1月15日 猿の街から魚人の街へ
猿の街再び、です。
シーリスさんご指定の転移先は、猿の街中央広場にある雑貨店の中でした。
こちらの店のオーナーは、半魚どんな人でした。
無表情で全身鱗の、魚な目の人がお出迎えです。
なめし皮の袖なしチュニックに、ズボンといった軽装です。
正直にいいましょう。
いきなりのドアップは、腰がひけます。
…こわいよ、おかーさん。
下からハンドライトの光があたってたら、叫ぶこと請け合いです。
「よく来たな、シーリス。元気か」
「にゃ、あいかわらず旨そうな匂いなのにゃ、ポンペイモス」
シーリスさんは嬉しそうに、半魚どんに抱きついてます。
美猫と半魚…どっかで聞いたようなタイトル?
半魚どん改めポンペイモスさんは、私とギンさんを見て自己紹介を始めました。
「初めまして、私は魚人族のポンペイモスです。
猿の街と魚人の街をつなぐ転移魔法陣の管理をしています。どうぞよろしく。
勇名をはせるシグムンのギン殿にお会いできて光栄ですよ」
ちょっとだけ口のあたりが上がってるかな、ポンペイモスさん。
微妙な表情の変化で、雰囲気ががらりと変わります。
怖さが半減して、愛嬌のある魚な人になりました。
えっと、キモカワイイみたいな?
「シグムンのギンぞ。世話になる」
「えっと人族のサツキです」
「初めまして、人族のお嬢さん」
指の半ばまで水かきのついた手は、予想通りひんやりしてました。
「ここから魚人の街まで一気に跳ぶにゃ。その前にギルドへ挨拶にいくのにゃ」
「やっぱりシルバさんにご挨拶だよね」
「当然にゃ」
「ですよね~]
いくらなんでもシルバさんの座学はないと思います…ないと思いたい…ないといいなあ。
「座学は無い、安心するがよいぞ」
さすがギンさん、よく私の心がおわかりですね。
「サツキよ、はっきり申すが、主の心の声は言動と態度にでておるぞ」
え、そうなの?そんなに判りやすいの、私。
「判らぬほうがどうかしておる」
「そうにゃ」
ギンさんとシーリスさんの同時突っ込みに、ちょっと心が折れてしまいました。
猿の街冒険者ギルドでシルバさんにご挨拶です。
「元気そうですね、サツキさん。座学の復習はしましたか?」
「はい、もちろんです」
おおぅ、今日も元気な鬼教師シルバさんだ。
うん、メモったノートは読み返しました。
だから嘘は言ってません…ギンさん胡乱な目つきで見ないでください。
「リフレ王国まで海路の旅となります。安全な航路だとは思いますが。
どうぞ気をつけていってらっしゃい。竜王陛下の加護のもと、よい旅路を」
シルバさんの安全を祈る言葉とともに、いよいよ魚人の街へ出発ですね。
ギルドを後にして、ちょっとだけ買い物とグルメしました。
串団子と和風フルーツクレープは、どうしたって外せませんからね。
船旅の途中で食べる、保存の利く焼き菓子も買わなきゃですから。
「気はすんだか」
「「にゃあ!」」
シーリスさんは自前の尻尾をゆらして。
私は見えない尻尾をゆらして。
ギンさんはもふもふ三本尻尾をたらして。
ポンエイモスさんのお店にある転移魔法陣の上に乗りました。
「よい旅路を、ギン殿、サツキさん、シーリス」
「ありがとにゃ」
「行ってまいる」
「いってきます」
ポンペイモスさんが、魔法陣に魔力を流しました。
魔法陣が発行して、光の渦が湧きあがってきます。
心地よい浮遊感に包まれて、私達は魚人の街へと転移しました。
お待たせしました。やっと更新です。
仕事の山越え、やっと終了で上司怖い病発症中ですw




