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1月8日 会議は疑いモードのようです

 ホール内にいた全ての獣人の視線が私に集まってます。

えーと、えーと、どうしよう?

ちらりとギンさんを見ると、すっと私のそばに歩いて寄り添ってくれました。


「私が猫の街の前ギルド長のフィリップさんを封印しました。

 封印したのは、彼が魔物化したからです。

 ハリィケルンさんとフィリップさんは、古くからの知り合いです。

 シグムンのギンさんが、友人のハリィさんの前で彼を消滅させるのは。

 とてもいけない事だと思ったから、だから、私が封印しました」


事実だけを淡々と言葉にすると、ただこれだけのことなんですけどね。


「シルバ殿、この人族の少女はどなたなのかな?」


 見た目が半魚どんって感じの半漁人さん。

少しくぐもった声ですが、穏やかな雰囲気で質問しました。

殺気立ってた他の獣人と違って、ずっと成り行きを見守ってたようです。


「彼女は猫の街冒険者ギルド所属の初級冒険者、サツキ・クマガイ殿。

 先日、猫の街に来襲した魔物の殲滅に多大な功績をあげた魔法使いです。

 そして、竜王陛下の眷属であるシグムンのギン殿の弟子でもあります」


シルバさんの言葉で、再びホール内にいる獣人さんたちの視線が集中です。

半信半疑って感じの視線が多いなあ。

でも。視線がやっぱり痛いです。


「吾の弟子である人の仔は、すでに我が君とも好を通じておる」


ギンさんが三本の尾を私にからめて、そう告げました。


「魔に『堕ちた』黒猫は、間違いなく封印された。

 吾が確かめ、吾の目前にてさる場所に封じた故、なにも害はなさぬ。

 その責は、吾とこの人の仔にある。猫の街の新しきギルド長を責めることなかれ。

 責を問うなら吾と、我が弟子ぞ」


「私から付け加えるなら」


シルバさんが順番にギルド評議会のメンバーを見て、ゆっくりと話し出しました。


「ここ数ヶ月、獣人領域で確実に増えていた魔物討伐の依頼ですが。

 猫の街の魔物殲滅いらい激変しています。

 それはサツキ殿が、猫の街で殲滅したのが原因でしょう。

 魔に『堕ちた』者を封印することができる。

 親しい存在を消滅させることなく、封じることができる。

 そのような魔法があるのなら、それはとても興味深く思えます。

 魔に『堕ちた』者は感情や知恵を持っています。

 それ故に、虚無より生じる純粋な魔物以上に脅威となります。

 消滅させるのも困難で、さらに魔は魔を呼び込む元凶となりかねません。

 それを封じる魔法があるのなら、知りたくはありませんか、方々?」


冷静なシルバさんの声が、殺気立ってた評議員の心をなだめたようです。


「確かに、消滅より封印するほうが容易いかもしれない」


「家族や友人が『堕ちた』ら、私も消滅させることができないかもしれぬ」


「しかし、初級でしかない人の仔の魔法だぞ?効果があるかどうか」


「だが、竜王陛下の眷属のギン殿の弟子なのだろう?」


ざわざわざわって、いろんな意見が飛び交ってます。

ちらりと私の顔をみては、首をふったりため息をついたり。

ギンさんやシルバさんの話を聞いた後でもね。

私を信用できないって感じですね。

ハリィさんもなんと言っていいのか、言葉に詰まってます。


確かにね、私はただの女子高生です。

各種族の冒険者ギルドの長を務めてる方々からみたらね。

ただの怪しい人の仔でしかないもの。


けど、獣人領域を庇護してる竜王陛下の眷属、ギンさんの言葉とか。

評議会の代表…らしいシルバさんの言葉とか。

疑うのはどーなんだろうね。


会議はお怒りモードから、疑いモードに移ったみたいです。


もう、帰りたいなあ、猫の街へ。

温泉でまったりして、トルナさんとかシーリスさんとかもふって和みたいよう。

無意識にギンさんの背中もふってたら、ちょっと癒されました。


「サツキ、あれを出せ」


「へ?」


「土産を持ってきたであろう。魔法陣から魔力でもってこよ」


「ああ、あれですか」


あの、対魔結界付の魔道具『サランラップ』ですね。

ラジャーでありますよ。

私は練りまくった魔力を使って、サランラップをホールへ運ぶことにしました。

お土産として持ってきたサランラップの山は、まだ魔法陣の中。

それを浮遊させて、階段を上らせホールへと運びます。


ふゆふゆ浮かぶ、謎アイテムの群れ。

ホールの評議員の視線を集め静かにさせること間違いなしです。

ギンさん、ナイスアイデアです。


で、ギンさん、これからどーする?

すみません。二日も更新があきました。


明日は頑張って二話投稿できたらいいなあ^^:

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