1月23日 リフレ王国ブレイドに到着しました
おはようございます。
今日は朝から快晴で、すばらしい追い風が吹いてます。
我がプリンセス号は、快調に帆走しております。
巨大人魚姫の力技で無風海域を抜け、その反動で屍の群れとなった乗組員も乗客も復帰してます。
リグリアス船長によりますと、なんとですね。
夕方にはリフレ王国の海の玄関、港湾都市ブレイドに入港できるそうです。
リフレ王国の大地も、水平線上に見えてます。
プリンセス号の周りには、たくさんの海鳥が群れてるしね。
リフレを目指す他の船も、ちらほらと見えてきました。
思えば予定より長い船旅となりました。
いろいろあったし、ほんとにいろいろと、ね。
「やっと陸地にゃ。今回の船旅は…ほんとーに酷い目にあったにゃ」
尻尾と耳ををへにゃっとさせて、シーリスさんがちらりと私を見てるんですけど。
なんだろ、私、シーリスにゃんになにかしたっけ?
「ガハハハハ!人族の冒険者よ、細かいことは気にせんことじゃの~」
相変わらず豪快なドワーフさんが、ジョッキ片手に与太ってます。
このドワーフさん、航海中はずっとのみ続けてましたね。
船酔い防止のためって豪語してたけど、ほんとはお酒が好きなだけじゃないのかな。
「ブレイドについたら、真っ先に冒険者ギルドに到着報告するのにゃ」
「今晩の宿も探さないとね。シーリスはブレイドの名物料理、何か知ってる?」
「レイピアフィッシュって白身魚の湯引き料理がおいしいのにゃ。骨が多い細身の魚にゃ。
特別な料理方で骨をきって、切り身にして、さっと熱湯を通すのにゃ。
それに甘酸っぱいソースをかけて食べるのにゃあぁ」
熱く語るシーリスにゃんの目に、ハートマークが見えます。
夢見る猫乙女の魂は、もうブレイドの街に旅立ったようです。
レイピアフィッシュって中学の修学旅行で食べた、京都のはも料理ににてますね。
『レイピアフィッシュ:ヴァルノーラリフレ王国近海で取れる細身の銀色の魚。
骨が多く、特別な調理法を用いて調理。
滋養に富み、ほのかな甘味とわずかな体力回復の効果あり』
お、鑑定君の文字情報です。なるほど、ヒットポイントを回復する効果もある食材ですか。
私もすごく楽しみになってきました。
「サツキ、目的を忘れるでないぞ」
もちろんです、ギンさん、忘れてないっす。
目的…って、なんでしたっけ?
「界渡りの大魔道師」
「そそ、それの調査ですよね~」
ギンさんが、大きなため息をついたのは、何度目かなあ。
リフレ王国の海の玄関、港湾都市ブレイドに到着しました。
何十隻もの帆船が、港に停泊しています。
プリンセス号からブレイドの大地に足を下ろし、やっと結界を解いて空中浮遊の魔法とおさらばです。
ギンさんも久しぶりの大地の感触を、その四肢で確かめてます。
大きく伸びをそてから、軽くジャンプ、さらにジャンプ。
さらにさらに大きくジャンプ。
もふもふな三本の尻尾が、可愛く可憐に揺れて周囲の人の目を釘付けにしてます。
うん、とっても眼福の光景ですね。
日本のキタキツネが雪原で遊ぶ様子もそっくりで、にへらと笑顔になっちゃいます。
「やはり、大地の上がよいな」
ひとしきり飛び跳ねたギンさんは、満足気につぶやきました。
「ギン殿、かなり人目を集めてますぞ」
私達といっしょに下船したリグリアス船長が、面白そうに声をかけました。
いや、半魚人の船長さんも注目の的ですよ。
猫の人なシーリスにゃんと、私達といっしょに下船した酒飲みドワーフさんもいるし。
他の猿、狼、犬とかの獣人の船客とか、手が空いて下船してる魚な乗組員とか。
人外大集合してる獣人領域の種族見本市なんだもの。
ブレイドの港に上陸した他の船の乗客は、ほとんど人族みたいだし。
そうそう、書き忘れてたけどね。
このブレイドの街で、私は始めて自分と同じ人族を見たんですよ。
いわゆる地球でいうとこの人間、白人種から黒人種まで。
髪の毛や目の色は地球よりカラフルで、色の組み合わせも何でもありって感じです。
もちろん、ドワーフさんやエルフさん、そして人型のケモ耳さんもいます。
いるんですよ、ラノベやゲームでおなじみな種族さんが!
来てよかった異世界…!
いえ、獣人領域は、もふもふがあふれて私的に天国なんだけどね。
けど、エルフさんとか人型ケモ耳さんとかも、やっぱみたいじゃないです、よね?
って、私が目を見開いて周囲を凝視していたら。
「火炎山、獣人領域の冒険者ギルドからいらしたサツキ・クマガイ殿のご一行ですか?」
と、声をかけてきた男の人がいました。
「リフレ冒険者ギルドの方ですかな?」
リグリアス船長が代表して応えました。
「はい、私はブレイド冒険者ギルドのジムソン・アレッカです」
やっと第一人間冒険者と、遭遇したよ、にーちゃん。
いよいよ、リフレでの冒険のはじまりですね。
長らくお待たせしました。
いつもお読みくださり、ありがとうございます。




