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1月4日 黒猫氏 堕ちる

 考えるのも面倒です。

問答無用でいきましょう。

フリーズ黒猫さん、魔力で浮かせてギルド内搬入いたします。


「は~い、見世物は終わりですよ~。どいてくださいね~」


モーゼが海を割ったように、猫さんたちを左右に分けてギルドへ運び込みます。

途中でフリーズから立ち直ったフィリップさんが、逆上して暴れかかりましたが。

ギンさんがこれまた問答無用で威嚇すると、とたんに大人しくなりました。

あまり根性はないようですね、フィリップさん。


「サツキさん、こっちにゃ」


トルナ嬢が、二階から手を振ってます。

ふよふよと空中に浮かぶ前ギルド長。

猫の街でただ一人、人族の私。

威嚇し続けるシグムンのギンさん。

珍しい荷物搬入の行列は、二階にあるギルド長の執務室まで続きました。

街の復興作業に追われてお疲れ気味の職員さん、いい気分転換になったかな?

さて、これからはハリィさんとトルナ嬢のターンですね。


※※※


 執務室でフィリップ氏が一方的大演説大会、絶賛開催中です。

彼が握り締めてるのは、猫の街が所属する獣人領域ギルド評議会の任命書。

そう、大晦日に極秘魔法通信で送られてきたハリィさんのギルド長任命書です。

それは、フィリップ氏のギルド長解任の通知でもありました。

それを一読したフィリップ氏、おたけびをあげました。


「ギルド評議会の書類を偽造するとは!!ハリィケルン、貴様狂ったな!!」


が、フリーズ解凍したフィリップ氏の第一声です。

さすがとしかいえません。

話聞かない黒猫さんは、考え方も斜め上45度です。

爪を出した右手をハリィさんに向け、牙を全開に剥いてます。


「貴様が新ギルド長など、ありえるものか!」


「フィリップさん、評議会発行の書類が偽造できるはずないでしょう」


怒り狂う黒猫さんを前に、ハリィさんは冷静そのもの。

その態度にフィリップ氏は、さらに逆上してヒートアップ。

ひょっとして、ハリィさん、わざと慇懃無礼にして煽ってますか?

執務室まで威嚇していたギンさんは、今は気配を消して成り行き見守り中。

三本の尻尾を交互にゆれて、面白がってるのが見えるようです。


「はぐれ猫のお前が、ならず猫のお前が、ギルド長などありえない。

 代々、猫の街を束ねてきたカッツェンベルク・リビア家出身の私こそがギルド長だ。

 さあ、その偽造書類をおいて我が執務室からでていけ。

 今すぐでていくなら、命だけは助けてやる」


「その誇り高き血筋の貴方が、これまで何をしてきたか。 

 ギルドが買い取った素材の横領と横流し。

 依頼成功報酬の一部着服。

 ギルド職員への職権乱用と賃金不払い。

 その証拠はそろいつつありますよ。

 何より、魔物襲来当初の対応失策。

 これが貴方をギルド長から解任した一番の理由です。

 猫の街議会による、貴方の追放処分ももうすぐでますよ。

 なにか他に聞きたいことは?」


「捏造だ…貴様は私に嫉妬してそこのメスと組んで捏造した濡れ衣だ。

 ハリィケルン、ギルド長の証、魔水晶の杖をどこに隠した?

 あれを返せ、そしてすぐに消えうせろ!」


 うん、ハリィさん、やっぱり煽ってますね。、

フィリップ氏の逆上ゲージ、完全に振り切れました。

全身の毛を逆立てて、デビルキャットフェイスで威嚇です。

ハリィさんに飛び掛らないのが不思議なくらい。


あれ、なんだろう?

怒り狂う黒猫さんの全身が揺らいでます。

黒い霧みたいにゆらゆらって。

この感じって、陛下の洞窟でみた源のかげりと似てるような。


「サツキ」


ギンさんが、私のそばにすっと移動してきました。

全身に対魔結界をまとってます。


「魔物ぞ、あの黒猫は…堕ちた」


不吉な言葉を、ギンさんはつぶやきました。




今日が明日になった更新です。


今晩も更新予定だから、一日二話だなあ^^:

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