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1月21日 人魚姫 出現か?

 ふぁさり、ふんわり、するり。


滑らかなギンさんのもふもふ尻尾が、三本とも私の体に巻きつきました。

そのまま私を抱え込むようにして、ギンさんは海面すれすれまで降りていきます。


「サツキよ、お主が知る海の精霊を思い描け。そして呼べ。

 精霊は主の呼び声に呼応するであろう」


えーと、想像して、呼べばいいんですね、ギンさん。


「呼び声に魔力を込めよ」


「アイアイサー!」


海の精といえば、決まってます。

人魚姫です、マーメイドです。

水にゆらめく長い髪に、きらめく青銀色の鱗に覆われた下半身。

半透明の尾ひれに貝殻ビキニに、真珠の涙ですよ。

…ちょっと、崖の上のなんとかが脳裏をかすめたけど。

これじゃないです、あわてて消去です。

アンデルセンの人魚姫、メルヘンです。


ようし、想像図脳内固定完了。

いい仕事しましたよ、私の脳みそ。

とびっきりの美女な人魚姫です。

丹田で練った魔力を想像図に思いっきり練りこんで。

足元に広がる、鏡面のような海へと叫びます。


「いでよマーメイド!!」


真珠の涙プリーズですよ。


暫くの間、なにも起こりません。

そよとも吹かない無風状態と、さざなみ一つ起こらない鏡面の海。

私もギンさんも、プリンセス号のみんなも待機状態です。


すると。


ざぶり。


と、鏡面の海が揺らぎました。

小さな波が、プリンセス号の船体を揺らします。


「海の底からなんかくるにゃ!サツキ、気をつけるにゃ!」


興奮気味に叫ぶシーリスにゃん。

きっと尻尾がぱんぱんになってると思います。

大丈夫、海の底からくるのは人魚姫だから。

私が海の精に姿を与えて、呼び出した存在だから。


ざぶり、さぶりと鏡面の揺らぎが大きくなってきました。

沸き立つ海に細かな泡が浮かんできます。

その泡の大きさと量が、倍速で増えてきてます。


「来るぞ」


ギンさんが船縁まで移動して、沸き立つ海面をみすえました。

青い海が、乳白色と銀色に変化してきました。


(ワラワヲヨビシハナニモノナリヤ?)


抑揚の無い平板な声が、私の脳内に響きました。

これが海の精、人魚姫の声ですか…ちょっと色気がないかもです。


(ナニモノナリヤ?)


脳内の平板な声とともに、海が割れました。

おおぅ、ついに人魚姫が出現ですか?


「んにゃああああぁぁぁ」


ああ、大波に揺れる船から、シーリスにゃんの雄叫びが聞こえる…ごめん。

どっかにふっとばされたかな…。


(ナニモノナリヤ?)


割れた海から出現したのは、確かに人魚姫でした。

真珠のような白い肌と、青みを帯びた銀色の長い髪。

同じ色の目をもつ、若いウ美しい女性。

豊かな乳房のすぐ下からは、銀色の鱗に覆われています。

脳内想像図とほぼ同じ、美しい人魚姫です。


けどね、大きさが、大きさがね。

なんでガン○ムサイズなのかな?


「サツキ…」


ギンさんが大きく大きくため息をつきました。


(ナニモノナリヤ?)


えーと、えーと、とりあえず人魚姫さんにお答えしよう、そうしよう。


「サツキ・クマガイ、界渡りの冒険者です。よろしく」


(ワラワニナニヲノゾミシヤ、チカラアルモノヨ)


「船が動かなくて困ってるの。風が吹くとこまで移動したいの。力を貸して欲しいの」


(ナニヲワラワニアタエルカ)


「貴女が望む魔力を」


(ショウチ)


巨大なガ○ダム人魚姫は、再び海中に潜っていきました。

再び起こった大波が、プリンセス号の船体を上下にゆらします。


「ふんぎゃあああぁぁぁああ」


「ガハハハハ、スリル満点じゃの」


シーリスにゃんの雄叫びと、豪快なドワーフさんの笑う声が聞こえてきます。

船上の様子は、神のみぞ知る、ですね。


「魔力を込め過ぎぞ、サツキ」


「てへっ」


てへぺろでごまかされないよね、ギンさん。


でね、巨大な人魚姫が動かない船をどうしたかというとね。

力技で動かしました、文字通り。


つまり、船首部分の碇をこう肩にかついでね。

大海原を泳ぎだしたんですよ。

すんごいスピードで。

まるで巨大ジェットスキーに乗ったみたいでした。


メルヘンを望んだのに、なんで巨大ロボット路線に変更したのかな、かな?

たいへん、お待たせしました。

ほんとに申し訳ありません。

いろいろあって、どうにかアップできました。


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