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プロローグ
しなちゃんが好きなもの。グレープフルーツの香り、小さなブルーの花を付ける植物、泣ける話、漫画、季節を感じる匂いetc…
しなちゃんが嫌いなもの。嘘、お世辞、汚い部屋、いじめ、酢っぱい食べ物etc…
これは僕の頭の中にある、しなちゃんの情報の一部。僕はこの情報を、十年経った今も大切にしている。
しなちゃんは強い。
どんな事があっても、誰にも頼らず、自分を信じて乗り越える。あまり泣いたりしない。そんな光り輝くしなちゃんを、僕はいつも尊敬と同情の眼差しで見つめている。しなちゃんには、とても辛い過去がある。誰にも癒す事の出来ない底無しの傷が…。
しなちゃんは、僕の大切な人だ。
僕としなちゃんは、いつも面と向かって話しをする。その日の愚痴なんかを、たくさん打ち明ける。それを、しなちゃんは飽きもせずに、毎日毎日ちゃんと聞いてくれる。それが僕にとってどれだけ大切なことなのかは、僕以外の誰にも分からない。他の人に分かるわけが無い。僕だから分かるのだ。
今僕は、しなちゃんのことを守りたいと思っている。軽い気持ちなんかじゃない。
それが僕の真実だ。