ながら雫が続ける。


「理由は簡単。いま三華が言ってくれたようにルールが複雑すぎずシンプルっていう理由と、あとは、プレイヤーとして戦ってもらう穂香が得意なゲームだからね」


 穂香というのは栗色の長い髪をした少女で、さっきまで雫や黒曜と共にいた幹部の一人だ。

 ボスである雫ではなく、どうやらこの穏やかな雰囲気を醸し出している少女がフェーデに出るらしい。


「ご配慮していただき、ありがとうございます。必ずや勝ってみせます」


 その少女__穂香は真剣な表情で雫に向って勝利を誓った。


「大丈夫よ、あなたなら。これまでだって勝ってきたんだから、油断さえしなければ問題ないわ」


「はい! 油断せず、全力で臨みます!」


 少年はそのやり取りをやや冷めた目で眺めていた。

 巡回もフェーデも、何もかもが初めての経験で、おまけに急な展開ばかりで頭の整理が追いついていない少年が、ただ受動的に傍観するしかない立場にいるのは間違いなかった。ただ、それよりも少年には、ポーカーなどという実力差が出にくいゲームを、フェーデという重要そうな場で選択するべきか、甚だ疑問だった。基本的に、あのゲームはどれだけ良いカードを引けるかといった運勝負なゲームの印象がある。


 だが、そんな少年の杞憂など関係なく、決定は下されフェーデの開始時刻は近づいていく。そもそも新入りの少年に発言権などあるわけがなく、また、発言権があったところでファミリアの勝敗に影響を及ぼす選択に、積極的に口を出すほどのやる気と責任感を少年が持っているはずがなかった。




 フェーデ開始まで残り五分。

 カジノ・ロッカでメインルームと呼ばれる最も多く人が集まる大きい部屋でフェーデは盛大に行われる。部屋の中央には巨大な円を描くようにして人だかりができており、まるで小さな祭かライブでも始まるかのような雰囲気だ。


 円の中心部にいるのは言うまでもなくフェーデの主役達。

 シズクファミリアとオクザワファミリアの面々は、豪華なカジノテーブルを挟むようにして対峙していた。


 両者が互いをにらみ合い、重苦しい空気が流れ始めて数分。

 その空気をほぐすように、両ファミリアの間に一人の男が現れた。

 燕尾服に身を包んだその男は誰が見ても分かるくらいにあからさまな作り笑顔をしており、何というか非常に不気味な存在だった。


「お初にお目にかかります。わたくしはこのフェーデにて審判ならびに進行役を務めさせていただきます、ロッカファミリアの青崎と申します。宜しくお願い致します。___それではフェーデを開始する前に、ルールや内容の確認をさせていただきます」


 その不気味な審判___青崎の説明を簡単にまとめると以下の通りだ。


 フェーデ申請組織:オクザワファミリア

 フェーデ許諾組織:シズクファミリア

 フェーデ運営組織:ロッカファミリア


 内容      :トランプゲーム「ポーカー」

 勝利条件    :五本先取した側の勝利

 プレイヤー数  :各1名

 プレイヤー交代数:1回のみ可

 

 賭ける対象   :

 シズクファミリア  

→ 保護した少女二人を正式にオクザワファミリアから奪取、並びに、謝罪金200万円

 オクザワファミリア 

→ 奪われた少女二人の回収、並びに、シズクファミリアから新たに少女二人の提供。


 

 反則条件    :フェーデの規定、或いは審判に逆らった場合




 青崎曰く、以上がフェーデの内容らしい。


 ちなみに、このゲームで両ファミリアが賭ける対象についてだが、「謝罪金200万円」と「シズクファミリアから新たに少女二人の提供」という一文が追加されている。これは奥澤と雫が交渉した結果、お互いの望みを最も反映しつつ平等性を保たせた内容が上記の条件らしく、それぞれ更なるリスクを負うことになった。また補足だが、雫曰く謝罪金の謝罪というのは、シズクファミリアの巡回を妨げるような行為をしたことに対する謝罪という意味らしい。


 少年は、そんな簡単に自らのファミリアのメンバーを他のファミリアに奪われるリスクを負っても大丈夫なのかと心配になったが、雫が余裕の表情をしていたことから判断するに、余程フェーデに自信があるのだろう。



