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1月4日 堕ちたる黒猫

 堕ちた…ですと?

ギンさん、黒猫さんが堕ちたといいましたね。

つまり、あれですか?

有名なフォースダークサイドの騎士になられたとゆーことですか?

なるほど、そうですか。

あの黒猫氏の全身から漏れ出してる黒い霧が、虚無の暗黒。

フォースダークサイドなのですね。


「トルナシェルン、ハリィケルン、その黒猫から速やかに離れろ。

 サツキ、結界をまとわせよ」


「了解、ギンさん、あれ、どうしたら元に戻せるの?」


「無理ぞ、堕ちた者は戻せぬ。変化せし者は…戻せぬ」


ギンさんが断定の言葉を吐き出します。

トルナさんとハリィさんが、静かに私達の側へ移動してきました。

その間も、フィリップさんの体は形をゆがめ大きくなっていきます。


「フィル…フィリップ…」


ハリィさんが悲しげに呼びかけました。


「私と貴方は共に学び、技を磨き…友にはなれませんでしが。

 同じ猫の街で育った同族だにゃ何故、ここまで闇を抱え込んでしまったにゃ?」


「ハリィケルンよ、魔物の暴走を呼び込んだは…この心の闇であろうよ」

 街の対魔結界は、あのまま張り続けておるな?」


「魔水晶の杖を地下の魔力渦につなぎ、それを要に張っています」


「ならば、これ以上の魔物を呼び込むことはなかろう」


ギンさんは、ハリィさんをちらりと見てから言いました。


「この魔物、滅する。これが吾の役目ぞ」


 フィリップ氏だった虚無の暗黒から、黒ビロードのローブが床に落ちました。

腕輪や首飾り、護符や財布なども乾いた音とともに床に落ちました。

まるで猫さんの名残を捨てていくかのようです。

残ったのはまだかろうじて人型といえる黒い霧のかたまり。

…虚無の暗黒です。

ぎらぎらと光る黄色の目だけが、かつてのフィリップさんです。


 ほんとにもうどうしようもないのでしょうか。

目の前で知っている猫さんが、虚無の暗黒になってしまうなんて。

それが好きな猫さんでなくても、心が痛みます。

フィリップさんと私のつながりは、ほんの少ししかないんですけど。

猫の街で生まれ、同じ時を過ごしたハリィさんたちはどんな思いでしょうか。


「はりぃ、オマエ、ニクイ、はりぃけるん」


「何故にゃ、フィリップ・カッツェンベルク・リビア!」


ハリィさんが、黒猫さんの真名を叫びました。

すると揺らめく黒い霧が、ほんの一瞬、動きをとめました。

そのまま駆け寄ろうとするハリィさんを、私とトルナさんで止めます。


「ハリィ、いかにゃいで、ハリィケルン!」


トルナ嬢が、泣きながら彼に抱きついてます。

もみ合う私達のそばを駆け抜け、ギンさんがフィリップさんに攻撃開始です。

全身にまとった対魔結界が、そのまま攻撃の刃になり黒い霧を四散させます。


「滅せよ」


「ギン殿、待つにゃ、フィルはまだフィルにゃ、真名の縛りが通じるにゃ」


ギンさんはハリィさんの言葉を無視して、攻撃を続けてます。

黒い霧が形をかえてギンさんを捕まえようとしますが、瞬時にかわすギンさんの動きについていけてません。


どうしよう、どうしたらいいのかな。

見てるしかないのかな。

このままハリィさんの前で、ギンさんがフィリップさんを消してしまったら。

今度はハリィさんが、心の闇を抱えてしまうんじゃないんのかな。

それは、それだけは、避けなきゃいけない。


「滅「だめっ!」せよ」


ギンさんを止めなきゃ!

そう思って、無意識に魔力を解放してました。

フィリップさんであった虚無の暗闇に向かって。

ギルド長の執務室全体が、真っ白な光につつまれて。

その光が収まったあとに残ったのは。

目が眩んでしまった、二猫と一人と一頭。

それと黒い石版が一枚でした。

黄色い目が二つ、渦巻く黒い霧を封じこめた石版です。

たぶん、これがフィリップさん。


「何をした、サツキ」


「……わかんにゃい」


なんともいえない雰囲気の、ギルド長執務室です。



今日の更新です。

ほんとは昨日、更新するはずが^^:

ごめんなさい。


ほんとはカーボン凍結ってサブタイトルにしたかったw

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