1月9日 客寄せ人族 まかり通る
猿の街に来たのは、トラベリングストーンを使いギルドに直接転移してです。
その後はお怒り疑い踊る会議と、苦しい座学で街の観光は初めてです。
ハリィさんの右手をがっちり抱え込み、猿の街冒険者ギルドの外へとでました。
うん、いい天気です。
さわやかな春の風が心地よいです。
そんな猿の街の光景は…。
おおぅ、猿の街はリアルエイ○プラネットです。
頼もしい我が鑑定スキル君が、視界の隅に文字情報を流してくれます。
筋肉隆々のゴリラさん的な猿の人。
ユーモラスなチンパンジーさんさん的な猿の人。
フサフサオランウータンさん的な猿の人。
お顔がカラフルなマンドリルさん的な猿の人って感じにね。
体毛はそれこそ万国旗並みにカラフルで、見てるだけで目がくらみそうですよ。
細かい色石で舗装された道路を、いろんな猿の人が行きかってます。
時々、リザードマンさんや兎さん、猫さんや犬さんなんかも混ざってます。
さすがに獣人領域で最大の街だけあって、様々な種族で賑わってるようです。
通りにはたくさんの屋台や露店もでて、美味しそうな香りが漂ってます。
「いい匂いがするね」
「確かに、食欲が刺激されるにゃ」
ハリィさんはひげを前方によせ、鼻をくんくんさせてます。
私はハリィさんの肉球をぷにって、注意喚起しました。
「私が食べたいのはお菓子ですよ、ハリィさん」
「わかってるにゃ、こっちからいい匂いがしてるにゃ」
大通りを横切って、ハリィさんが移動開始です。
素早い身のこなしで、道行く猿な人達を回避していきます。
さすが、冒険者の猫さんですね。
私だったら、ぶつかりまくってます。
「いらっしゃい、おや珍しい。人族の娘さんだね」
ハリィさんが匂いで嗅ぎつけたのは、いろいろな焼き菓子を売ってる露店でした。
恰幅のいい猿のおばさんが、にこやかに声をかけてきました。
クッキーに、小さなパイにケーキ、大きなパウンドケーキ等々。
いろんな果物を使った焼き菓子が豊富にあります。
「こんにちは、おねえさんお奨めのお菓子はどれですか?」
「嬉しい事をいってくれるねえ。お奨めは果物たくさんのパウンドケーキさ。
少し食べてみるかい?」
「はあい」
なんと、試食オッケーな露店のようです。
おばさんが、試食用のパウンドケーキを二人分切り分けてくれました。
猫族と人族の組み合わせが珍しいみたいで、あっという間に人だかりならぬ猿だかリです。
「…にゃにゃ」
尻尾の毛が膨らんだハリィさん、内心が駄々漏れですけど顔は平静そのもの。
試食のケーキはとっても上品な甘さで、お奨めどおりな美味しさです。
ハリィさんの驕りでこのパウンドケーキと、クッキーを三種類買いました。
「人族のお嬢さんも喜んでくれたケーキだよ、買っていきな」
あ、私、客寄せ人族にされてますね。
美味しいからいいけどね。
おばさん、ありがとうね。
「さ、甘いお菓子も買ったしギルドに帰るにゃ」
「なにいってるんですかぁ、お楽しみはこれからですよぉ」
にやりと笑う私に、ハリィさん呆然。
お財布つきの観光、始まったばかりですよ、ハリィさん。
さ、デザートは買ったから、次こそお昼ご飯食べにいきましょうね。
「昼からの座学がー」とか「ギンさんが待ってるー」とか。
うにゃうにゃいってるハリィさんをひきずっ、もとい、引っ張ってね。
次の旨いものを求めて、探索の旅を開始するのでありますよ。
たいへんお待たせしました。
猿の街観光編ですw