 青崎は左手首の腕時計を確認すると、ゆっくりと宣言した。


「定刻になりましたので、フェーデを開始いたします。両ファミリアのプレイヤーは席についてください」


 その指示を合図に、シズクファミリアからは穂香が、オクザワファミリアからは恰幅のいい眼鏡の男が、それぞれ席に座った。


 予想以上に、辺りは静まり返っている。

 これだけ広い空間で、しかも多くの人間が集まっているというのに、フェーデの重みがそうさせるのだろうか、雑談をしている人すらいなかった。


 青崎は慣れた手つきでトランプカードを切ると、素早く両プレイヤーにカードを5枚ずつ配っていく。

 残ったカードはテーブルの中央に裏向きの伏せた状態でセットされる。


 ポーカーは、「コントラクトブリッジ」や「ジン・ラミー」と並ぶ世界三大カードゲームの一つで、ポーカーというカードゲーム一つとっても様々な遊び方がある。クローズド・ポーカーやスタッド・ポーカーなど、国や時代によって細かなルールは異なっているが、今回のフェーデでは、最もシンプルなルールが用いられていた。


 まず、最初に5枚のカードが配られ、3回まで、好きな枚数の手札を捨て中央にセットされたカードの山から新たに引くことができる。3回全てカードの取捨をしてもいいし、1回もしなくてもいい。両プレイヤーがカードの取捨を終えた段階で、それぞれの手札を晒し、手札が強かった方が勝ち、即ち1本となる。ちなみに、ポーカー・ハンド(手札に揃えるカード)の種類は、一般的に使用される9種類。


 強い手札から順に、


1、ロイヤルストレートフラッシュ

2、ストレートフラッシュ

3、フォアカード

4、フルハウス

5、フラッシュ

6、ストレート

7、スリーカード

8、ツーペア

9、ワンペア


の9種類だ。



 この勝負を繰り返し行い、先に5勝あげた側の勝利となる。



 穂香と眼鏡の男はそれぞれ配られた手札に目を通す。

 辺りは静寂に包まれ、野次馬も両ファミリアのメンバーも、誰も言葉を発しようとしない。


 先に動いたのは穂香だった。3枚手札を捨て、新たにテーブル中央の束から3枚カードを引く。

 少しして眼鏡男も同様にカードを2枚捨て、新たに引く。


 この一連の動作がそれぞれ3回ずつ繰り返された。3回限界までカードの取捨をしたので、これでもう互いの手札をさらけ出さなくてはならない。最初の勝負だ。



 一斉に、両者がカードをテーブルに晒す。


 穂香:フォアカード

 眼鏡男:フルハウス



 直後、シズクファミリア側に小さな歓声が湧いた。

 まずはシズクファミリアの1勝ということだ。


 この時、少年は相手側の反応に若干の違和感を覚えた。

 眼鏡男も、奥澤も、ファミリアのメンバーも誰一人としてこの1敗を悔しがっていないのだ。まだ1回戦だからだろうか。それにしても少しは顔をしかめる程度の反応くらいしそうなものだ。その様子が少年には不気味で仕方なかった。


 続いて2回戦。

 同じようにカードの取捨が繰り返されていく。

 そして、両者それぞれ手札を公開する。


 穂香:ストレートフラッシュ

 眼鏡男:ストレート



 またしても、シズクファミリアの勝ちだった。

 これで2勝0敗だ。


 おかしい。不自然すぎる。

 オクザワファミリアの面々は先ほどと同様に、何の反応も見せない。

 危機感は愚か、負ける気など毛頭ないかのような態度だ。


 

