1月5日 体育館の裏に呼び出しみたいな
グッドモーニング、朝です。
昨晩、シグムンのギンさんは、何やらお悩みのようでした。
「吾の指導が間違っておったか…」
とつぶやいては、頭をふるふるさせてます。
三本尻尾も地を這ってます。
ゴッドハンドマッサージでさわさわしても、ぴんぴんしません。
これはかなりお疲れなんだろうなあと、そっとしときました。
結界機能付サランラップでラッピングしたフィリップ氏の石版。
どこにしまうか、かなり悩みました。
魔物化してるとはいえ、もとは成人した猫族の男性です。
自分の部屋で保管するのは、なんだかなって気がするし。
ダイニングに置くのも、ハリィさんとか来たとき気が滅入ると思うし。
あれこれ悩んで、キッチンの地下収納庫へ。
それをみたギンさんがいうには。
「石版化で封印、透明の膜で封印、さらに地下に封印か。鉄壁の封印ぞ」
なのだそうです。
強力結界の中にある我が家。
さらに地下にある空間に保管って、そういうことらしいです。
いつか元のフィリップさんに戻せる日まで、大人しく封印されててくださいね。
さて、朝食後は猫の街に出勤です。
そうそう、冷蔵庫の中身は、ほとんどこちらの食料に切り替わりました。
猫の街で買った野菜や根菜、卵に牛乳的な何か。
翠大角鹿のもも肉の大きなブロックは、チームリザードマンと物々交換したもの。
かーさんが趣味で作ってたビーズアクセサリー、喜んで引き取ってくれました。
適当にこしらえた趣味のアクセサリーも、上位世界の魔力溢れる品扱いです。
「すごい、魔力、すごい護符。ほんと、交換、いいか?」
と狂喜乱舞状態で、ネックレスをブレスレットとして装備してました。
人族女性サイズのネックレスは、リザードマンさんにはブレスレットサイス。
華奢なガラスビーズのネックレスは、つやつや巻毛にマッチしてます。
その上にある筋肉マッチョな鱗スキンとのミスマッチも、まあ、その、ね?
こんな風に、リザードマンさんの村とも、交流は進んでいるのです。
※※※
「これを売りにだしてもいいのかにゃ?」
今日のギルドの受付猫さんは、クリーム色の毛並みが素敵なシーリスさん。
私が査定とオークション出品依頼したブランデーの空き瓶をみて、目をまん丸にしてます。
淡いブルーアイズがいいですね、トルナ嬢もきれいな猫さんです。
こちらのシーリス嬢も負けてません。
冒険者ギルドの受付嬢美人伝説は、テンプレのようです。
「もちろん、かまわないです。元の世界だと廃棄する空き瓶だし。
これを売ったお金の半分は、猫の街の復興に役立ててください。
それと、これ、採取したクローバーです」
掲示板からもってきた依頼書といっしょに、自宅採取したクローバーの山を提出。
魔力を与えて保存してたので、採取後二日目でもフレッシュでしょ?
「はい、依頼達成ですね、冒険者ギルド証をだしてください。
こちらのガラス瓶は、当ギルドでお預かりしますね。
預かり証は、後ほど発行します」
ブランデーの便に魅了されてたシーリス嬢、すぐに仕事バージョンに切り替わっててきぱきと仕事をすすめていきます。
クローバーの鑑定と、依頼達成報酬の支払い、報酬は銀貨5枚でした。
クローバーの需要が多くて、報酬もかなり高くなってきてます。
それから、ギルド証への達成記録の上書きを開始します。
受けにある魔法陣の上にギルド証を置いて、魔力を通して魔法陣を発動させて上書き終了。
いかにもな異世界ファンタジー的作業は、幾度みても見飽きませんね。
「サツキさん、お待たせしました。こちらがガラス瓶の預かり証です。
オークションの結果がでるのはまだ先になりますから、なくさないで下さいね」
「はいです。ところでハリィさんとトルナさんは?」
「昨日の…フィリップさんの事件でいろいろ走り回ってるようですよ。
フィリップさんは、街の名士で旧家の方でもありますから」
「そうですか…」
そのフィリップ氏は、我が家の地下収納庫の収まってるんだけどね。
そばで座っているギンさんが、なんともいえない表情で見上げてきてます。
分かってますよ、ギンさん。
思いつきで行動しないように平常心、平常心ですよね。
「サツキさん、ここにいたにゃ!」
と、後ろから声をかけてきたのはトルナ嬢でした。
「ギルド長が呼んでるにゃ。執務室まできてほしいのにゃ」
トルナ嬢は声をひそめ、私にだけ聞こえるように囁きました。
「獣人領域冒険者ギルド評議会から、サツキさんに呼び出しがきたにゃ」
なんですと?
それ、なんのフラグ査問会ですか?
…いわゆる、体育館の裏にこいやーみたいな?
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