 その時だった。

 奥澤が手を挙げ、審判の青崎に向って言った。


「審判、うちのプレイヤーはちょっと調子が悪いみたいだから、メンバー交代してもいいか?」


「はい、1回だけでしたら交代は許されていますので可能です。それで、どなたが新たに勝負されますか?」



 突然のプレイヤー交代宣言。

 今までの違和感の正体、オクザワファミリアの異様な自身はこれだったのか。

 いや、だがプレイヤーを変えたところでどうにかなる問題とも思えないが。


「玲二、いけ」


 短く一言、奥澤はその男に命じた。


「御意」


 奥澤に玲二と呼ばれたその男は、そう答えると、一歩前に歩み出た。

 細身で金髪角刈りをしたそいつは、まさにポーカーフェイスといった感じの無表情をしている。


「かしこまりました。それでは、続いて3回戦からは、シズクファミリアの穂香様とオクザワファミリアの玲二様をプレイヤーとして、進めさせていただきます」



 たった一度きりのプレイヤー交代権を使って出場させたのだ。この玲二と言う男、相当ポーカーが強いのだろう。

 果たしての穂香は勝ち続けられるのだろうか。


 少年が心配していると、その様子に気づいたのだろうか、黒曜がそっと歩み寄ってきて、耳打ちしてくれた。


「何も心配しなくていい。穂香のポーカーの強さは神のレベルに達している。ここだけの話、あいつは今までポーカーをしてきて、フォアカード以上の手札しか揃えたことがないらしい」


 とても信じがたい話だった。

 ありえるのだろうか。

 運が良いとかの次元を超えている気がする。


「念のため聞くが、イカサマはしていないんだろうな?」


 黒曜を真似て密かに耳打ちしかえす。


「当たり前だ。自然体であの強さ。穂香はポーカーの神に愛されているんだ」


 ありえない話だ。

 だが、現実が何よりも雄弁にそれを物語っている。



 オクザワファミリアがプレイヤーを交代後、最初の勝負。

 結果は、


 穂香:ロイヤルストレートフラッシュ

 玲二:フォアカード



 公開された穂香の手札を見て、周囲がざわつく。

 当然だ。

 ロイヤルストレートフラッシュなんて、そうそう生で拝める手札ではない。


 どうやら黒曜の言っていたことは真実のようだ。

 穂香、恐るべし。



 このまま穂香の無双状態が続き、フェーデはあっさりとシズクファミリアの勝利。


 というような展開になってくれれば幸いだったのだが、この直後からその願いは打ち砕かれることとなった。



 4回戦目。


 穂香:ストレートフラッシュ

 玲二:ロイヤルストレートフラッシュ



 前回を超えるどよめきが周囲に走った。

 今度は玲二がロイヤルストレートフラッシュを叩きだしたのだ。


 これには誰よりも穂香とシズクファミリア側が驚いた。


「嘘……穂香にポーカーで太刀打ちできる人がいたなんて……」


「おそらく偶然でしょう、雫様。何度もあの手札が出るはずがありません」


 驚愕を隠し切れない様子の雫に黒曜がフォローを入れる。


 だが、続く5回戦目。


 穂香:フォアカード

 玲二:ロイヤルストレートフラッシュ


 その信じがたい結果に、今度はどよめきを超えて歓声がオクザワファミリア側から湧いた。



「嘘でしょ。こんなに何回もロイヤルストレートフラッシュが出るなんてありえないわ。イカサマに決まってる!」


 雫の指摘を受けた奥澤は、余裕の表情で反論した。


「おいおい、子どもの喧嘩じゃないんだ。イカサマだというなら、証拠を見せてくれよ証拠を」


「くっ……」


「はははっ! やめてもらいたいねえ、悪質な言いがかりは。うちの玲二の運が凄く良かっただけの話なのにねえ」



 オクザワファミリアの玲二という男が何かしらの策を用いて、穂香を負かしていることはほぼ間違いないと言っていい。しかし、シズクファミリアにはその策が何なのか暴くことができない。暴けない以上、反則として審判に進言することもできないのだ。



 何も対処することができないまま、迎える6回戦目。


 穂香:ストレートフラッシュ

 玲二:ロイヤルストレートフラッシュ



 これで、シズクファミリアの2勝3敗。

 あと2敗で、救出した少女に加え、シズクファミリアのメンバーの中から更に2人の少女をオクザワファミリアに差し出さなくてはならなくなる。

 雫も幹部達もそれだけなんとしても避けなくてはならなかった。


「し、雫様…私、どうすれば……」


 初めての窮地に、穂香は顔を青くして雫達の方を振り返った。


「穂香……」


 だが、ボスの雫にも他の幹部達にも、穂香に向けて励ましの声をかけることはできても、現状を打開するための方法をアドバイスしてあげることはできなかった。


「くそっ…これはまずいな……」


 隣で黒曜が深刻そうな顔をして苦悶している。

 他のメンバーも似た様子で黙りこくっていた。



 しかし、まさに絶体絶命の状態にファミリアが陥っているこの瞬間、ただ一人。

 別のことを考え、決断しかねている人間がいた。


 そう。

 この時、少年はこの先の自身のファミリアに対する向き合い方を模索していた。


 正直な話、少年は望んでシズクファミリアに参加したわけではなかった。

 雫に自ら意思表明をしたとはいえ、きっかけは受動的なものだったし、おまけに無理矢理に猫の異能も与えられてしまった。シズクファミリアに確かな未来を、希望を垣間見たとはいえ、どこまでこのファミリアに身を捧げ、尽くしていくのか、少年はまだまだ考えが固まっていなかったのだ。


 路上で死にかけていたところを、少女収集という別の目的があったとはいえ雫に救ってもらったことに対し恩を感じていないわけではない。恩返しをしないなんて薄情なことを言うつもりもない。


 だが、何かが少年を立ち止まらせる。決断させるに至らない。

 あと一押し。何かが必要だ。



 その時だ。

 いきなり奥澤が大きな声でわめき散らすように言った。


「あれれえ? もしかしてプレイヤーの穂香、って名前だったか。泣いてるのかなあ? くくくっこれは愉快な展開になった。巷で恐れられているシズクファミリアの幹部といっても所詮は女、追い詰められたら泣くしか能がない存在ということだ」


 穂香は決して泣いていなかったが、押し寄せる不安とプレッシャーに目元が滲みつつあったのは確かだった。


 奥澤の侮辱に同調するようにして周りのメンバー達が嘲笑う。

 通常なら、すぐにでも実力行使で連中を黙らせたい雫や黒曜達だが、今はフェーデ中だ。それは叶わない。


「穂香、翻弄されてはいけないわ。大丈夫。別にあなたが弱くなったわけではないんだし、まだ勝てる可能性は___」


 せめてもの思いで、雫は穂香に全力で激励の言葉を発した、が、途中で穂香に遮られる。



 穂香は潤んだ瞳でまっすぐ雫を見つめていた。


「安心してください。雫様。私は雫様に命を捧げ、シズクファミリアの一員としてこの場に立たせていただいております。それゆえ、例えこの世の理を捻じ曲げてでも、雫様に勝利の二字をお届けしてみせます。待っていてください」


何をどう足掻いたところで、現状のまま相手の玲二に勝つことは不可能だ。


 それなのに穂香は、真剣な眼差しでそう言い切ると、


 ひどく柔らかく優しい笑みを作り、


 そっと微笑んだ。


 


 






「審判」


 

 唐突に、少年は行動に出た。

 カジノテーブルに歩み寄りながら、ゆっくりと口を動かす。


 それを見てか、オクザワファミリアから響いていた笑い声が止んだ。


 一瞬、まるで少年を除いた全ての存在が静止画になったような感覚に誰もが陥った。

 それほどに、この場における少年の存在感は強く色濃かった。



「シズクファミリアのプレイヤーですが、チェンジでお願いします」



 突然発せられたその提案に静まり返る一同。

 即座に、雫と黒曜が少年の意図に気付き、声を荒げて止めようとするが、もう少年の耳には何も聞こえていなかった。


「かしこまりました。それでは穂香様の代わりに新しいプレイヤーをどなたか指定してください」


 機械的な反応を示す審判の青崎に向けて、少年は一つの決断を口にする。

 呼称は咄嗟に適当に考えたもの。目的さえ果たせればそれでいい。




「新しいプレイヤーは、私です。呼び名はそうですね、野良猫Aでお願いします」


 

 



 少年は、穂香が魅せたあの微笑みが網膜に焼き付いて離れない。

 優しくもあり、でもその何十倍も悲しいあの笑みが脳裏から消えてくれない。

 

 ここ数日、少年の頭を巡っていたあらゆる計画や思索。ファミリアでの身の置き方に関する考察。今後の人生を考えた時にここから一日も早く脱出した方がいいのではないかという現状分析。雫への恩への報い方______それらの迷い全てを吹き飛ばし、目の前の敵を屈服させるためにシズクファミリアを背負う覚悟を少年が固めるのに、穂香の微笑みは充分すぎるほどに強烈な、決定打となった。




 この瞬間、少年の運命の歯車は、音をたてて大きく動き始めた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


またすぐ更新しますので!

どうぞ引き続きお楽しみください!

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